世界の玉ねぎ生産量は2023年に111.3Mtとなり、前年から微減しました。インドと中国が全体の半数を占め、特にインドは生産減が目立ちました。一方、トルコやイランでは大幅な増加が見られました。生産量の地域集中が価格変動や供給リスクに影響を及ぼす可能性があり、今後の気候変動や需要動向を踏まえた戦略的対応が求められます。
生産量のデータとグラフ
玉ねぎ生産量の最大と最新
世界 | インド | 中国 | エジプト | アメリカ | トルコ | バングラデシュ | イラン | |
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最新 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 |
最大期 | 2022年 | 2022年 | 2021年 | 2023年 | 2016年 | 1995年 | 2023年 | 2015年 |
最新値[Mt] | 111.3 | 30.21 | 24.92 | 3.804 | 3.315 | 2.6 | 2.547 | 2.1 |
最大値[Mt] | 111.5 | 31.69 | 25.16 | 3.804 | 3.801 | 2.85 | 2.547 | 2.426 |
前年比[%] | -0.2058 | -4.668 | 0.7211 | 2.357 | 4.312 | 10.64 | 1.189 | 9.061 |
全体比[%] | 100 | 27.15 | 22.39 | 3.419 | 2.98 | 2.337 | 2.289 | 1.887 |
これまでの推移


詳細なデータとグラフ
玉ねぎ生産量についての推移と展望
玉ねぎは世界中で広く消費される重要な野菜であり、調味料・主食の補助材料として家庭料理から加工食品まで様々な場面で利用されています。1961年から2023年までのデータをもとに、世界の玉ねぎ生産の推移、国別の動向、直近の変化、将来の展望について分析します。
世界全体の生産動向
2023年の玉ねぎ生産量は111.3Mt(メガトン)で、前年からは-0.2058%の微減となりました。これは全体としてはほぼ横ばいの動きであり、世界的な需給のバランスが大きく崩れていないことを示します。しかし地域別にみると、供給の偏りや生産変動が目立ちます。
国別生産量の内訳と特徴
インド(30.21Mt / 27.15% / -4.668%)
世界最大の玉ねぎ生産国であるインドは、全体の27.15%を占めていますが、前年比で-4.668%と大きく減少しました。これは異常気象や流通の混乱、または国内価格統制政策などの影響が考えられます。インド国内では価格高騰と供給不安が社会問題化することもあります。
中国(24.92Mt / 22.39% / +0.7211%)
中国は安定した生産基盤を持ち、前年比で微増しています。政府の農業支援政策や灌漑インフラの整備などが背景にあり、持続可能な生産が進んでいるとみられます。
エジプト(3.804Mt / 3.419% / +2.357%)
中東およびヨーロッパ市場向け輸出の拠点として重要な役割を果たすエジプトでは、安定した増加傾向が続いています。灌漑農業とNile Riverの恩恵を活用しています。
アメリカ(3.315Mt / 2.98% / +4.312%)
アメリカでは、主に西部州(カリフォルニア、ワシントン、オレゴン)を中心に生産され、前年比4.312%の増加は、生産技術の改善や気象条件の好転によるものと推測されます。
トルコ(2.6Mt / 2.337% / +10.64%)
前年比で2桁増を記録したトルコは、生産拡大に向けた政府の支援策やヨーロッパ・中東への輸出増加が寄与しています。
バングラデシュ(2.547Mt / 2.289% / +1.189%)
気候変動の影響を受けながらも安定的に生産量を確保しており、農家の技術改善が効果を上げているとみられます。
イラン(2.1Mt / 1.887% / +9.061%)
乾燥地帯ながらも効率的な灌漑技術により生産を拡大しています。国内需要の高まりとともに地域供給の重要な役割を担っています。
世界市場への影響とリスク
主要生産国が限られていることは、気候リスクや政策変更による価格の急変動につながりやすいです。特にインドの生産量減は世界市場に直接影響を与えるため、輸出制限や輸入国の確保競争を引き起こす可能性があります。
今後の展望と予測
世界的な人口増加と食生活の多様化により玉ねぎの需要は引き続き高いと予測されます。一方で気候変動や水資源の制限が生産に与える影響は無視できません。
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インド:中国に次ぐ安定供給体制の確立が急務。
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アフリカ・中東:新たな供給拠点として期待される。
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テクノロジー:スマート農業による収量向上が鍵。
まとめ
玉ねぎの生産はインドと中国の2大国に依存する構造ですが、新興国の生産拡大が見られる点は世界市場にとって好材料です。気候変動や国際需給のバランスを考慮した持続可能な農業政策と技術革新が今後の鍵となるでしょう。
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