2025年4月のボウリング1ゲーム平均価格は673.1円。長岡は1600円で全国最高値、宇部・日立は450円と最安。地方では価格維持に苦慮しつつも低価格帯を維持する施設が多い一方、都市部では高付加価値型で値上がり傾向。価格差は地域経済の反映であり、今後の運営モデル改革が課題。
エンタメの都市別小売価格
ボウリングゲーム価格の高い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 長岡 | 横浜 | 東京都区部 | 静岡 | 郡山 | 神戸 | 熊本 | 浜松 | 旭川 | 府中 |
最新値[円] | 673.1 | 1600 | 900 | 800 | 780 | 780 | 780 | 780 | 780 | 780 | 780 |
平均比[%] | 100 | 237.7 | 133.7 | 118.9 | 115.9 | 115.9 | 115.9 | 115.9 | 115.9 | 115.9 | 115.9 |
前年月同比[%] | +1.997 | +2.632 | +2.632 | +2.632 | +2.632 | +2.632 | +2.632 | +2.632 |
ボウリングゲーム価格の低い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 宇部 | 日立 | 岐阜 | 新潟 | 枚方 | 徳島 | 今治 | 山形 | 岡山 | 松山 |
最新値[円] | 673.1 | 450 | 450 | 500 | 500 | 500 | 540 | 550 | 550 | 550 | 550 |
平均比[%] | 100 | 66.85 | 66.85 | 74.28 | 74.28 | 74.28 | 80.22 | 81.71 | 81.71 | 81.71 | 81.71 |
前年月同比[%] | +1.997 | -18.18 | +8.696 | +10 |
これまでのエンタメの推移


詳細なデータとグラフ
ボウリングゲームの現状と今後
かつては家族や友人と気軽に楽しむレジャーとして日本全国に普及したボウリングですが、少子高齢化や施設の老朽化、競合娯楽の多様化により、店舗数や利用者数の減少傾向が続いています。そのなかで、価格変動が大きく目立ち始めたのが近年の特徴です。
全国平均価格の推移と2025年の現状
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2025年4月時点の全国平均価格:673.1円(1ゲームあたり)
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2010年当時の平均は500円台であったと推定され、15年で約30%以上の上昇
特に直近1〜2年での上昇が顕著であり、運営側のコスト転嫁が進んでいる状況がうかがえます。
高価格地域の特徴と背景
長岡市(1ゲーム:1600円)
全国最高値を記録しており、全国平均の約2.4倍。これは以下の要因によると推察されます:
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施設が少数・希少性が高く、競争が発生しにくい
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高級化・特別仕様のレーンや演出型の施設
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ボウリング以外のサービス(カフェ、カラオケ併設等)との複合料金化
横浜市(900円)、東京都区部(800円)
大都市圏では地価・人件費が高く、また以下の要素も影響:
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施設のインバウンド対応や観光客対応による価格設定
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ナイトボウリングやデジタル演出など高付加価値化
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人件費や光熱費高騰による価格転嫁
静岡・郡山・神戸・熊本・浜松・旭川・府中(各780円)
これらは全国の地方中核都市として共通しており、前年比+2.632%の価格上昇を示しています。特筆すべき点:
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施設維持費の高騰
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エネルギー価格上昇への対応
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経営再編や統廃合によって選択肢が減少し、価格が硬直化
低価格地域の特徴と背景
宇部・日立(各450円)
最安値圏にありながら、宇部では前年同期比-18.18%の値下げが見られます。背景には:
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地元密着型の運営で価格維持を優先
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平日昼間の高齢者需要を狙った価格戦略
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競合娯楽の少なさによる固定客維持への配慮
岐阜・枚方・徳島・今治・山形・岡山・松山(500〜550円)
これらは地方の中小都市に多く、ボウリング施設が娯楽の選択肢の1つとして残っている地域。特徴:
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老舗ボウリング場が生き残っており、低価格維持が可能
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岐阜や松山では若干の値上げ傾向もあり(+8.7〜10%)
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地元還元志向が強く、価格維持がブランディングに直結
価格変動の要因と構造的課題
コスト上昇
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電気代・冷暖房費の上昇
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人件費の増加(特に都市部)
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メンテナンス費用(老朽化対策)も重荷
客層の2極化
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若年層は娯楽の多様化でボウリング離れ
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中高年層が日中利用層の主力
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都市では観光客や団体イベントが中心となり、価格設定が高めに
競合・市場構造
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カラオケ・ゲームセンター・VR施設などとの競争が激化
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利用頻度の減少で収益性低下 → 単価引き上げへ
今後の展望と課題
地域間格差の是正は困難か
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地方は維持に限界、都市部は高付加価値化へと2極化
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ボウリングの「気軽さ」が失われるリスク
新しいサービス戦略が必要
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学生向け割引・サブスクリプション導入などの価格設計の多様化
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家族向けイベント・企業研修など新たな利用モデルの開発
公共支援・補助の必要性
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地域コミュニティ維持のため、高齢者健康促進事業との連携が鍵に
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少子化対策と合わせた親子向けレクリエーション施設としての再定義
まとめ — ボウリングは今も「鏡」:地域経済と娯楽の反映
2025年のボウリング価格動向を見ると、日本各地でレジャーの受け止め方や経済状況の差が大きく反映されています。長岡のように超高価格帯へと進む都市がある1方で、宇部や日立のように地域密着型で価格を抑え続ける地域も存在します。
価格の地域差は単なる金額差ではなく、その地域の経済構造、施設のビジネスモデル、住民ニーズの違いを如実に物語っているのです。
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