2016年から2025年にかけて天丼の平均価格は全国で上昇し、2025年3月時点では1,058円に。山形や前橋などでは高価格が目立ち、奈良や宮崎などの低価格地域でも前年比70%以上の急騰が確認された。要因は原材料費や人件費、物流費の高騰で、地域差や経済格差も反映されている。
惣菜・外食の都市別小売価格
天丼の高い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 山形 | 前橋 | 富山 | 鳥取 | 東京都区部 | 水戸 | 横浜 | 福島 | 和歌山 | 宇都宮 |
最新値[円] | 1058 | 1417 | 1350 | 1343 | 1284 | 1280 | 1267 | 1253 | 1227 | 1184 | 1183 |
平均比[%] | 100 | 133.9 | 127.6 | 126.9 | 121.4 | 121 | 119.8 | 118.4 | 116 | 111.9 | 111.8 |
前年月同比[%] | 3.98 | 15.39 | 11.57 | 8.921 | 11.07 | 3.981 | 0 | 2.874 | 0 | 0.938 | 7.545 |
天丼の低い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 奈良 | 宮崎 | 徳島 | 松山 | 岡山 | 青森 | 千葉 | 静岡 | 松江 | 高知 |
最新値[円] | 1058 | 772 | 813 | 833 | 856 | 860 | 869 | 873 | 877 | 882 | 890 |
平均比[%] | 100 | 72.97 | 76.85 | 78.74 | 80.91 | 81.29 | 82.14 | 82.52 | 82.9 | 83.37 | 84.13 |
前年月同比[%] | 3.98 | 25.53 | 4.231 | 2.84 | 0 | -6.926 | 0.346 | -11.1 | 1.977 | 0 | 9.202 |
これまでの外食・定食の推移


詳細なデータとグラフ
天丼の現状と今後
2016年から2025年3月にかけて、日本全国における天丼の小売価格は着実に上昇しており、直近(2025年3月時点)では平均価格が1,058円となっています。天丼は使用される海老や魚介、野菜などの素材の価格変動に大きく影響されるため、物価全体の上昇とともに値上がりしていると考えられます。
高価格地域の特徴
高価格地域として最も注目されるのが山形県(1,417円)であり、続いて前橋(1,350円)、富山(1,343円)、鳥取(1,284円)、東京都区部(1,280円)などが挙げられます。これらの地域は以下のような要因で高価格化しています:
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高品質な地元食材(地魚、山菜など)を使用し、付加価値の高い商品展開がされている。
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都市部(東京都区部や横浜など)では賃料や人件費、光熱費の高騰が影響。
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地方都市でも観光需要に対応した価格設定が見られる。
特に山形は前年比15.39%と、絶対額でも伸び率でも顕著な上昇を示しています。
低価格地域の傾向と背景
一方で、最も価格が低いのは奈良県(772円)、次いで宮崎(813円)、徳島(833円)、松山(856円)、岡山(860円)などが続きます。これらの地域では以下の特徴が見られます:
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地元の安価な食材の活用によって原価が抑えられている。
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全国チェーン店による低価格競争の影響が強い。
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物価水準全体が低めに抑えられている。
ただし、奈良(+72.97%)、宮崎(+76.85%)、徳島(+78.74%)など、価格水準が低かった地域ほど前年比の増加率が著しく、価格上昇の勢いはむしろ高価格地域を上回っている傾向も見られます。
価格高騰の要因
天丼価格の上昇には、以下のような複合的な要因があります:
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原材料費の高騰:特に海老や魚介類、天ぷら油、小麦粉などの原材料が世界的に高騰。
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人件費の上昇:最低賃金の引き上げや人手不足による人件費増加。
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円安の影響:輸入食材のコストが上昇。
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物流コストの上昇:燃料価格の高騰や配送業界の人手不足が影響。
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包装・衛生コストの増加:テイクアウト需要の拡大による包装材の使用増。
これらの要因は全国的に共通して影響を及ぼしており、各地域の特性によってその影響の度合いが異なります。
今後の見通しと小売業者への課題
今後も天丼価格は上昇する可能性が高いと考えられます。特に食材価格やエネルギーコストが安定しない中、価格の安定化には以下のような施策が求められます:
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地元食材の活用によるコスト削減と地域活性化の両立。
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自動化や省人化による生産効率の向上。
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顧客に価格上昇の理由を丁寧に伝える情報発信の工夫。
また、各地域ごとの市場特性に応じた戦略も重要であり、高付加価値商品で利益を確保する都市部と、低価格でも回転率を高める地方部とで異なるアプローチが求められます。
結語
天丼は日本の定番メニューであり、その価格変動は日本経済全体の動きを映し出すバロメーターの一つです。今後も消費者と販売者の間で「価格と価値」のバランスを探る試みが続く中、各地域の創意工夫と柔軟な対応が価格の適正化と継続的な販売にとって鍵となります。
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