2025年4月時点で風味調味料100gの平均小売価格は279円。地域差は120円以上と大きく、近年では節約志向や特売の影響で価格が下落した地域も多い。原材料費や製造コストの影響は続くが、今後はプレミアム化と低価格化の二極化が進み、内容量調整による実質値上げも予測される。
小売物価統計
風味調味料小売りの高い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 和歌山 | 京都 | 那覇 | 大阪 | 鹿児島 | 宇都宮 | 松江 | 津 | 神戸 | 大津 |
最新値[円] | 279 | 358 | 358 | 340 | 338 | 317 | 313 | 310 | 304 | 303 | 300 |
前年同月比[%] | -1.495 | +1.13 | -3.152 | -4.281 | +13.55 | -6.748 | +5.944 |
風味調味料小売りの安い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 松山 | 徳島 | 横浜 | 前橋 | 新潟 | 高知 | 名古屋 | 甲府 | 長野 | 奈良 |
最新値[円] | 279 | 236 | 246 | 248 | 250 | 250 | 250 | 251 | 251 | 256 | 258 |
前年同月比[%] | -1.495 | -8.88 | -1.992 | -0.8 | -15.25 | -8.425 | +5.932 | -10.99 | -4.833 |
風味調味料の推移


詳細なデータとグラフ
風味調味料の現状と今後
風味調味料とは、化学調味料やだし調味料など、料理に旨味や香りを加える調味料群を指します。顆粒状、粉末、液体など形態は様々ですが、1般的に味の素などの製品が代表的です。
2025年4月時点での全国平均価格は100gあたり279円となっており、過去10年以上のスパンで見れば、概ねゆるやかな上昇傾向の中にありました。ただし、直近1年間では平均で-1.495%の価格下落が見られ、ここにはいくつかの要因が絡んでいます。
地域別価格差の現状と特徴
今回のデータでは、風味調味料の価格は高価格帯で和歌山・京都が358円、低価格帯で松山が236円と、120円以上の価格差があることが分かります。これは、香辛料など他の調味料と比較しても、地域差が非常に顕著です。
高価格帯地域の特徴:
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和歌山・京都・那覇・大阪:いずれも地方都市・観光地・都市圏を含み、地元企業の強いブランド志向や、高品質志向の需要が価格に反映されている可能性があります。
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京都や和歌山では、だし文化の浸透も高く、良質な風味調味料の使用が1般的であるため、需要が価格に直結していると見られます。
低価格帯地域の特徴:
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松山・徳島・横浜・新潟など:スーパー間の価格競争が激しい地域であり、ディスカウント志向が強い。また、PB(プライベートブランド)商品の比率が高いと予想され、全体の平均を押し下げている可能性もあります。
価格変動の原因と市場の変化
風味調味料の価格は、他の調味料に比べて以下の特徴的な要因の影響を強く受けます。
原材料価格の変動
風味調味料は、昆布・かつお節・しいたけ・エビなどの自然由来の素材を抽出・加工して製造されることが多いため、水産資源の価格上昇や漁獲制限などが価格に直結します。
エネルギーコストの上昇と製造工程
粉末化・抽出・濃縮などの工程に電力や熱エネルギーが必要なため、エネルギーコストの上昇=生産コストの上昇につながります。
需要の多様化と高付加価値製品
減塩、オーガニック、アレルゲン対応などの高付加価値な製品が増加しており、これが平均価格の引き上げ要因にもなっていましたが、直近1年の平均価格下落は、割安な製品への回帰現象を示している可能性もあります。
直近の価格下落傾向とその背景
2024年から2025年にかけて、風味調味料の価格が1部地域で大幅に下落しています。たとえば、前橋では前年比-15.25%、名古屋では-10.99%、新潟でも-8.425%の下落が記録されています。
主な背景:
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食品全体の価格高騰による節約志向の加速
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消費者が割高な風味調味料から、代替品(汎用だし、家庭調合)へとシフト
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大手スーパーの特売政策による価格競争激化
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メーカーの在庫処分や、パッケージ変更に伴う価格調整
とはいえ、同時期に松江(+13.55%)、神戸(+5.944%)、高知(+5.932%)などで価格上昇が見られるのは、特定ブランドやローカル品のシェア拡大によるもので、全体の傾向とは異なる地域的要因が働いていると考えられます。
今後の価格動向と消費行動の予測
価格の2極化傾向が進行
今後も「高機能・高価格のプレミアム系」と「低価格・ベーシック系」の2極化が進むと予測されます。消費者の嗜好が多様化する中で、中価格帯の製品が最も打撃を受ける可能性が高いです。
パッケージサイズの変化による「実質値上げ」
実質的には価格が据え置かれていても、内容量が減る(ステルス値上げ)ケースが増えると見込まれ、100gあたりの単価では今後も上昇傾向にあると考えられます。
地域ごとの価格差は縮小の方向へ
ECの普及や全国チェーンの調味料戦略強化により、地域ごとの差は徐々に緩和される方向です。ただし、高品質志向が強い関西・9州では、依然として平均を上回る価格帯が維持されると見られます。
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