世界のみかん生産量と国別動向【最新データと将来予測】

果物

2023年のみかんの世界生産量は52.56Mtで微増。中国が約半数を占め、トルコは大幅増加、アメリカも回復基調。一方、モロッコやインドなどでは気象要因で減少。今後は高付加価値化とスマート農業の導入が安定供給の鍵となる。

みかんの生産量ランキング

2023年
降順昇順
各国最新値[Mt]全体比[%]前年比[%]
世界52.56100+1.091
1中国27.0651.48-0.348
2インド6.17811.75-1.983
3トルコ2.9535.618+58.33
4パキスタン1.9623.733-6.032
5スペイン1.8623.543+3.433
6エジプト1.1862.257+0.963
7ブラジル1.0522.002-3.202
8アメリカ0.8811.676+31.93
9イタリア0.8371.593+4.462
10モロッコ0.8191.559-39.79
11イラン0.731.389-12.02
12南アフリカ0.711.351+11.11
13日本0.6821.297-0.088
14ペルー0.6491.234+1.506
15韓国0.6451.228+5.727
16メキシコ0.510.971+0.75
17アルゼンチン0.370.705+0.184
18コロンビア0.3270.622+0.545
19アルジェリア0.3170.604+6.631
20タイ0.2830.538-2.034
21チリ0.260.494+5.746
22ボリビア0.2310.44-0.26
23イスラエル0.2020.385+20.01
24ネパール0.1990.378-5.693
25オーストラリア0.1980.378+57.46
26ギリシャ0.1710.326-15.07
27ベネズエラ0.1440.274-5.746
28マラウイ0.1320.252+1.339
29シリア0.1280.243-3.554
30チュニジア0.08040.153-0.333
31ウルグアイ0.07790.148-13.93
32マリ0.0730.139+4.863
33ジョージア0.06610.126+34.62
34アゼルバイジャン0.05210.0991+2.748
35クロアチア0.04360.0829+3.838
36フランス0.04080.0777-19.57
37ラオス0.03890.0741+0.225
38ケニア0.03780.0718-26.67
39ポルトガル0.03670.0698-14.53
40アルバニア0.0360.0686+2.509
41レバノン0.02710.0517-7.98
42エクアドル0.02710.0516+0.395
43ヨルダン0.02570.049-8.321
44エルサルバドル0.02470.047+2.796
45イエメン0.02270.0431-10.4
46パラグアイ0.02190.0417+24.01
47ハイチ0.02030.0386-0.332
48キプロス0.01760.0334+3.964
49南スーダン0.01670.0318+0.318
50キューバ0.01660.0316+0.633
51ドミニカ共和国0.01420.027+5.807
52ジンバブエ0.01350.0256+0.143
53リビア0.01030.0195-1.575
54フィリピン0.009730.0185+0.763
55エチオピア0.00920.0175+0.173
56ジャマイカ0.003790.00721+7.455
57イラク0.00340.00648-9.637
58モンテネグロ0.002760.00525+2.334
59コンゴ0.002710.00516+0.523
60ウズベキスタン0.001350.00258+0.58
61パレスチナ0.001330.00253-61.19
62バハマ0.0008170.00155+0.613
63ニュージーランド0.0007620.00145-9.211
64エスワティニ0.0007510.00143+1.195
65ボスニア・ヘルツェゴビナ0.0004990.000949-24.39
66モザンビーク0.0004050.000771-0.303
67ブルキナファソ0.0003420.000651+0.603
68ドミニカ1.54E-52.93E-5-0.0648
69ポリネシア3.56E-66.77E-6-11
70フランス領ポリネシア3.56E-66.77E-6-11
71ジブチ2.52E-64.79E-6+6.329
72ルーマニア00
73ルクセンブルク00
74リトアニア00
75ラトビア00
76マルタ00
77ポーランド00
78ベルギー00
79ブルガリア00
80フィンランド00
81バングラデシュ00
82ハンガリー00
83ドイツ00
84デンマーク00
85チェコ00
86スロベニア00
87スロバキア00
88スウェーデン00
89クック諸島00
90オーストリア00
91オランダ00
92エストニア00
93アイルランド00
みかんの生産量
みかんの生産量

生産量

詳細なデータとグラフ

みかんの現状と今後

2023年の世界全体のみかん生産量は52.56Mt(メガトン)と、前年比+1.091%と小幅な増加に留まりました。みかんは温州ミカンやタンジェリン、クレメンタインなど多様な品種を含む柑橘類で、温暖な気候を好み、世界中の多くの地域で栽培されています。

世界の生産量は1960年代から長期的に増加しており、これは主に需要の高さ、栽培技術の向上、輸送手段の発達、健康志向の高まりなどが影響しています。ただし、近年は気候変動の影響や市場の競争激化により生産が不安定化する傾向も見られます。


主要生産国の動向と国別の特徴

中国(27.06Mt、前年比 -0.348%)

世界生産の半数以上を占める圧倒的首位。広東省・湖南省・4川省など温暖湿潤な地域で広範囲に栽培され、地方品種も豊富です。2023年は小幅減少となったものの、高い基盤を維持しています。国内消費の拡大と輸出の成長が両輪で進行しています。温室栽培や果実品質の改良も進んでおり、今後も生産の安定と高付加価値化が見込まれます。

インド(6.178Mt、前年比 -1.983%)

主にナーグプールみかんやクレメンタイン類が栽培され、乾燥地域でも対応できる品種が多く、広大な内需に支えられて成長してきました。2023年はやや減少しましたが、人口増・健康志向の高まりから、引き続き需要は堅調。灌漑や気象対応の強化が今後の課題です。

トルコ(2.953Mt、前年比 +58.33%)

2023年の最大の伸びを示した国。気象条件の好転、品種の成熟、輸出需要の拡大が重なり、歴史的豊作となった可能性があります。地中海性気候と輸出インフラが強みで、ヨーロッパ・中東市場への輸出が成長を牽引しています。

パキスタン(1.962Mt、前年比 -6.032%)

代表的な「キノウ(Kinnow)」が中心で、輸出志向も強い国。2023年は天候不順や灌漑水不足などの影響で減産となりました。品質保持・流通の整備が進めば、安定供給が期待されます。

スペイン(1.862Mt、前年比 +3.433%)

ヨーロッパでの主要生産国。温州ミカンやクレメンタインの高品質ブランド化が進んでおり、EU内外での輸出シェアも大きい。2023年は気候が安定し、穏やかな増加。今後も高付加価値市場への対応が焦点です。

エジプト(1.186Mt、前年比 +0.963%)

近年急成長している国。ナイルデルタ地帯の農業投資が進み、ヨーロッパやロシアなどへの輸出を拡大中。生産増加率はやや鈍化しましたが、低コスト・大量供給体制が整ってきており、将来性は高い

ブラジル(1.052Mt、前年比 -3.202%)

オレンジで有名なブラジルですが、みかん類も1定の規模で栽培されています。内需型であり、輸出よりもジュース用・国内消費用としての生産が中心。2023年はやや減少しましたが、長期的には安定しています。

アメリカ(0.881Mt、前年比 +31.93%)

カリフォルニア・フロリダなどで栽培。温暖な地域での栽培技術・灌漑インフラが進んでおり、2023年は大きく回復。ただし、気候リスクや病害(グリーンイング病)への警戒は今後も重要です。

イタリア(0.837Mt、前年比 +4.462%)

地中海沿岸部での栽培が中心。小規模農家による生産が多く、伝統的品種やオーガニック志向が強みです。内需とEU域内消費が主なターゲット。今後はブランド化と観光農業の融合がポイントになる可能性があります。

モロッコ(0.819Mt、前年比 -39.79%)

2023年は大幅な減産。干ばつ・水不足・収穫時期の不調が影響したと見られます。EU向けの輸出に強みがありますが、気候変動リスクへの適応が喫緊の課題です。


気象・経済要因による影響

近年、みかん生産に最も大きな影響を及ぼしているのが気候変動です。以下のような傾向がみられます。

  • 異常高温・干ばつによる果実の肥大不良や着果不良

  • 豪雨・台風による落果や腐敗

  • 寒暖差の不安定さによる糖度や色づきへの影響

これに加えて、労働力不足、農業資材の価格高騰、灌漑設備の老朽化といった経済的要因も、生産量の上下を左右しています。


今後の展望と将来予測(〜2030年)

世界全体では安定成長

みかんは他の果実に比べて保存性が高く、ビタミンC含量の高さが評価され、年中需要があるため、今後も1定の成長が見込まれます。世界の生産量は今後年率1〜2%程度で成長すると予想されます。

生産地の2極化

  • 中国・トルコ・スペイン・エジプトなど輸出志向国の集中化

  • 気象リスクのある国では減産と品質低下が課題化

高付加価値化と品種多様化

  • 消費者の志向に合わせて、種なし・皮むきやすい・糖度の高い新品種が拡大。

  • オーガニック栽培や地理的表示(GI)認証による差別化も進行。

技術革新とスマート農業

  • 灌漑の自動制御やAIによる病害虫予測などのスマート農業技術の導入

  • 栽培から選果・輸送までの高度化が、生産性と品質を押し上げる。

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