世界のヤムイモ生産はアフリカ西部を中心に発展し、ナイジェリアが全体の7割近くを占めている。近年の成長は鈍化傾向にあるが、コートジボワールやベナンでは増産が見られる。気候変動やインフラ不足が課題であり、持続可能な生産と多国間協力の必要性が高まっている。将来的には生産国の多様化と農業支援政策が鍵を握る。
生産量のデータとグラフ
ヤムイモ生産量の最大と最新
世界 | ナイジェリア | ガーナ | コートジボワール | ベナン | トーゴ | カメルーン | 中央アフリカ共和国 | |
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最新 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 |
最大期 | 2023年 | 2023年 | 2022年 | 2023年 | 2019年 | 2022年 | 2016年 | 2021年 |
最新値[Mt] | 89.35 | 61.92 | 10.51 | 7.967 | 3.321 | 0.9743 | 0.5419 | 0.5097 |
最大値[Mt] | 89.35 | 61.92 | 10.71 | 7.967 | 3.366 | 0.9846 | 0.6181 | 0.5116 |
前年比[%] | 0.7185 | 0.8796 | -1.84 | 2.325 | 3.303 | -1.048 | -0.4904 | 0.3334 |
全体比[%] | 100 | 69.31 | 11.76 | 8.917 | 3.717 | 1.09 | 0.6066 | 0.5704 |
これまでの推移


詳細なデータとグラフ
ヤムイモ生産量についての推移と展望
ヤムイモ(Yam)は主にアフリカ、アジア、カリブ海諸国で重要な主食となっている根菜で、特に西アフリカでは食文化に深く根付いている。でんぷん質が多く、保存性にも優れることから、食糧安全保障の観点でも注目されている。
世界の生産推移(1961〜2023年)
世界のヤムイモ生産量は1960年代から右肩上がりに増加し、2023年には89.35Mt(百万トン)に達した。とくに1990年代以降、ナイジェリアなど西アフリカ諸国の農業支援政策が奏功し、急速な生産拡大が進んだ。一方で、近年は0.7185%の微増にとどまっており、成長の頭打ち感も見られる。
国別生産の特徴とシェア
ナイジェリア(61.92Mt/69.31%)
世界最大のヤムイモ生産国で、圧倒的なシェアを占めている。気候と土壌が適しており、伝統的農法と家庭菜園的な栽培スタイルが根強く残る。前年比は0.8796%とわずかに増加。
ガーナ(10.51Mt/11.76%)
国内消費と地域輸出を両立している。前年比は-1.84%と減少しており、異常気象や農家の都市流出などが影響していると見られる。
コートジボワール(7.967Mt/8.917%)
前年比2.325%と健全な成長を維持。輸出向けの品質向上政策やインフラ投資が奏功。
ベナン(3.321Mt/3.717%)
前年比3.303%と比較的高い成長率を記録。近年は有機農業や地域ブランド化も試みられている。
トーゴ、カメルーン、中央アフリカ共和国
これらの国々は1%前後のシェアだが、いずれも地域食としての需要が高く、潜在的な生産拡大余地がある。前年比では一部で減少傾向が見られる。
現代の課題と構造的問題
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インフラの未整備:収穫後の輸送や保存技術の不足がロスを生み、特に農村部では深刻な問題となっている。
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気候変動の影響:干ばつや異常降雨の頻度増加により、作付け面積の変動が激しくなっている。
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農業支援の偏在:ナイジェリアなど一部では政府の支援が強い一方で、他国では農業政策が未整備なケースも多い。
将来予測と展望
今後の生産推移については以下のような予測が立てられる:
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ナイジェリアは人口増とともに内需が伸び、技術導入により生産性向上が進む可能性が高い。
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ガーナやベナンは輸出拡大と品質向上を鍵に成長を維持。
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コートジボワールは農業改革次第で更なる増産が見込める。
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東アフリカやアジアの生産国が新たに台頭する可能性も。
また、アフリカ内での農業技術共有や国際機関によるインフラ投資があれば、より均衡のとれた生産体制の構築が期待される。
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