香辛料1箱43gの全国平均価格は2025年4月時点で175.4円。価格は地域によって最大40円以上の差があり、東京都区部では高く、高知などでは安い。輸入依存、円安、包装資材の高騰が価格上昇の要因。今後は高付加価値製品の伸長とともに緩やかな価格上昇が見込まれる。
小売物価統計
香辛料小売りの高い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 東京都区部 | 熊本 | 岐阜 | 山口 | 長崎 | 高松 | 富山 | 大分 | 福島 | 岡山 |
最新値[円] | 175.4 | 196 | 193 | 192 | 192 | 189 | 188 | 186 | 186 | 185 | 185 |
前年同月比[%] |
香辛料小売りの安い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 高知 | 青森 | 鹿児島 | 前橋 | 神戸 | 長野 | 佐賀 | 盛岡 | 福岡 | 宇都宮 |
最新値[円] | 175.4 | 153 | 156 | 156 | 160 | 161 | 161 | 164 | 164 | 165 | 166 |
前年同月比[%] |
香辛料の推移


詳細なデータとグラフ
香辛料の現状と今後
2025年4月時点における日本国内の香辛料1箱(43g)の平均小売価格は175.4円となっており、価格水準としては調味料の中でもやや高価格帯に位置しています。データ期間は2023年11月から2025年4月と比較的短期ながら、現時点での価格差や地域別傾向は明確に現れています。
香辛料は種類が多岐にわたる(カレー粉、胡椒、1味、7味など)ため、ここでの「香辛料」はそれらを代表する標準的製品の価格の平均と考えられます。
地域別価格差から見る市場の特徴
今回のデータから、香辛料価格には地域によって40円以上の差があることが分かります。
価格が高い地域:
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東京都区部(196円)
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熊本(193円)
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岐阜、山口(192円)
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長崎(189円)
これらの地域は大都市圏または中堅都市でありながら、輸送や店舗コストが高い地域、あるいは中価格帯以上の製品がよく売れる傾向が背景にあると考えられます。特に東京都区部では、ブランド志向や輸入香辛料の需要も高いため、価格の底上げ要因となっている可能性があります。
価格が安い地域:
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高知(153円)
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青森、鹿児島(156円)
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前橋(160円)
これらは地方都市であり、ディスカウント志向の強い市場や、ローカルチェーンの競争が活発なエリアが多く、価格が抑えられやすい状況です。また、香辛料の消費頻度が地域の食文化により変動する点も価格形成に影響を与えます。
香辛料の価格を左右する要因
香辛料は調味料の中でも特殊な立ち位置にあり、以下の要因が価格に大きく関与します。
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輸入依存率の高さ胡椒、ナツメグ、クローブ、ターメリックなど、多くの香辛料はインド、インドネシア、ベトナムなどからの輸入品です。為替の変動や国際輸送コスト、気候変動の影響を受けやすいという特徴があります。
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円安の影響2023年〜2025年にかけての円安基調が続いた場合、輸入価格は高止まりし、価格転嫁を余儀なくされる構図が続くと見られます。
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パッケージングとブランド要素香辛料は他の調味料と異なり、少量で高付加価値を実現しやすいジャンルです。オーガニック製品や海外ブランドの台頭も、平均価格の上昇に寄与しています。
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少量・高頻度購入の傾向消費者は香辛料を1度に大量に購入することは少なく、単価よりも機能性や品質を重視する傾向があります。そのため、価格に対する耐性が比較的高く、値上げが通りやすい市場とも言えます。
価格変動の構造的な問題点
近年の食品価格全体の上昇に伴い、香辛料も例外ではなくコスト高が進行しています。以下のような問題点が懸念されます。
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安価製品の淘汰と2極化低価格帯製品が製造中止や縮小され、中・高価格帯への集約が進んでいます。これにより、価格の底上げと格差の拡大が発生しています。
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包装資材コストの増加環境配慮による素材変更(リサイクルプラや紙化)もコストを押し上げており、商品単価に反映されるケースが増えています。
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地域による店舗数・物流網の偏り地方では取り扱い店舗が限られ、選択肢が少ないことで価格が下がりにくい傾向も。
今後の価格動向と期待される展開
今後の香辛料価格の推移は、以下のような方向性が予測されます:
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中長期的には上昇傾向が継続為替の円安基調、国際的な香辛料需要の増加、包装資材コストの増加が重なり、価格は緩やかな右肩上がりを描くと予想されます。
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地域差は維持されるが縮小も視野EC(ネット通販)や全国展開するドラッグストア・スーパーの拡大により、価格の地域間格差は今後徐々に縮小する可能性もあります。
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付加価値市場の成長「スパイスブーム」や家庭用スパイスミックスの流行によって、高価格帯への需要は安定的に増加すると見られます。特に若年層を中心に「手作りカレー」や「スパイス料理」への関心が高まり、香辛料の価値が見直されています。
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