ニラ栽培の現状と課題：主要産地の動向と今後の展望

日本のニラ栽培は、全国的に作付面積が減少傾向にあり、高齢化や労働力不足が課題となっています。主要産地では、省力化や機械化、新規就農者の支援などに取り組んでおり、今後はブランド化と販路拡大が重要です。

2002年から2023年にかけて、日本のニラの栽培面積は減少傾向にあります。2023年の全国の栽培面積は1.85千haで、前年比で2.116%の減少となりました。この背景には、生産者の高齢化や後継者不足、労働力の確保の難しさなどが影響しています。

一方で、10a当たりの収量（単収）は増加傾向にあり、効率的な栽培技術の導入や施設の近代化が進んでいることが伺えます。ゼロアグリ –

主要産地の特徴

栃木県（0.3千ha、全国比16.22%、前年比-4.459%）

栃木県は、全国第2位の生産量を誇る主要産地です。しかし、近年は作付面積の減少が続いており、後継者不足や高齢化が課題となっています。ゼロアグリ –

高知県（0.251千ha、全国比13.57%、前年比+0.4%）

高知県は、温暖な気候を活かした周年栽培が特徴で、全国第1位の生産量を誇ります。「そぐりセンター」の設置や調製作業の機械化、外国人技能実習生の受け入れなど、労働力確保と効率化に取り組んでいます。 

山形県（0.205千ha、全国比11.08%、前年比-1.914%）

山形県は、冷涼な気候を活かした栽培が行われていますが、作付面積の減少が課題となっています。

茨城県（0.192千ha、全国比10.38%、前年比-2.538%）

茨城県では、調製作業の省力化に向けた取り組みが進められており、診断票の作成や機械導入の支援が行われています。

福島県（0.143千ha、全国比7.73%、前年比-2.055%）

福島県は、冷涼な気候を活かした栽培が行われていますが、作付面積の減少が課題となっています。

群馬県（0.14千ha、全国比7.568%、前年比-4.11%）

群馬県では、施設栽培の導入や栽培技術の向上に取り組んでいますが、作付面積の減少が続いています。

千葉県（0.108千ha、全国比5.838%）

千葉県は、都市近郊型農業の利点を活かした栽培が行われていますが、作付面積の減少が課題となっています。

ニラ栽培の課題

労働力不足と高齢化

ニラの収穫後には、「そぐり」と呼ばれる外葉の除去作業が必要で、全体の作業の約6割を占めます。この作業は手作業が中心であり、高齢化や労働力不足が大きな課題となっています。【公式】JA高知県+1日経BP Special+1

気候変動の影響

近年の気候変動により、栽培環境が不安定になり、収量や品質に影響を及ぼすケースが増えています。

価格の変動

市場価格の変動が大きく、生産者の収益安定に影響を与えています。

今後の展望と対策

省力化と機械化の推進

調製作業の機械化や「そぐりセンター」の設置により、労働力不足の解消と作業効率の向上が期待されます。【公式】JA高知県+1日経BP Special+1

新規就農者の支援

研修制度の充実や設備投資の支援により、新規就農者の確保と定着を図ることが重要です。【公式】JA高知県

ブランド化と販路拡大

高品質なニラの生産とブランド化を進め、国内外の販路拡大を目指すことが求められます。