世界のレンズ豆生産:オーストラリアが急成長、インドの需要拡大

生産量

2023年の世界のレンズ豆生産量は7.069Mtで前年比+6.805%。オーストラリア(1.841Mt)が急伸し、カナダ(1.671Mt)を僅差で上回った。インド(1.559Mt)も大幅増。カザフスタンやトルコも安定成長。一方、カナダやロシアは大幅減。気候変動や市場価格、政策支援が各国の生産に影響。今後は南アジア・中央アジアでの生産拡大が期待され、食糧安全保障や植物性タンパク源としての注目が続くと予想される。

レンズ豆の生産量ランキング

2023年
降順昇順
各国最新値[Mt]全体比[%]前年比[%]
世界7.069100+6.805
1オーストラリア1.84126.05+84.21
2カナダ1.67123.64-27.36
3インド1.55922.05+22.84
4トルコ0.4746.706+6.517
5アメリカ0.263.685+1.627
6ネパール0.2012.841-20.41
7バングラデシュ0.1972.785+3.191
8カザフスタン0.1932.729+32.16
9中国0.1692.392+0.837
10ロシア0.1672.356-35.42
11エチオピア0.1091.541+24.26
12イラン0.07971.127-0.178
13シリア0.06790.961+155.3
14アルジェリア0.01670.236+192.6
15イエメン0.009870.14-17.74
16メキシコ0.008410.119-23.69
17ウクライナ0.006370.0901+143.1
18アルゼンチン0.006250.0884-91.36
19モロッコ0.005970.0844-40.19
20パキスタン0.004670.066+20.68
21ペルー0.004030.057+49.92
22エクアドル0.002790.0395+0.0972
23チュニジア0.001730.0245-2.744
24ニュージーランド0.001660.0235+0.335
25ケニア0.001660.0234+1.483
26レバノン0.001340.019-16.44
27コロンビア0.001330.0189+0.9
28マラウイ0.00120.017-0.229
29タジキスタン0.001040.0147+0.911
30ウズベキスタン0.001020.0145+0.483
31パレスチナ0.0008840.0125+16.79
32マダガスカル0.0008670.0123+0.531
33ミャンマー0.000670.00948+7.547
34アゼルバイジャン0.0005760.00814-17.09
35ヨルダン0.0005120.00724-8.588
36エジプト0.000470.00665+100.1
37チリ0.0001840.0026-81.92
38エリトリア0.0001390.00197-2.386
39アルメニア0.0001390.00196-21.78
40北マケドニア5.0E-50.000707-39.76
41イスラエル2.5E-50.000354
42イラク6.25E-68.84E-5-30.56
43ブータン4.06E-65.74E-5+96.14
レンズ豆の生産量
レンズ豆の生産量

生産量

詳細なデータとグラフ

レンズ豆の現状と今後

レンズ豆はマメ科の1年草で、タンパク質や食物繊維、鉄分を多く含むことから、動物性食品の代替として注目されています。乾燥した土地でも育ちやすく、南アジア・中東・地中海諸国を中心に、古代から人類の食糧として重要な作物でした。


2023年の世界的生産動向の全体像

2023年の世界の生産量は7.069Mt、前年比+6.805%と比較的好調な伸びを記録しています。ただし、国別では増減の差が大きく、地域ごとの気象条件や経済要因がそのまま生産に反映された1年でした。


オーストラリアの台頭(+84.21%)

オーストラリア(1.841Mt)は前年から大幅に増加し、ついに世界トップに。乾燥地向け作物としてレンズ豆の適性が高く、近年は農家が小麦や大麦から転作を進めています。高収益性・輸出志向の戦略が成功しており、今後もさらなる拡大が期待されます。


カナダの減退(-27.36%)とその背景

長年世界1の座を維持していたカナダ(1.671Mt)は、2023年に大幅な減少。これは気象変動(干ばつや早霜)の影響に加え、農家の作付面積の縮小や国際価格の変動が主な要因と見られます。とはいえ、依然として高い生産能力と輸出実績を誇る国であることに変わりはありません。


インドの内需と生産回復(+22.84%)

インド(1.559Mt)はレンズ豆を主食の1部として広く消費しており、国内需要の増大により生産も再び伸びています。2023年は天候に恵まれたことと、政府の支援策による作付け拡大が功を奏しました。今後も高需要に支えられ、生産の安定性は高まると見込まれます。


安定拡大する中堅国

  • トルコ(0.474Mt, +6.517%):国内消費と輸出の両面から需要が堅調。灌漑設備の整備が進みつつあり、今後の伸び代がある。

  • カザフスタン(0.193Mt, +32.16%):中央アジアの新興国として注目されており、遊休農地の活用が進行中。欧州向け輸出も視野に入る。

  • アメリカ(0.26Mt, +1.627%):伸びは小さいが、安定した需要と設備投資により堅調。


減退する国々の事情

  • ネパール(-20.41%):農業インフラの未整備、若年層の都市移住などによる農家人口の減少が影響。

  • ロシア(-35.42%):地政学的リスクや輸出制限、気象条件の不安定さが重なり、生産縮小。

  • 中国(+0.837%):わずかな伸びにとどまるが、輸入依存からの脱却に向けた動きが見られる。


今後の展望と注目ポイント

今後のレンズ豆市場は以下のトレンドに沿って展開する可能性が高いです。

  1. 植物性タンパク質としての再評価 肉代替食品の増加に伴い、欧米・アジアを中心に需要が拡大。

  2. 気候変動に強い作物としての戦略性 乾燥地・半乾燥地での安定生産が可能で、水資源に乏しい地域でも作付けが進む。

  3. 新興国による輸出志向の強化 カザフスタンやトルコ、バングラデシュなどが輸出を意識した品質管理を強化。

  4. 市場価格の変動リスクへの対応 過剰生産や急激な需給ギャップに対するリスクマネジメントが課題となる。


まとめ〜多極化・戦略化が進むレンズ豆市場〜

レンズ豆はこれまでカナダ中心の供給構造でしたが、2023年のデータからはオーストラリア、インド、トルコ、カザフスタンなどが台頭し、世界の供給体制が多極化してきた様子が明確に読み取れます。今後は気候適応・輸出志向・栄養需要への対応という3軸で、各国がそれぞれの戦略を進めることが予想されます。レンズ豆は地味ながらも「未来の主食」としての潜在力を秘めた作物といえるでしょう。

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