2023年の世界の穀物生産量は3134Mtに達し、中国、アメリカ、インドの3カ国で全体の47%を占めます。生産は全体で前年比+1.97%と安定していますが、国別ではアメリカやブラジルが大幅増、ロシアやインドネシアが減少。気候変動や地政学的リスクが今後の生産動向に影響を与えると見られ、各国は持続可能な農業体制の構築が求められます。
生産量のデータとグラフ
穀物生産量の最大と最新
世界 | 中国 | アメリカ | インド | ブラジル | ロシア | インドネシア | バングラデシュ | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
最新 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 |
最大期 | 2023年 | 2023年 | 2016年 | 2023年 | 2023年 | 2022年 | 2015年 | 2023年 |
最新値[Mt] | 3134 | 643.4 | 462.6 | 374.6 | 155.9 | 136.7 | 73.97 | 64.33 |
最大値[Mt] | 3134 | 643.4 | 503.5 | 374.6 | 155.9 | 153.1 | 80.64 | 64.33 |
前年比[%] | 1.972 | 1.338 | 13.14 | 3.347 | 14.83 | -10.7 | -4.071 | 2.84 |
全体比[%] | 100 | 20.53 | 14.76 | 11.95 | 4.973 | 4.362 | 2.36 | 2.052 |
これまでの推移


詳細なデータとグラフ
穀物生産量についての推移と展望
1961年から2023年にかけて、世界の穀物生産量は3134Mtまで増加しました。これは、過去60年間において約3倍以上の成長を示しており、人口増加、食料需要の拡大、農業技術の進展、肥料・農薬の普及、灌漑施設の整備などがこの拡大を支えてきました。
穀物(トウモロコシ、小麦、米など)は、食用だけでなく家畜飼料、バイオ燃料、工業原料としても広く使われており、その需要は経済発展とも強く結びついています。
2023年の世界および主要国の状況
全体傾向
2023年の世界の穀物生産は前年比+1.972%と緩やかな増加傾向にあり、過去の急成長期から比べると安定局面にあります。しかし、国別で見ると成長率には大きなばらつきがあります。
中国(20.53%)
世界最大の穀物生産国。2023年は+1.338%の成長で、前年とほぼ同水準を維持。水稲・トウモロコシの生産が主力で、国内消費重視の姿勢が特徴です。
アメリカ(14.76%)
大豆やトウモロコシなどの穀物で世界有数の輸出国。2023年は+13.14%と高成長を示し、気象条件の回復と生産性の向上が要因と見られます。
インド(11.95%)
米や小麦、雑穀を中心に生産。人口増により国内需要も大きく、+3.347%の安定成長を記録しています。
ブラジル(4.973%)
+14.83%と大幅な伸びを示し、特にトウモロコシや小麦の増産が目立ちます。輸出志向型の農業であり、国際価格の影響も大きい。
ロシア(4.362%)
前年比-10.7%と大きく減少。天候不順や地政学的リスク(戦争・制裁)による物流の混乱が影響しています。
インドネシア・バングラデシュ(合計約4.4%)
両国とも稲作中心で、食糧自給を重視。インドネシアは-4.071%と減少しましたが、バングラデシュは+2.84%と安定。
生産課題と地政学的・気象的リスク
-
気候変動:異常気象(干ばつ、洪水、熱波)の頻発により収穫の安定性が脅かされている。
-
地政学リスク:ロシア・ウクライナ戦争が代表例。国際物流や肥料供給網への影響が顕著。
-
水資源の枯渇:灌漑依存の高い国では地下水の過剰利用が深刻な問題となっている(例:中国北部、インドのパンジャブ地方)。
-
価格変動:国際価格に依存する輸出国は市況変動の影響を強く受けやすい。
今後の推移と予測
-
安定成長国(中国・インド):今後も自国内の食料安定供給を重視し、テクノロジーによる効率向上が進む見込み。
-
輸出主導型国(アメリカ・ブラジル):グローバル市場の需要と価格動向により影響を受けるが、生産拡大余地は依然大きい。
-
気象・政治に左右されやすい国(ロシア・ウクライナ):予測は困難だが、潜在的な穀物供給源としては重要な存在。
-
東南アジア諸国:都市化による農地減少と生産効率の低さが課題。持続可能な農業モデルへの転換がカギ。
コメント