電気ポットの全国平均価格は2016年12月時点で1.473万円。高松や宮崎など地方で高価格傾向が強く、特に熊本では前年比25%超の急騰が見られた。一方で都市部では安価なモデルが流通し価格が抑えられている。高機能モデルへのシフトと地域の販売構造が価格差の要因となっている。
電気製品の都市別小売価格
電気ポット価格の高い都市
2016年12月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 高松 | 宮崎 | 鳥取 | 広島 | 熊本 | 山口 | 岡山 | 神戸 | 秋田 | 鹿児島 |
最新値[万円] | 1.473 | 2.091 | 2.049 | 2.03 | 1.978 | 1.92 | 1.814 | 1.706 | 1.67 | 1.654 | 1.634 |
平均比[%] | 100 | 142 | 139.2 | 137.9 | 134.3 | 130.4 | 123.2 | 115.9 | 113.4 | 112.3 | 111 |
前年月同比[%] | -5.837 | +1.205 | +4.344 | +1.805 | +5.855 | +25.75 | +15.32 | -4.049 | -5.112 | +2.226 | -6.198 |
電気ポット価格の低い都市
2016年12月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 和歌山 | 福岡 | さいたま | 東京都区部 | 山形 | 千葉 | 津 | 札幌 | 新潟 | 甲府 |
最新値[万円] | 1.473 | 1.09 | 1.1 | 1.158 | 1.165 | 1.175 | 1.201 | 1.222 | 1.233 | 1.238 | 1.238 |
平均比[%] | 100 | 74.03 | 74.72 | 78.66 | 79.1 | 79.8 | 81.56 | 83.01 | 83.71 | 84.1 | 84.1 |
前年月同比[%] | -5.837 | -14.46 | +1.056 | -16.21 | -8.815 | -20.62 | -5.752 | -12.16 | -5.994 | -10.42 | -2.419 |
これまでの電気製品の推移


詳細なデータとグラフ
電気ポットの現状と今後
電気ポットは日本の家庭やオフィスで広く使われている日常家電の1つです。お湯を手軽に用意できる利便性から高齢者家庭や育児世帯にも重宝されており、その価格変動は家計への影響も大きいと言えます。本稿では、2010年から2016年末までのデータをもとに、全国平均価格の推移、都市別の特徴、そして最近の価格変動の背景や課題について解説します。
全国平均価格の推移と現状
2016年12月時点の全国平均価格は1.473万円であり、1定の価格帯に収まっているものの、地域によって大きなばらつきが見られます。電気ポットは調理家電の中でも耐久性が高く、買い替え頻度が比較的低いため、大幅な価格変動は起きにくい傾向がありますが、2015年〜2016年にかけては1部地域で大きな価格上昇が確認されています。
高価格地域の特徴と背景
最も電気ポットが高かった都市は高松(2.091万円)で、次いで宮崎(2.049万円)、鳥取(2.03万円)、広島(1.978万円)などが続いています。これらの地域には以下のような傾向があります。
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流通量の少なさによる価格維持:地方都市では電気ポットの販売チャネルが限定されており、家電量販店の競争が激しくないため、価格が高止まりしやすい。
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最新機種や高機能モデルの比率が高い:保温機能や節電モード、温度選択機能などを備えた高価格モデルが好まれる地域では平均価格が上昇する。
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熊本(+25.75%)・山口(+15.32%)などの急騰:これは震災や災害の影響、あるいはリプレイス需要による1時的な買い替え集中が要因と考えられます。
なお、高価格地域の中には前年よりも価格が下がっている都市(例:岡山 -4.049%、神戸 -5.112%、鹿児島 -6.198%)もあり、単純な地域特性だけでなく、1時的な在庫処分や販売戦略の変更も影響していることがわかります。
低価格地域の実態と傾向
最も価格が安かった地域は和歌山(1.09万円)で、続いて福岡(1.1万円)、さいたま(1.158万円)、東京都区部(1.165万円)と、比較的都市部に集中しています。これには次のような理由が考えられます。
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大都市圏での価格競争:家電量販店の密集とECサイトとの価格競争が激しく、標準モデルの価格が抑えられる。
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ディスカウント戦略:PB(プライベートブランド)商品や中国製などの安価モデルが豊富に流通している。
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買い替えサイクルの短縮:都市部では最新機種への乗り換え意識が強く、型落ちモデルのセールが頻繁に行われる。
特に注目すべきは、さいたま(-16.21%)や山形(-20.62%)などでの急激な価格下落です。これは安価モデルへの移行、または市場在庫の処分によるものと推測されます。
価格変動の主な要因
電気ポットの価格に影響を与える要素は、以下のように多岐にわたります。
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機能の多様化:保温温度設定、タイマー機能、節電モード、真空断熱構造などの付加機能が価格を押し上げる。
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販売チャネルの違い:都市部では量販店とネット通販の価格競争が強く、価格が安定しているが、地方では選択肢が少なく価格が高くなりやすい。
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災害や需要急増の影響:熊本のように災害を経験した地域では1時的に需要が集中し、価格が急騰する傾向。
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ブランドシフト:象印、タイガー、パナソニックといった高価格帯ブランドの構成比が高い地域では、平均価格が上昇する。
今後の展望と課題
電気ポット市場は飽和に近い状況であり、今後は「高機能・高価格」と「シンプル・低価格」の2極化が進むと見られます。節電志向の高まりやIH式ケトルとの競合により、電気ポットの市場はやや縮小傾向にもあります。その中で、地域別の価格差を是正するには、ECの活用促進や価格比較サービスの普及が鍵となるでしょう。
また、消費者にとっては、価格だけでなく「長寿命」「省エネ性能」「安全性」といった多面的な価値を見極める選択眼が求められる時代に入っています。
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