2023年の世界全体のほうれん草生産量は34.11Mtで、前年比+2.764%の増加となりました。中国が31.73Mtと圧倒的シェアを占め、世界生産の約93%を担っています。その他の国々は小規模ながら増減が見られ、特にパキスタンが+17.31%と急成長を示しました。今後は、栄養価の高さや健康志向の影響で世界的な需要増が見込まれ、各国の施設栽培や品種改良によって生産拡大が進むと予想されます。
ほうれん草の生産量ランキング
各国 | 最新値[Mt] | 全体比[%] | 前年比[%] | |
---|---|---|---|---|
世界 | 34.11 | 100 | +2.764 | |
1 | 中国 | 31.73 | 93.03 | +3.432 |
2 | アメリカ | 0.423 | 1.24 | -1.365 |
3 | トルコ | 0.233 | 0.682 | +1.142 |
4 | 日本 | 0.205 | 0.602 | -2.093 |
5 | インドネシア | 0.171 | 0.5 | -0.0783 |
6 | ケニア | 0.159 | 0.465 | +0.857 |
7 | マレーシア | 0.114 | 0.335 | -8.695 |
8 | イタリア | 0.103 | 0.303 | +6.803 |
9 | イラン | 0.103 | 0.303 | -0.114 |
10 | パキスタン | 0.102 | 0.299 | +17.31 |
11 | ベルギー | 0.0822 | 0.241 | -37.7 |
12 | スペイン | 0.082 | 0.24 | -13.24 |
13 | フランス | 0.0794 | 0.233 | -30.14 |
14 | バングラデシュ | 0.0634 | 0.186 | +2.438 |
15 | 韓国 | 0.0565 | 0.166 | +3.199 |
16 | ドイツ | 0.0542 | 0.159 | -18.33 |
17 | ギリシャ | 0.0515 | 0.151 | -25.69 |
18 | メキシコ | 0.0409 | 0.12 | +40.59 |
19 | オランダ | 0.0394 | 0.116 | -29.43 |
20 | ペルー | 0.0287 | 0.0842 | -2.358 |
21 | アルバニア | 0.0262 | 0.0768 | -11.63 |
22 | エジプト | 0.0232 | 0.068 | +3.231 |
23 | ジャマイカ | 0.0153 | 0.0449 | -12.19 |
24 | スイス | 0.0144 | 0.0422 | -12.67 |
25 | ヨルダン | 0.0131 | 0.0383 | +6.047 |
26 | ハンガリー | 0.0121 | 0.0355 | |
27 | オーストリア | 0.00776 | 0.0228 | -9.027 |
28 | チュニジア | 0.00745 | 0.0218 | -0.0853 |
29 | オーストラリア | 0.00667 | 0.0196 | -8.303 |
30 | カナダ | 0.00641 | 0.0188 | -2.947 |
31 | ポルトガル | 0.00529 | 0.0155 | -16.03 |
32 | コロンビア | 0.00493 | 0.0145 | -6.051 |
33 | パレスチナ | 0.00486 | 0.0142 | +0.571 |
34 | ベネズエラ | 0.00485 | 0.0142 | -1.139 |
35 | ポーランド | 0.0048 | 0.0141 | |
36 | チェコ | 0.0048 | 0.0141 | -21.05 |
37 | アイルランド | 0.00275 | 0.00806 | +10 |
38 | アラブ首長国連邦 | 0.00255 | 0.00749 | +0.321 |
39 | イラク | 0.00231 | 0.00677 | -27.8 |
40 | シンガポール | 0.00219 | 0.00642 | +0.611 |
41 | レバノン | 0.002 | 0.00587 | -0.43 |
42 | ニュージーランド | 0.00176 | 0.00517 | -0.923 |
43 | デンマーク | 0.00154 | 0.00452 | +94.94 |
44 | ボツワナ | 0.00127 | 0.00373 | +10.76 |
45 | ハイチ | 0.00101 | 0.00295 | -0.526 |
46 | コンゴ | 0.000966 | 0.00283 | -0.113 |
47 | フィンランド | 0.00085 | 0.00249 | +19.72 |
48 | ルーマニア | 0.00077 | 0.00226 | +5.479 |
49 | スロバキア | 0.00071 | 0.00208 | +4.412 |
50 | フィリピン | 0.000706 | 0.00207 | +1.313 |
51 | キプロス | 0.00069 | 0.00202 | +1.471 |
52 | ブルネイ | 0.00065 | 0.0019 | +36.18 |
53 | ウクライナ | 0.00024 | 0.000704 | +9.091 |
54 | イスラエル | 0.000236 | 0.000692 | -21.33 |
55 | クロアチア | 0.00022 | 0.000645 | -31.25 |
56 | クウェート | 0.000214 | 0.000627 | -8.547 |
57 | リトアニア | 0.00016 | 0.000469 | -73.33 |
58 | マルタ | 0.00016 | 0.000469 | -27.27 |
59 | ブルガリア | 0.00016 | 0.000469 | -69.23 |
60 | スロベニア | 0.00016 | 0.000469 | -33.33 |
61 | 北マケドニア | 0.000138 | 0.000405 | +0.649 |
62 | スウェーデン | 9.0E-5 | 0.000264 | -65.38 |
63 | コスタリカ | 6.28E-5 | 0.000184 | +0.0797 |
64 | カタール | 5.2E-5 | 0.000152 | +85.71 |
65 | アンティグアバーブーダ | 1.65E-5 | 4.85E-5 | +99.52 |
66 | ルクセンブルク | 1.0E-5 | 2.93E-5 | |
67 | ポリネシア | 7.26E-6 | 2.13E-5 | +21 |
68 | フランス領ポリネシア | 7.26E-6 | 2.13E-5 | +21 |
69 | エストニア | 0 | 0 |


詳細なデータとグラフ
ほうれん草の現状と今後
ほうれん草は鉄分やビタミンA・C・Kなどの栄養素が豊富な葉物野菜であり、世界中で健康志向の高まりと共に需要が拡大しています。特に生食や冷凍加工品としての用途が広がり、家庭から業務用まで幅広い市場を持っています。
世界全体の生産量とその増減傾向
2023年の世界のほうれん草生産量は34.11Mtで、前年比+2.764%の増加。長期的にも増加傾向にあり、1960年代から比べて世界の食生活の多様化や温室栽培の普及が寄与しています。今後も人口増加や都市部での健康志向によって需要は安定して推移すると考えられます。
中国|圧倒的な生産大国の現状
中国は31.73Mt(前年比+3.432%)と、世界の93%以上を占める圧倒的な生産国です。理由としては以下の点が挙げられます:
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地域による周年栽培の可能性
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労働力コストが比較的低い
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国内消費市場の大きさ
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加工・冷凍食品への用途の拡大
この1国に依存する状況は、安定供給と価格変動のリスクを内包している側面もあります。
アメリカ|高品質と多用途の両立
アメリカは0.423Mtを生産し、前年比では-1.365%の微減となっています。ただし、アメリカのほうれん草はサラダ用の「ベビースピナッチ」としての需要が高く、高付加価値な商品として安定した地位を築いています。生産効率の高い施設農業や、有機栽培の拡大が進んでいる点も注目です。
トルコ・日本・インドネシア|地域に根ざした中堅生産国
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トルコ(0.233Mt / +1.142%)は中東・欧州市場向けの供給国として存在感を高めています。
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日本(0.205Mt / -2.093%)では需要は安定していますが、少子高齢化による生産者減少や農地縮小が課題です。
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インドネシア(0.171Mt / -0.0783%)は気候の変動に影響されやすく、生産はやや不安定です。
これらの国々では、地域の消費構造と生産者支援のあり方が将来を左右する鍵となります。
新興国の動向|ケニア・パキスタン・マレーシアなど
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ケニア(+0.857%)やマレーシア(-8.695%)では、都市周辺の小規模農家による葉物栽培が拡大していますが、気象リスクやインフラ課題が成長の障害となっています。
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パキスタンは0.102Mtながら+17.31%と急成長。灌漑設備の整備や地域市場の拡大が奏功していると考えられます。
新興国では、ローカル市場の成長と都市化の進展により、葉物野菜の需要がさらに高まると見られています。
将来予測|需要増加と生産の持続可能性
今後のほうれん草生産の将来像には、以下の要素が強く関わってきます:
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施設園芸の拡大:水耕栽培や垂直農業による安定供給
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有機栽培・低農薬栽培へのニーズ増加
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加工・冷凍需要の拡大:グローバル輸出も視野に
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気候変動の影響:高温や異常気象が葉物に与えるダメージへの対応が必要
特に都市近郊型農業や、持続可能性を重視した農法への転換が求められます。
まとめ|多様な地域展開とグローバルな価値の高まり
ほうれん草は、栄養価と調理の柔軟性により、今後ますます世界で求められる野菜です。中国に偏った供給構造のリスクを補完するためにも、アメリカや日本を含む中堅国、新興国の役割は重要性を増していくと考えられます。栽培技術の進化と国際市場へのアクセス向上が、グローバルな葉物野菜戦略の鍵となるでしょう。
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