世界の野菜生産量の動向と今後の展望【最新データ分析】

生産量

2023年の世界野菜生産量は1187Mtで、中国やアメリカが増加を牽引。一方でインドやエジプトなど一部では減少も見られました。気候変動や都市化が今後の野菜供給に大きな影響を与えると予想され、持続可能で地産地消型の農業への転換が重要視されています。

野菜の生産量ランキング

2023年
降順昇順
各国最新値[Mt]全体比[%]前年比[%]
世界1187100+1.315
1中国621.452.36+1.368
2インド145.112.23-0.00582
3アメリカ31.472.652+6.985
4トルコ27.242.295+2.366
5ベトナム18.261.538+2.694
6エジプト17.31.458-1.966
7ナイジェリア16.481.389+1.862
8メキシコ16.451.387+11.5
9ロシア13.861.168+4.757
10インドネシア13.081.102-0.988
11スペイン11.530.971-2.594
12ウズベキスタン10.910.919-2.328
13イタリア10.310.869-0.342
14日本10.060.847-0.759
15イラン9.4420.796+1.721
16韓国9.280.782-0.334
17ブラジル9.0760.765+3.968
18アルジェリア8.4140.709+5.557
19ウクライナ8.3020.7+10.27
20バングラデシュ7.9550.67+3.5
21フィリピン6.870.579+0.3
22パキスタン5.9330.5-0.695
23フランス5.3570.451+3.91
24ミャンマー4.8890.412+0.105
25オランダ4.7590.401-1.065
26ポーランド4.6420.391-3.93
27ネパール4.5580.384+7.256
28カザフスタン4.2740.36-1.582
29モロッコ4.1970.354-1.22
30アルゼンチン3.9590.334+1.595
31ニジェール3.8310.323+6.261
32ドイツ3.5140.296+4.512
33スーダン3.3420.282-0.412
34北朝鮮3.3090.279-0.237
35ペルー3.110.262-0.382
36カメルーン3.0850.26+0.0798
37タンザニア3.0410.256-4.459
38チュニジア3.0020.253+5.062
39ケニア2.9780.251-11.36
40マリ2.7690.233+6.608
41タイ2.70.228-0.914
42南アフリカ2.6180.221+2.314
43ポルトガル2.580.217+12.77
44コロンビア2.5430.214+0.869
45タジキスタン2.3780.2+2.695
46カナダ2.3050.194-2.493
47チリ2.2770.192+9.426
48イギリス2.2470.189-4.842
49ジンバブエ2.1640.182+16.65
50アンゴラ2.160.182+10.81
51ベルギー2.0470.173-3.561
52ベラルーシ1.9240.162-0.148
53オーストラリア1.8660.157+3.026
54アゼルバイジャン1.8270.154+0.124
55シリア1.7780.15+9.94
56マラウイ1.6730.141+1.497
57サウジアラビア1.6590.14-1.995
58エチオピア1.6520.139+0.0563
59グアテマラ1.6430.138+3.263
60ラオス1.5740.133+5.456
61ヨルダン1.5510.131+8.993
62ドミニカ共和国1.5150.128+28.04
63ギリシャ1.4480.122-8.344
64ブルキナファソ1.4090.119-0.513
65キューバ1.4050.118+0.862
66モザンビーク1.4040.118-36.89
67ウガンダ1.3670.115-0.123
68アフガニスタン1.3090.11+0.663
69ベネズエラ1.2620.106-0.947
70マレーシア1.2530.106-8.065
71キルギスタン1.2130.102+6.907
72ルーマニア1.1990.101-4.664
73スリランカ1.1760.0991-2.381
74イスラエル1.1240.0947+2.533
75オマーン1.1150.094+8.704
76アルバニア1.0380.0875-0.538
77セネガル1.0070.0849-0.624
78イラク0.9080.0765-38.59
79クロアチア0.890.075-0.0573
80ガーナ0.7990.0673-0.133
81ニュージーランド0.7920.0668+0.0912
82ベナン0.7920.0667+7.127
83メラネシア0.7360.062+3.046
84ボスニア・ヘルツェゴビナ0.7180.0605+2.451
85ハンガリー0.7140.0602+11.64
86リビア0.6980.0589+0.285
87ルワンダ0.6840.0576+0.825
88レバノン0.6760.0569-3.531
89トルクメニスタン0.670.0565-0.181
90カンボジア0.6650.0561+0.36
91コートジボワール0.6630.0559+3.176
92北マケドニア0.6470.0545-8.431
93セルビア0.6390.0539-10.86
94アルメニア0.6080.0512-0.504
95コンゴ民主共和国0.5940.0501-0.0241
96パレスチナ0.590.0497-11.32
97オーストリア0.5890.0497-3.798
98パプアニューギニア0.5870.0494+0.532
99ギニア0.5690.0479+0.34
100イエメン0.5380.0454-8.779
101南スーダン0.5070.0427+0.385
102エクアドル0.5010.0422+6.086
103ブルンジ0.4920.0415-0.202
104ボリビア0.4870.041+1.272
105マダガスカル0.4690.0395+0.434
106ザンビア0.4360.0368+0.282
107シエラレオネ0.4290.0361-0.178
108ホンジュラス0.3710.0312-1.581
109スイス0.3590.0302-11.04
110ブルガリア0.3530.0297+1.773
111スウェーデン0.3270.0276-2.508
112アラブ首長国連邦0.3180.0268+0.63
113ジャマイカ0.2930.0247-8.463
114モルドバ0.2790.0235+10.51
115チェコ0.2460.0208+22.63
116フィンランド0.2420.0204-5.244
117クウェート0.2390.0201+9.578
118ニカラグア0.2280.0193-7.508
119デンマーク0.2220.0187-2.59
120ガイアナ0.2190.0184+4.222
121モンゴル0.2090.0176+39.9
122コスタリカ0.1940.0163+0.142
123アイルランド0.1830.0154-4.069
124ノルウェー0.1820.0154-2.229
125ウルグアイ0.1790.0151-0.155
126リトアニア0.1520.0128-20.19
127トーゴ0.150.0126+0.304
128ハイチ0.1490.0126+0.237
129パラグアイ0.1480.0125-5.255
130ジョージア0.1470.0124+11.72
131エルサルバドル0.1310.011+2.169
132スロバキア0.1310.011+7.723
133リベリア0.1250.0105+0.56
134モーリシャス0.1150.00973+47.03
135ソマリア0.110.00929-0.312
136中央アフリカ共和国0.1090.00915+0.957
137パナマ0.1070.00902-3.008
138チャド0.1050.00884-0.134
139カタール0.1040.0088+15.95
140フィジー0.0840.00708+26.9
141スロベニア0.07360.0062-14.56
142ナミビア0.06650.0056-0.354
143ボツワナ0.06150.00518-10.46
144コンゴ0.05790.00488+0.156
145ラトビア0.05740.00483+3.706
146エリトリア0.05630.00475-0.188
147ガボン0.05220.0044+0.769
148バヌアツ0.05080.00428+0.0118
149キプロス0.04840.00408+0.436
150ギニアビサウ0.0420.00354-0.384
151プエルトリコ0.03840.00324-11.15
152マルタ0.03830.00323+3.037
153ジブチ0.03640.00307+0.547
154東ティモール0.03560.003+0.444
155ポリネシア0.03550.00299+0.0239
156バハマ0.03370.00284+0.263
157レソト0.03320.00279+0.36
158トンガ0.02770.00234+0.435
159ブータン0.02740.00231+0.274
160カーボベルデ0.02480.00209-12.74
161バーレーン0.02350.00198+7.318
162コモロ0.01980.00167+1.543
163シンガポール0.01980.00167-13
164モンテネグロ0.01870.00157+8.946
165エストニア0.01630.00138-10.47
166スリナム0.01360.00114+20.35
167ガンビア0.01340.00113-0.297
168エスワティニ0.01290.00109+0.103
169ベリーズ0.01260.00106-4.239
170バルバドス0.01160.000976-7.994
171トリニダード・トバゴ0.01060.000891-37.37
172ブルネイ0.009640.000813+5.181
173ドミニカ0.009310.000785-0.0155
174ニューカレドニア0.008240.000695+11.68
175ルクセンブルク0.007510.000633+40.37
176ソロモン諸島0.005990.000504-0.504
177アイスランド0.005940.0005-5.086
178キリバス0.005590.000471-0.604
179グレナダ0.0050.000422-14.24
180モーリタニア0.004870.00041+0.405
181サントメ・プリンシペ0.003840.000323+0.439
182フランス領ポリネシア0.003710.000313-3.288
183ミクロネシア0.00360.000303+0.514
184セントルシア0.003420.000288+1.185
185セイシェル0.003090.000261+0.517
186モルディブ0.00260.000219+1.611
187セントビンセント・グレナディーン0.002350.000198-4.584
188クック諸島0.001910.000161+0.491
189サモア0.001350.000114+0.387
190アンティグアバーブーダ0.001220.000103+29.18
191セントクリストファーネイビス0.0006515.48E-5-10.63
192ツバル0.0006265.27E-5+0.186
193ニウエ島0.0001471.24E-5-0.728
194ナウル6.72E-65.66E-7+2.128
野菜の生産量
野菜の生産量

生産量

詳細なデータとグラフ

野菜の現状と今後

世界の野菜生産量は2023年に1187Mt(メガトン)に達し、前年より+1.315%の増加を記録しました。1961年からの長期推移を見れば、野菜生産は人口増加、都市化、栄養需要の多様化に対応するかたちで、着実に成長を遂げてきました。

かつてはローカルな食糧とされていた野菜も、今では国際市場での需要が高まり、輸出入が活発に行われるようになっています。1方で、野菜は鮮度が命であり、保存性・輸送性に制限があるため、地域内生産と即時消費の特性を強く持っています。


主要生産国の動向と生産構造の特徴

中国(621.4Mt、+1.368%)

世界の野菜生産の過半に迫るシェアを持ち、最大の生産国です。白菜、トマト、ナス、ネギ、ニンジンなど種類も多く、農地の集約化と政策支援が進んでいます。国内需要も大きいため、自給的要素が強いですが、加工用野菜の輸出も活発です。機械化と露地栽培の組み合わせで、安定した増加傾向を保っています。

インド(145.1Mt、-0.00582%)

世界2位ながら、2023年はわずかに減少しました。主要品目はタマネギ、トマト、ジャガイモなどで、小規模農家が多数を占めるため、生産のばらつきが大きいのが特徴です。気候リスクやインフラ不足、収穫後損失が課題です。今後の成長にはコールドチェーンや流通網の整備が鍵となります。

アメリカ(31.47Mt、+6.985%)

高効率・高品質の生産体制を構築しており、2023年は大きな増加を示しました。レタス、トマト、ブロッコリー、ピーマンなどが主力で、契約栽培や企業農業が中心です。加工・輸出の需要も多く、カリフォルニア州などの大規模施設園芸が支えています。水不足への適応が今後の課題です。

トルコ(27.24Mt、+2.366%)

トマトやナス、ピーマンなど地中海性の野菜が豊富で、ヨーロッパ向け輸出にも強みがあります。気候条件と季節延長技術により、生産安定性が高く、堅実な増加を続けています。

ベトナム(18.26Mt、+2.694%)

多様な気候帯と農業文化により、葉物野菜や果菜類の生産が盛んです。家庭菜園的な栽培も根強く、都市近郊農業との連携も発展中です。2023年の増加は農業近代化の進展によるものと見られます。

エジプト(17.3Mt、-1.966%)

灌漑を中心とした砂漠農業が特徴で、ジャガイモ、タマネギ、トマトなどを栽培。2023年の減少は水資源制約やインフレによる投入資材の高騰が影響したと考えられます。気候適応型農業の推進が急務です。

ナイジェリア(16.48Mt、+1.862%)

アフリカ内でも重要な野菜生産国で、トマトやオクラ、タマネギなどが中心。人口増加により内需が急増しており、小規模農業と都市農業が成長しています。収穫後の損失が依然として高い割合を占めています。

メキシコ(16.45Mt、+11.5%)

アメリカ向けの輸出を主目的とした商業農業が発展しており、2023年は急増。ハウス栽培や契約農業が進んでおり、トマト、唐辛子、ズッキーニなどが中心です。輸出志向型の成功例といえるでしょう。

ロシア(13.86Mt、+4.757%)

高緯度のため生産期間は限られますが、ハウス栽培が普及しており、自給自足を目的とした拡大政策が進んでいます。特に制裁以後は国内回帰の動きが強まり、露地栽培に加えて温室野菜の導入が増加。

インドネシア(13.08Mt、-0.988%)

気候は熱帯で、葉物野菜や瓜類が中心ですが、降雨の変動性が高く、生産が安定しません。2023年はやや減少となりましたが、都市近郊農業や女性農業者の活躍が期待される地域です。


野菜生産の課題と将来の方向性

都市化と地産地消のバランス

都市人口の増加により、「都市近郊での野菜栽培」がますます重視されています。輸送距離を短縮し、鮮度を保ち、環境負荷を抑えるためには、地産地消モデルが今後の理想形とされるでしょう。

気候変動と灌漑の重要性

野菜は気候ストレスに敏感であり、猛暑・干ばつ・洪水が生産に直結します。気候変動に強い品種の開発、持続可能な灌漑技術、ハウス栽培などがますます必要となっていきます。

技術革新とサプライチェーンの整備

  • 精密農業技術(ドローン、センサー)

  • 収穫後処理・保存・物流インフラこれらの導入が、生産の効率化だけでなく、フードロス削減にも直結します。


将来予測(2030年に向けて)

今後、野菜の世界生産量は引き続き増加が予想されますが、その伸びは国・地域によって大きく異なるでしょう。

成長が見込まれる地域:

  • サステナブルな農業技術導入国(アメリカ、中国、メキシコ)

  • 都市人口の増加に合わせた近郊型農業(インド、ナイジェリア)

成長が鈍化または減少の懸念がある地域:

  • 気候リスクが高い国(エジプト、インドネシア)

  • 水資源の制約が厳しい国(中央アジア、北アフリカ)

全体としては、持続可能性と気候対応能力が、今後の野菜生産の命運を分ける最大の要因となると考えられます。

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