魚介つくだ煮100gの価格が平均543.9円に上昇、地域差と今後を解説

加工食品



2025年4月の魚介つくだ煮100gの平均価格は543.9円で、前年比+1.436%。近畿や四国では700円近い高価格帯が目立ち、贈答用文化や高級品志向が背景に。一方で甲府や九州などでは400円以下にとどまる地域も。原材料費や加工コスト上昇、小規模業者の減少が価格上昇要因であり、今後も緩やかな上昇傾向が続く可能性が高い。

小売物価統計

魚介つくだ煮小売りの高い都市

2025年4月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
名称 平均 大津 京都 神戸 大阪 高松 徳島 盛岡 長崎 青森
最新値[円] 543.9 716 695 663 656 655 639 637 627 621 609
前年同月比[%] +1.436 -11.17 +1.757 +1.843 -0.606 +14.11 +2.077 +0.951 -0.159 +23.46 +22.29

魚介つくだ煮小売りの安い都市

2025年4月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
名称 平均 甲府 佐賀 水戸 熊本 大分 山形 金沢 宮崎 長野 高知
最新値[円] 543.9 376 389 419 427 437 448 454 455 456 478
前年同月比[%] +1.436 -8.293 -12.19 +10.55 -12.68 +6.585 +2.752 -8.468 -11.65 +5.069 -7.9

 

魚介つくだ煮の推移

魚介つくだ煮小売り価格
最新のデータ

 

詳細なデータとグラフ

 

魚介つくだ煮の現状と今後

2025年4月時点での全国平均価格は543.9円/100gで、前年比+1.436%とわずかな上昇にとどまっています。データは2010年1月からの長期にわたっており、2010年代初頭の価格はおおむね450~480円程度で推移していました。

その後、2015年頃から原材料費の高騰や加工コストの上昇が影響し、価格は徐々に右肩上がりの傾向に。特に2022年以降は、海産資源の不安定供給と円安の影響により高止まり状態となっています。


地域別価格とその背景

価格が高い地域安い地域では、その差が300円以上にも及びます。これは単なる輸送費の差異以上に、地域の食文化・需要・販売形態の違いが大きく関わっています。

高価格地域(上位10)

  • 大津:716円(前年比-11.17%)

  • 京都:695円(+1.76%)

  • 津:663円(+1.84%)

  • 神戸:656円(-0.61%)

  • 大阪:655円(+14.11%)

これらの地域では、近畿地方に根付く“贈答用高級佃煮文化”の影響が強く、パッケージや味付けにおいて上質さを追求する傾向があります。百貨店や高級スーパーでの取扱いも多く、価格水準が高くなる傾向です。

低価格地域(下位10)

  • 甲府:376円(前年比-8.29%)

  • 佐賀:389円(-12.19%)

  • 水戸:419円(+10.55%)

  • 熊本:427円(-12.68%)

  • 大分:437円(+6.59%)

これらの地域では、1般家庭向けの簡易包装・大量仕入れ品の販売が多く、地域内での佃煮消費習慣の強さも限定的。特に9州や甲信地方では、つくだ煮自体がメイン食品であるという位置づけではなく、価格が比較的抑えられています。


価格上昇に影響する複合要因

魚介つくだ煮の価格は、以下のような複数の要因によって形成されています。

原材料の不安定化

  • 主要原料となる小魚、貝類、イカ、エビ等の漁獲量の変動は年々激しく、海水温の上昇や海洋環境の変化により漁期短縮や品質低下が見られる。

加工コストの上昇

  • 醤油・砂糖・みりん等の副材料価格の上昇に加え、エネルギーコスト(ガス・電気)や人件費の上昇が影響。

小規模製造業者の撤退

  • 高齢化と後継者不足により、特に地方都市での伝統佃煮業者の廃業が続出。供給が限定されることで単価が上昇するケースも。


消費者の変化と今後の需要構造

佃煮の主要な購買層である高齢者世代の縮小により、伝統食品の消費量そのものが長期的には減少傾向にあります。しかし、健康志向や和食回帰の流れの中で、1部若年層では「ご飯のおとも」として再評価される動きも見られます。

  • おにぎり具材、パスタやパンへの応用など、多用途展開でニーズが再構築されつつある。

  • コンビニや冷凍食品との連携により、「時短おかず」としての価値提案が進行中。


今後の価格見通しと課題

今後の魚介つくだ煮の価格は、以下のシナリオに左右されると考えられます。

上昇要因:

  • 漁業資源の更なる不安定化(気候変動)

  • 労働力確保難による加工業のコスト増

  • 地場メーカーの減少に伴う供給制約

下落または安定の可能性:

  • 冷凍原料・海外産魚介の導入による低コスト製造

  • 1部地域での過当競争や価格競争(特売・業務用対応)

消費者ニーズに応じた価格帯の多層化(例:業務用500円未満〜高級品1000円超)によって、供給側の柔軟な対応が今後の鍵となります。

 

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