電気・ガス・水道業の時給動向|高賃金と非正規賃上げの背景を分析

各産業

電気・ガス・水道業では時給が3779円と高水準で、前年比4.4%上昇。特に女性やパート層の時給が急上昇しており、非正規の待遇改善と人材多様化が進展中。今後は再エネ対応や男女格差是正が重要課題となる。

男女別の時給の推移

最近の時給データ

合計 男性計 一般労働者 女性計 パートタイム労働者
最新 2025年4月 2025年4月 2025年4月 2025年4月 2025年4月
最大期 2024年12月 2024年12月 2024年12月 2024年12月 2024年12月
最新値[円/時間] 3093 3182 3131 2580 1541
最大値[円/時間] 8125 8334 8284 6832 3638
前年同月比[%] +4.176 +4.396 +3.675 +3.324 +2.121

電気・ガス・水道等の時給の推移

時給の推移
最新のデータ

詳細なデータとグラフ

日本の全産業の労働者数の特徴

電気・ガス・水道等のインフラ業界は、生活基盤を支える社会的使命の高い業種です。1般的に高い専門性・安定した労働環境・公共性の高さが特徴で、平均時給も他産業と比べて高水準です。本稿では、最新統計に基づき、業界の賃金動向や課題を多角的に分析します。


業界全体の時給水準と推移

  • 全体平均時給:3779円(前年比 +4.479%)

この水準は全産業中でもトップクラスの高さです。背景には、専門技術職・管理職の割合の多さと、安定収益構造があると考えられます。前年比の伸び率も大きく、賃金改善が明確に進行中です。


雇用形態別の時給と変化

1般労働者(正社員等)

  • 3828円(前年比 +3.852%)

電力・ガス・水道は大手企業が中心であり、正社員の賃金水準は高く、安定性も高いです。近年は再エネ対応やシステム高度化への対応による人材投資が行われており、賃金面でも報酬改善が継続しています。

パートタイム労働者

  • 1972円(前年比 +17.73%)

急激な賃金上昇が特徴です。これは技術職補助やコールセンターなどでの非正規労働者のニーズ拡大、および採用競争による時給引き上げの影響と考えられます。従来はパート依存が少なかった業界でも、人材多様化が進行中です。


男女別の時給と変化

男性労働者

  • 3891円(前年比 +4.456%)

従来より男性比率が高く、技術職や現場系管理職に集中しており、時給水準は全体でも最上位クラスです。高度専門人材の維持・確保のため、今後も安定した賃金上昇が見込まれます

女性労働者

  • 3119円(前年比 +5.479%)

女性の時給も高水準であり、前年比では男性よりも大きく上昇しています。背景には、事務・技術補助・カスタマーサポート領域での活躍の拡大があります。今後も管理職・技術職への登用促進によって、賃金格差の縮小が期待されます。


業界特有の構造的特徴と課題

技術職・専門職の高賃金構造

電力や水道などのインフラは、安全・安定供給のための技術維持コストが高いため、技術者の待遇が厚く、これが業界全体の時給を押し上げています。反面、人材の高齢化と世代交代が急務です。

非正規雇用の拡大と管理課題

近年では、1部業務(事務・受付・顧客応対)で非正規雇用が拡大しています。その結果、パート層の賃上げが急速に進む1方で、雇用の質の維持や労働時間の安定確保が新たな課題です。

女性活躍の推進と格差是正

これまで男性中心だった業界構造が少しずつ変化しており、女性管理職・技術職への登用が増加。政府主導の女性活躍促進政策も追い風となっており、構造的な男女賃金格差は今後さらに縮小が見込まれます


今後の展望と課題

再エネ対応と人材需要の変化

再生可能エネルギーや分散型電源、スマートグリッドなどの拡大により、新たなスキル・職種の需要が拡大しています。これに伴い、高付加価値スキルを持つ人材の賃金がさらに上昇する可能性があります。

非正規人材の待遇安定と定着促進

急上昇しているパート層の時給は今後も高止まりが予想され、時給だけでなく労働時間・福利厚生の整備による長期就労化が鍵となります。

男女・世代のバランス改革

賃金格差の縮小と併せて、次世代の育成・継承と多様な人材の活用が問われる時代になっています。女性や若年層が活躍できる業務設計と職場環境の整備が進めば、業界の人材基盤はさらに強化されるでしょう。


まとめ

電気・ガス・水道業界の時給は全産業中でも高く、2025年時点では前年比4.4%以上の上昇を示しています。中でも女性・パート層の賃金改善が顕著であり、人材多様化・脱男性中心構造の兆しが見られます。今後は、再エネ対応による人材高度化、非正規の定着化、ジェンダー平等の実現が業界の課題となるでしょう。

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