日本の電子レンジの平均価格は2025年4月時点で8.332万円。鳥取や札幌などでは9.9万円と高値を記録し、岐阜や鹿児島では前年比30%以上の上昇も見られます。背景には高機能モデルの普及、原材料費高騰、流通格差があり、地域ごとの価格差が拡大しています。今後も高機能化と価格の二極化が進む見通しです。
電気製品の都市別小売価格
電子レンジ価格の高い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 鳥取 | 那覇 | 福島 | 札幌 | 広島 | 岐阜 | 東京都区部 | 鹿児島 | 高知 | 長崎 |
最新値[万円] | 8.332 | 9.9 | 9.9 | 9.9 | 9.9 | 9.9 | 9.9 | 8.811 | 8.762 | 8.762 | 8.762 |
平均比[%] | 100 | 118.8 | 118.8 | 118.8 | 118.8 | 118.8 | 118.8 | 105.8 | 105.2 | 105.2 | 105.2 |
前年月同比[%] | +6.73 | +12.99 | -5.063 | +17.96 | +32.41 | -2.913 | +40.37 | +10.92 | +32.97 | +19.59 | +1.304 |
電子レンジ価格の低い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 青森 | 福岡 | 静岡 | 京都 | 仙台 | 大分 | 奈良 | 宇都宮 | 宮崎 | 山形 |
最新値[万円] | 8.332 | 6.772 | 7.054 | 7.486 | 7.623 | 7.623 | 7.623 | 7.623 | 7.623 | 7.623 | 7.623 |
平均比[%] | 100 | 81.27 | 84.67 | 89.84 | 91.49 | 91.49 | 91.49 | 91.49 | 91.49 | 91.49 | 91.49 |
前年月同比[%] | +6.73 | +2.771 | -3.997 | +6.411 | +4.054 | +2.432 | -12.99 | +4.054 | +4.054 | -12.99 | +4.054 |
これまでの家電製品の推移


詳細なデータとグラフ
電子レンジの現状と今後
電子レンジは、かつては「温め専用」の簡素な調理家電でしたが、近年ではスチーム機能やオーブン機能、AI自動調理機能を搭載した高機能モデルの登場により、“時短”や“健康志向”といった現代ニーズに対応する必需品となりました。この進化が価格にも大きく影響しており、2025年4月時点の全国平均価格は8.332万円と、2010年代初頭と比較して顕著に上昇しています。
長期的な価格推移 ― 「高機能化」と「物価高」の波
2010年から2025年の間、電子レンジの価格には以下の大きな変化要因がありました:
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高機能モデルの主流化:加熱+蒸し調理、グリル機能、IoT対応などが1般化。
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コロナ禍の巣ごもり需要:調理家電の販売数と平均価格が1時的に急増。
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原材料費・物流費の上昇:特に半導体不足や輸送費の高騰が影響。
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円安の進行:輸入パーツコストの増大が最終製品価格に転嫁。
このように、機能面・経済面の両面から、価格の“底上げ”が進んだ15年でした。
最新データで見る地域別の価格分布
高価格帯都市とその背景
都市 | 価格(万円) | 増減率(前年比) |
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鳥取 | 9.9 | +12.99% |
那覇 | 9.9 | -5.063% |
福島 | 9.9 | +17.96% |
札幌 | 9.9 | +32.41% |
広島 | 9.9 | -2.913% |
これらの地域は、平均価格を大きく上回る“9.9万円”で並んでおり、明確な高価格圏を形成しています。その理由には以下が考えられます:
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販売チャネルの限定:地方都市では家電量販店が少なく、競争が限定的。
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高機能モデル中心の品揃え:1部地域では、安価なシンプルモデルの取り扱いが少ない。
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物価上昇が早く浸透:札幌・福島・岐阜のように、物流や仕入れ価格の上昇が小売価格に即反映されやすい。
また、岐阜(+40.37%)、札幌(+32.41%)、鹿児島(+32.97%)といった地域の価格上昇率の高さは、特に注目すべき現象です。
低価格帯都市の傾向と消費行動
都市 | 価格(万円) | 増減率(前年比) |
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青森 | 6.772 | +2.771% |
福岡 | 7.054 | -3.997% |
静岡 | 7.486 | +6.411% |
京都〜山形(多数) | 7.623 | ±4%前後 |
これらの地域では以下の傾向が読み取れます:
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家電量販店やディスカウント店舗の競争が激しい
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低価格志向の需要が強い(単身世帯や若年層が多い)
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特売やアウトレット品の流通が多い
特に大分(-12.99%)や宮崎(-12.99%)のように前年比で2桁減の都市では、大幅な在庫処分やセール、円高局面での仕入れ価格低下が1因と考えられます。
価格上昇要因の詳細分析
ここ数年の価格上昇を加速させた具体的要因は以下の通りです:
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高性能モデルへの移行:スチームオーブン、スチーム加熱、発酵モードなど付加価値の高い製品の販売比率が上昇。
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製造コストの増加:半導体不足の長期化と原材料(銅・アルミなど)の国際価格高騰。
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流通の地域格差:都市ごとに、家電小売店の密集度やEC化率の差があり、価格にも地域差が現れる。
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メーカーのモデル統合政策:中価格帯モデルのラインナップ縮小により、高価格帯モデルが主力に。
特に岐阜の+40.37%のような急騰は、地元での価格競争の鈍化、または在庫薄による価格上昇が複合的に作用したと考えられます。
考察と今後の展望
電子レンジ市場は今後、「価格の2極化」と「高機能化の加速」が進むと見込まれます。
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高価格帯(9〜12万円):AI搭載、自動調理アシスト、IoT連携による“フルスペック型”が中心に。
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低価格帯(5〜7万円):ベーシックな温め・グリル機能に限定したモデルが底堅く残存。
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都市ごとの価格差は今後さらに拡大:地方では供給価格上昇の影響が大きく、大都市圏では価格競争が続く見込み。
また、単身世帯や共働き世帯向けに、コンパクト型・省エネ型のニーズも今後さらに拡大していくでしょう。
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