水菜の収穫量推移と主要産地の特徴・課題と将来展望を徹底解説

葉茎菜類



日本の水菜収穫量は2023年に36.1ktで、前年比-7.436%と減少傾向です。主産地の茨城県が全体の約半分を占める一方、福岡や滋賀は増加傾向を見せています。気候変動や人手不足などの課題が影響する中、スマート農業や地域ブランド化による生産維持と持続的成長が今後の鍵とされます。

野菜収穫量のデータとグラフ

水菜収穫量の最大と最新

全国 茨城 福岡 京都 滋賀 兵庫 埼玉 大阪
最新 2023年 2023年 2023年 2023年 2023年 2023年 2023年 2023年
最大期 2019年 2019年 2014年 2010年 2016年 2014年 2011年 2010年
最新値[kt] 36.1 17.3 3.43 2.5 1.45 1.42 1.38 0.943
最大値[kt] 44.4 22.8 4.53 2.75 1.71 1.98 3.02 1.61
前年比[%] -7.436 -10.36 4.573 -8.425 2.837 -7.19 0 -2.077
全体比[%] 100 47.92 9.501 6.925 4.017 3.934 3.823 2.612

 

これまでの推移

水菜の収穫量
最新の割合

 

詳細なデータとグラフ

 

水菜についての推移と展望

水菜は古くから京野菜の代表格として知られ、特に鍋料理やサラダ需要の拡大により全国的に消費が広がってきました。2010年代から2020年代前半にかけては、健康志向の高まりやカット野菜市場の拡大を背景に、施設栽培による通年供給が可能な作物として注目され、生産量は全国的に安定推移してきました。

しかし、2023年時点での全国収穫量は36.1kt(前年比-7.436%)と減少に転じており、これには異常気象や生産者の高齢化、コスト増加などの構造的課題が影響しています。


主要産地別の現状と特徴

茨城県(17.3kt・全国比47.92%・前年比-10.36%)

全国シェアのほぼ半分を占める圧倒的な主産地。関東圏の大消費地に近く、輸送コストも低いため有利。しかし、2023年は猛暑や降雨不足により減収が目立ちました。

福岡県(3.43kt・9.501%・+4.573%)

九州圏の冬季供給を担う存在。温暖な気候を生かして冬場の生産拠点として強みを持ち、2023年は生育条件が良好で収穫量は前年比増加。

京都府(2.5kt・6.925%・-8.425%)

水菜の発祥地であり、京野菜ブランドを活かした高付加価値路線が特徴。生産量は減少傾向にあるものの、品質重視のニッチ市場を維持。

滋賀県(1.45kt・4.017%・+2.837%)

琵琶湖周辺の豊富な水資源を活用。近年は施設栽培の導入と若手就農者の増加が生産維持に寄与。

兵庫県(1.42kt・3.934%・-7.19%)

都市近郊農業の一環として栽培。施設の老朽化や農地転用などが生産減の一因。

埼玉県(1.38kt・3.823%・前年比不明)

首都圏の近郊として安定供給が可能。輸送面では有利だが、競合作物との兼ね合いで面積確保が課題。

大阪府(0.943kt・2.612%・-2.077%)

かつての伝統野菜地帯。小規模農家が多く、都市農業として継続するが高齢化が深刻。


水菜の収穫減少の要因と課題

  1. 気候変動の影響:猛暑や降雨不足により葉物野菜全般で病害や品質低下が増加。

  2. 農業従事者の高齢化:若年層の新規参入が限られ、機械化が進まない圃場も多い。

  3. 燃料・資材の価格高騰:ビニールハウスや冷蔵設備などの維持管理コストが上昇。

  4. 流通構造の硬直性:価格決定権を持ちにくく、安定収益を見込めない状況が続く。


今後の動向と政策的対応

  • スマート農業の導入拡大 精密な温度・水管理技術の導入で、天候リスクの回避と品質安定が期待されます。

  • ブランド化と高付加価値化 「京水菜」などの地域ブランドを強化し、価格競争からの脱却を図る動きが進む可能性があります。

  • 季節分散型の産地リレー 夏は高冷地、冬は九州など、産地をリレーする体制を構築することで安定供給を実現。

  • 新規就農者への支援拡充 特に施設栽培に関心を持つ若手への補助金や技術研修の提供が不可欠です。

 

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