世界の果物生産動向:中国が首位、成長国と課題を徹底分析

生産量

2023年の世界フルーツ生産量は951.9Mtで微増にとどまるも、中国・インド・ブラジルなどが堅調に生産を拡大。一方でアメリカやスペインでは干ばつなどの影響で停滞も見られます。今後は気候変動対応、収穫後の物流整備、高付加価値品種の導入が持続的成長の鍵となります。

フルーツの生産量ランキング

2023年
降順昇順
各国最新値[Mt]全体比[%]前年比[%]
世界951.9100+0.894
1中国271.828.55+1.144
2インド113.911.97+2.546
3ブラジル43.244.542+3.109
4トルコ27.452.883+6.834
5メキシコ26.152.747+5.477
6インドネシア25.732.703+1.807
7アメリカ21.752.285-0.0279
8フィリピン16.691.753+0.573
9スペイン16.51.734-0.238
10イラン16.391.722+2.175
11エジプト16.211.703+1.284
12ナイジェリア16.191.701-4.062
13イタリア16.161.698-10.83
14ベトナム12.591.323+3.913
15コロンビア11.571.215+1.446
16ウガンダ11.151.171-1.245
17タイ10.571.111-3.833
18フランス9.7391.023+1.9
19エクアドル9.3880.986+14.37
20パキスタン8.9460.94-0.465
21南アフリカ8.3970.882-4.29
22ペルー8.2020.862+0.385
23ドミニカ共和国7.8120.821+25.19
24アルジェリア7.7710.816+9.892
25アルゼンチン6.9090.726-5.339
26グアテマラ6.8560.72-3.539
27コンゴ民主共和国6.7470.709+0.184
28ウズベキスタン6.6560.699+4.08
29ロシア6.560.689-3.122
30アンゴラ6.5280.686+6.661
31チリ6.4310.676-1.257
32コスタリカ6.4220.675+6.07
33ガーナ6.1780.649+0.506
34カメルーン6.1670.648-0.965
35タンザニア5.9810.628+1.647
36バングラデシュ5.7460.604+1.092
37ケニア5.550.583+24.19
38モロッコ5.1470.541-22.23
39ポーランド4.9250.517-8.121
40オーストラリア4.0180.422+12.17
41マラウイ3.9430.414+3.534
42ギリシャ3.7570.395-16.24
43アフガニスタン3.7170.39+6.94
44スーダン3.530.371+1.249
45ルワンダ3.5080.369+4.656
46ベネズエラ3.2640.343-1.884
47カザフスタン3.2160.338+7.245
48コートジボワール3.1440.33+2.562
49サウジアラビア3.0370.319+5.082
50韓国2.8960.304-5.449
51日本2.8140.296-6.961
52ミャンマー2.7770.292+1.384
53メラネシア2.7340.287+0.59
54マリ2.5630.269+5.789
55パプアニューギニア2.5160.264+0.234
56チュニジア2.450.257+1.354
57ドイツ2.4150.254-7.362
58ウクライナ2.4110.253-0.368
59ルーマニア2.3570.248-1.071
60ポルトガル2.1190.223-0.833
61シリア2.0580.216+1.198
62ニュージーランド1.9220.202+1.112
63キューバ1.850.194+6.021
64北朝鮮1.8340.193+0.365
65セネガル1.8240.192+0.322
66アゼルバイジャン1.7740.186-1.145
67イラク1.6980.178-22.52
68ギニア1.6730.176+3.591
69イスラエル1.6190.17-0.865
70マレーシア1.6180.17-13.48
71ボリビア1.5470.163-0.0826
72エチオピア1.5470.163-13.64
73セルビア1.5410.162-17.87
74ネパール1.4990.157-13.59
75ブルキナファソ1.4870.156+4.044
76ホンジュラス1.4790.155-1.217
77タジキスタン1.450.152+1.995
78モルドバ1.3490.142+13.29
79ハイチ1.30.137-1.204
80マダガスカル1.2930.136+0.221
81ブルンジ1.2790.134+6.327
82イエメン1.2330.13-6.771
83ハンガリー1.2160.128+12.67
84ラオス1.1560.121-0.559
85スリランカ1.1460.12-40.11
86トルクメニスタン1.1080.116+3.09
87パナマ1.0410.109-5.455
88ジンバブエ1.0020.105+0.478
89レバノン0.9990.105-2.289
90カナダ0.930.0977-7.671
91アルバニア0.8410.0884-3.682
92パラグアイ0.8330.0875-17.44
93モザンビーク0.7360.0773-11.35
94ニジェール0.7130.0749-4.086
95リビア0.6890.0724-1.288
96アルメニア0.6870.0722-0.839
97ベナン0.6710.0705+0.822
98オランダ0.670.0704-6.079
99ボスニア・ヘルツェゴビナ0.6530.0686-7.738
100ベルギー0.6490.0682+0.116
101ヨルダン0.6230.0654+2.795
102ニカラグア0.6210.0653+0.306
103カンボジア0.6110.0642-3.493
104イギリス0.5830.0612-11.88
105オマーン0.5780.0607+2.546
106オーストリア0.5730.0602-17.24
107ベラルーシ0.5360.0563+0.656
108南スーダン0.5210.0548-0.0645
109ジョージア0.4880.0513-18.4
110ブルガリア0.4370.0459-9.769
111キルギスタン0.4310.0452+0.235
112ウルグアイ0.430.0452-10.68
113ジャマイカ0.4130.0434-0.72
114北マケドニア0.4120.0433-36.31
115ガボン0.3960.0416+0.646
116アラブ首長国連邦0.3580.0376-4.823
117スイス0.3570.0375-7.871
118ガイアナ0.3440.0362+1.625
119エルサルバドル0.3380.0356+4.366
120プエルトリコ0.290.0305-8.808
121シエラレオネ0.2820.0296-0.000859
122コンゴ0.2760.029+0.315
123クロアチア0.2520.0264-5.447
124ソマリア0.2270.0238+0.339
125リベリア0.2150.0226+0.26
126チェコ0.2050.0215-19.15
127中央アフリカ共和国0.1810.019+0.247
128エスワティニ0.1440.0151-11.39
129パレスチナ0.1370.0144-14.09
130クウェート0.1330.014+19.25
131チャド0.130.0137+0.541
132ザンビア0.1280.0134-1.145
133バヌアツ0.1210.0127+0.136
134スロベニア0.120.0126-17.93
135ギニアビサウ0.1150.0121-0.0326
136キプロス0.1120.0117-5.277
137ベリーズ0.10.0105-38.73
138コモロ0.08350.00878-1.423
139スロバキア0.07760.00815-10.01
140トリニダード・トバゴ0.0750.00788-1.076
141赤道ギニア0.07290.00766-0.0157
142ポリネシア0.07290.00765-0.372
143ナミビア0.06970.00733+1.435
144トーゴ0.06860.0072+0.134
145セントビンセント・グレナディーン0.06740.00708+0.549
146モンテネグロ0.05920.00622-7.844
147フィジー0.05840.00613+19.93
148ドミニカ0.05490.00577+0.174
149スウェーデン0.05170.00543+2.216
150サントメ・プリンシペ0.05140.0054-0.682
151リトアニア0.04950.0052-25.82
152バハマ0.04860.0051+0.107
153サモア0.04560.00479-0.247
154デンマーク0.04330.00455-29
155カタール0.04090.0043+13.8
156スリナム0.03770.00396-7.3
157ノルウェー0.03360.00353+10.03
158ブータン0.030.00315+12.39
159アイルランド0.0290.00304-6.456
160ソロモン諸島0.02840.00299+0.856
161モーリタニア0.02780.00292+0.179
162ボツワナ0.02620.00275-21.79
163フィンランド0.0250.00262-8.373
164モーリシャス0.02360.00248+7.981
165東ティモール0.01760.00185-1.629
166グレナダ0.01660.00175-8.66
167バーレーン0.01650.00174+0.608
168フランス領ポリネシア0.01550.00162-0.841
169セントルシア0.0150.00158-24.72
170レソト0.01490.00156-0.235
171ルクセンブルク0.01240.0013-8.586
172ラトビア0.0110.00115-31.95
173マルタ0.0110.00115-9.347
174ニューカレドニア0.01030.00109+0.433
175ガンビア0.009870.00104+0.286
176キリバス0.009270.000973+0.477
177トンガ0.008650.000909-0.432
178ブルネイ0.008610.000904+2.319
179アンティグアバーブーダ0.008330.000875-0.316
180カーボベルデ0.006320.000663-9.768
181バルバドス0.005760.000605-3.216
182ジブチ0.005120.000538+3.416
183エリトリア0.004880.000513+0.25
184モルディブ0.003770.000396+38.76
185エストニア0.003140.00033-60.05
186セイシェル0.002990.000314+0.158
187ミクロネシア0.002630.000276+0.00799
188モンゴル0.002310.000242-10.45
189セントクリストファーネイビス0.002020.000212+0.58
190クック諸島0.001220.000128+0.38
191ツバル0.0009099.55E-5+0.587
192ニウエ島0.0008979.42E-5-0.0769
193ナウル0.0004694.93E-5-0.342
194トケラウ7.6E-57.98E-6+0.0395
195シンガポール4.63E-64.86E-7-1.279
フルーツの生産量
フルーツの生産量

生産量

詳細なデータとグラフ

フルーツの現状と今後

2023年、世界のフルーツ総生産量は951.9Mt(メガトン)に達し、前年比で+0.894%の微増を記録しました。1961年からの長期推移をみると、フルーツ生産は1貫して右肩上がりに増加しており、背景には次のような要因があります:

  • 食生活の多様化と果物需要の増加

  • 健康志向による消費拡大

  • 温暖地を中心とした生産拡大

  • 生鮮品としてだけでなく加工品(ジュース、ドライフルーツ等)への需要増

ただし、野菜や穀物に比べると気候の影響を受けやすく、生産年変動も見られる分野です。


主要生産国の動向と特徴

中国(271.8Mt、+1.144%)

圧倒的な生産量を誇る世界最大のフルーツ生産国です。リンゴ、梨、柑橘類、ブドウ、キウイなど品目も多彩で、内需を中心に多くが消費されます。広大な農地と多様な気候帯が強みで、今後も機械化と輸出志向の強化が期待されます。

インド(113.9Mt、+2.546%)

マンゴー、バナナ、パパイヤ、ザクロなど熱帯果実が中心。小規模農家の寄与が大きく、農業の労働集約性が高いのが特徴です。収穫後損失が依然として大きな課題であり、冷蔵保存や流通インフラの整備が求められています。

ブラジル(43.24Mt、+3.109%)

柑橘類(特にオレンジ)の1大生産国で、ジュース用など加工向け生産が中心です。広大な農園での機械化が進んでおり、世界市場への輸出依存度も高めです。アグリビジネス主導の安定した増加傾向が見られます。

トルコ(27.45Mt、+6.834%)

リンゴ、ザクロ、サクランボ、柑橘など多様な果実を生産。2023年の+6.8%の増加は、ヨーロッパ市場への輸出需要の高まりや、国内市場の安定成長によるものと考えられます。温暖な地中海気候が生産に適しています。

メキシコ(26.15Mt、+5.477%)

アボカド、マンゴー、バナナなどが中心。特にアメリカ向けのアボカド輸出は国家的産業とも言える規模に成長。高度な商業農業システムと輸送網が整っており、今後も堅調な成長が期待されます。

インドネシア(25.73Mt、+1.807%)

熱帯気候を活かしたドリアン、バナナ、マンゴスチンなど多彩な品目を生産。国内消費が主でありながら、ASEAN諸国への輸出も徐々に拡大しています。山間部と平地の混在による生産性の差が課題です。

アメリカ(21.75Mt、-0.0279%)

リンゴ、ブドウ、柑橘類、ベリー類などを生産。2023年はわずかに減少。カリフォルニアなど乾燥地域での生産が多く、水資源の制限が今後の成長の足かせになる可能性があります。1方で、技術導入は非常に進んでおり、品質・収量の高さが特徴です。

フィリピン(16.69Mt、+0.573%)

バナナ、パイナップルなど、輸出志向型の熱帯果物が中心。日本・中東などへの輸出が重要な収益源です。2023年は安定した微増。台風リスクや土地の過剰利用による環境劣化が中長期的課題となります。

スペイン(16.5Mt、-0.238%)

柑橘類(特にオレンジ)を中心に、ヨーロッパ向けの輸出で成長してきた国。2023年はやや減少。干ばつ・高温の影響が強く、今後の水資源管理と品種改良が重要になります。

イラン(16.39Mt、+2.175%)

リンゴ、ナツメヤシ、柑橘類などが中心。国内消費が強い1方で、中央アジアや中東への輸出も拡大中。気候適応性の高い作物に注力しており、堅調な生産増が見込まれます。


フルーツ生産の課題とチャンス

気候変動への影響

果物は気温、降水、日照などに敏感であり、開花時期のずれや果実の品質低下などの影響が顕著です。干ばつ・洪水などのリスクが増える中、気候耐性のある品種やスマート灌漑技術の導入が急務です。

ポストハーベスト(収穫後)損失

とくに熱帯地域では、冷蔵・輸送・加工インフラの未整備により、収穫された果実の1部が市場に届く前に廃棄される事例が多発。コールドチェーンの強化や小規模加工業の支援が生産効率向上につながります。

品質と多様性の両立

世界市場では「品質・見た目・味」に厳しい基準があり、これに応えるための品種改良や農薬・肥料管理が必要です。同時に、ローカル品種の保護と活用も、将来的な市場差別化の要因となります。


将来展望(2030年に向けて)

今後のフルーツ生産量は、全体としては緩やかに増加が見込まれます。ただし、その成長率は過去のような急伸ではなく、以下の要因により地域差のある穏やかな推移になると予測されます。

成長が見込まれる地域

  • 輸出志向と高付加価値品種に注力する国(メキシコ、トルコ、中国)

  • インフラ整備が進む国(インド、インドネシア、フィリピン)

成長が鈍化・停滞する可能性のある地域

  • 干ばつや気温上昇が深刻な地域(スペイン、アメリカ西部)

  • 過剰生産・土地資源の限界が迫る国(中国、イラン)

生産者と政府が気候変動に対応しながら、技術と市場の変化を捉えることが、持続可能なフルーツ生産の鍵になるでしょう。

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