電気・ガス・水道等の給与は全産業中で高水準を維持し、前年比でも大きな伸びを記録。特にパートや女性の給与増加が顕著で、格差是正への動きも見られる。再生可能エネルギーや人手不足対応により、今後さらに待遇改善が進む可能性がある。
男女別の給料の推移
最近の給料データ
合計 | 男性計 | 一般労働者 | 女性計 | パートタイム労働者 | |
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最新 | 2025年1月 | 2025年1月 | 2025年1月 | 2025年1月 | 2025年1月 |
最大期 | 2024年12月 | 2024年12月 | 2024年12月 | 2024年12月 | 2024年12月 |
最新値[万円] | 55.93 | 58.29 | 57.38 | 43.11 | 19.19 |
最大値[万円] | 122.2 | 127.3 | 126.5 | 93.87 | 38.27 |
前年同月比[%] | 4.768 | 4.198 | 3.788 | 9.539 | 14.48 |
電気・ガス・水道等の給料の推移


詳細なデータとグラフ
日本の全産業の労働者数の特徴
電気・ガス・水道などのライフライン産業は、社会インフラを支える根幹的な分野であり、労働の安定性や待遇面で他産業よりも優れているとされてきました。本章では、その給与の実態と、男女・雇用形態別の格差、さらには今後の変化の可能性について考察します。
全体の給与水準とその動向
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最新の平均給与(5人以上計):55.93万円
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前年同月比:+4.768%
この産業の給与水準は、全産業平均(約30万円前後)と比較して非常に高く、高度な専門性と安定した雇用環境が反映されています。前年同月比でも4.7%以上の増加となっており、賃金の伸びも堅調です。
雇用形態別の特徴と課題
一般労働者(正規雇用)
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平均給与:57.38万円(前年比 +3.788%)
正規雇用者の給与は高水準で安定しています。多くの業務が技術職や保安職といった資格や経験が要求される職種であるため、賃金水準も高めに設定されています。給与増加の背景には、再エネ導入・インフラ更新などの技術人材需要の高まりが影響している可能性があります。
パートタイム労働者
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平均給与:19.19万円(前年比 +14.48%)
パート労働者の給与は急増しており、前年比で14%を超える伸びを示しています。これは、事務系補助職や窓口対応などで女性パート労働者の確保が急務となっているため、時給引き上げが行われていることが一因と考えられます。
男女別の給与格差と背景
男性労働者
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平均給与:58.29万円(前年比 +4.198%)
男性労働者の給与は引き続き高水準で、業界の中心的業務を担う層であることが数字に表れています。管理職・技術職の多くを男性が占めている現状が反映されています。
女性労働者
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平均給与:43.11万円(前年比 +9.539%)
女性の給与も前年比で大きく伸びており、男女格差の是正に向けた動きが見られますが、それでも男性との差は約15万円と依然大きく、構造的な職種の偏り(女性は事務系に集中)による格差が根強く残っています。
業界特有の背景と最近の課題
安定性と公的規制
電気・ガス・水道業界は、規制産業であり賃金も安定的です。特に公益性が強いため、民間企業でも待遇水準は高めに維持されています。ただし、近年の自由化政策(電力・ガスの自由化)による競争激化が一部で影響を及ぼし始めています。
インフラ老朽化と人材不足
インフラの老朽化により、設備管理・保安要員の確保が急務となっており、若年層の技術者育成と採用の強化が課題です。専門性を要するため、高齢化の進行と人材の空洞化が深刻化しつつあります。
今後の展望と期待される変化
再生可能エネルギーと新規技術の影響
電力・ガス分野では、再生可能エネルギー関連職種の新設や水素・蓄電など次世代技術の台頭により、新たなスキルと高報酬を結びつける構造が進むと予想されます。
女性の活躍促進と格差是正
働き方改革やジェンダー平等推進により、今後は技術職や管理職に女性登用を進める動きが強まり、給与格差の縮小に寄与する可能性があります。
パート・非正規の待遇底上げ
すでに見られるパートの大幅賃上げ傾向は、今後も続くと考えられます。とくに窓口業務や地域対応職では、非正規への依存が強まる一方で待遇改善が求められる局面が来ています。
まとめ
電気・ガス・水道業界は、全体として高賃金・高安定性を維持していますが、性別や雇用形態による格差が残っており、今後の成長分野に対応した人材再配置と待遇改善が求められます。特に再エネ・デジタル化の進展は、給与構造に大きな影響を及ぼすと予想されます。
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