世界のいちご生産量は2023年に10.49Mtとなり、中国が全体の4割を占めて急成長中です。アメリカは気候や人手不足の影響でやや減少。一方、メキシコやエジプトなど新興国が輸出を背景に生産を拡大しています。今後は環境負荷を抑えた持続可能な農法と、地域別特性に合わせた技術革新が重要となります。
生産量のデータとグラフ
いちご生産量の最大と最新
世界 | 中国 | アメリカ | エジプト | トルコ | メキシコ | スペイン | ロシア | |
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最新 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 |
最大期 | 2023年 | 2023年 | 2015年 | 2023年 | 2022年 | 2019年 | 2015年 | 2023年 |
最新値[Mt] | 10.49 | 4.217 | 1.25 | 0.7311 | 0.6768 | 0.6416 | 0.3293 | 0.2612 |
最大値[Mt] | 10.49 | 4.217 | 1.39 | 0.7311 | 0.7281 | 0.8613 | 0.3974 | 0.2612 |
前年比[%] | 2.323 | 5.731 | -3.366 | 6.115 | -7.045 | 10.97 | 1.043 | 2.499 |
全体比[%] | 100 | 40.21 | 11.92 | 6.973 | 6.455 | 6.118 | 3.14 | 2.491 |
これまでの推移


詳細なデータとグラフ
いちご生産量についての推移と展望
いちごは果物の中でも特に人気が高く、生食用はもちろん、加工品としても多様な用途を持つ果実です。1961年から2023年にかけて、世界のいちご生産量は右肩上がりに増加し、2023年にはついに10.49Mt(メガトン)に達しました。前年比でも2.323%増と安定した成長を示しており、果物市場の中でも成長余地のある作物と位置づけられています。
中国の圧倒的なシェアと成長
中国は世界最大のいちご生産国であり、4.217Mt(全体の40.21%)を占めます。さらに前年比でも5.731%増と生産量を着実に拡大。大規模なビニールハウス農業と国内需要の高さ、輸出志向が成長を支えています。また、品種改良やスマート農業の導入も進んでおり、品質と収量の両立が進行中です。
アメリカと新興勢力の台頭
アメリカは1.25Mt(11.92%)と依然として第2位ですが、前年比では-3.366%と減少しています。これはカリフォルニア州を中心とした干ばつや人手不足、労働コスト増加の影響が指摘されます。
一方で、メキシコ(+10.97%増)、エジプト(+6.115%増)は急成長中。メキシコは地理的にアメリカ市場との親和性が高く、輸出主導型の生産が拡大。エジプトは中東や欧州市場へのアクセスを活かし、生産インフラを強化しています。
トルコやスペインなどの伝統的生産国の課題
トルコ(6.455%シェア)やスペイン(3.14%シェア)は、かつての主力生産国ですが、トルコは前年比-7.045%と減少に転じました。これは輸出依存型構造の脆弱性や異常気象の影響が一因です。スペインは比較的安定していますが、欧州域内の農業規制や人件費上昇に苦慮しています。
ロシアと他の新興地域の動向
ロシア(2.491%シェア)も自給率向上の政策支援を受けて生産量が拡大中。寒冷地向けの品種開発やハウス栽培の普及により、一定の成長が見込まれます。今後は中央アジアや東欧、東南アジアといった新規生産地の伸びにも注目です。
今後の課題と持続可能な展望
いちごは病害虫に弱く、農薬使用量が多くなりがちで、環境負荷も大きい作物です。そのため、持続可能な農法(例:高設栽培・水耕栽培・有機農法)の普及が求められています。また、消費国に近いローカル生産や、季節外れ栽培技術の進展が物流とフードロスの課題に貢献するでしょう。
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