【最新調査】電力・ガス業界の労働者数減少とデジタル化の影響

労働者数
勤労統計各産業



最新のデータによると、5人以上の事業所における労働者数は26.31万人で、過去最大の29.41万人から減少しています。要因として、自動化・デジタル化の進展や人口減少、業界再編が考えられます。男性労働者が85.13%を占める一方で、デジタル化により女性の参入機会が拡大しています。また、専門性の高い業務が多いため正規雇用が中心ですが、人材不足により契約社員やパートタイム専門職の活用が進む可能性があり、今後の動向が注目されます。

毎月勤労統計調査

毎月勤労統計調査全国調査は、日本標準産業分類に基づく16大産業の常用労働者5人以上の事業所を対象に、賃金や労働時間、雇用の変動を毎月把握する調査です。約190万事業所から抽出した約33,000事業所を対象に、名目賃金や実質賃金、労働時間などのデータを収集します。2012年から最新のデータを含め労働者数や給料のデータをグラフ化しています。

 

電気・ガス・水道等の男女別、雇用別データ

全体平均 一般労働者 男性計 女性計 パートタイム労働者
最新 2025年1月 2024年12月 2024年12月 2024年12月 2024年12月
最大期 2012年5月 2012年5月 2012年6月 2024年6月 2020年4月
最新値[万人] 26.31 25.12 22.4 4.015 1.292
最大値[万人] 29.41 28.12 25.75 4.186 1.607
前月比[%] -0.388 -0.1332 -0.2689 0.2948 -1.155
前年同月比[%] -1.843 8.314 8.258 6.197 1.143
全体比[%] 100 95.48 85.13 15.26 4.909

電気・ガス・水道等の従業員数規模別データ

5人以上 100-499人 30-99人 5-29人 1000人以上 500-999人
最新 2025年1月 2025年1月 2025年1月 2025年1月 2024年12月 2024年12月
最大期 2012年5月 2012年7月 2013年6月 2023年12月 2024年10月 2024年4月
最新値[万人] 26.31 6.77 6.826 6.109 4.713 1.912
最大値[万人] 29.41 11.85 7.696 6.369 4.722 2.036
前月比[%] -0.388 -0.5217 -0.3707 -0.4254 -0.04666 0.1938
前年同月比[%] -1.843 -5.137 -2.899 0.1164 81.84 14.23
全体比[%] 100 25.73 25.94 23.21 17.91 7.268

電気・ガス・水道等の労働者数の傾向

電気・ガス・水道等の業界は、日本社会において不可欠なインフラを支える重要な分野であり、労働者数の変化は業界の構造的変化や経済状況の影響を受けています。本稿では、2012年から2025年の労働者数データを基に、労働者数の傾向、男女別・雇用形態別・企業規模別の特徴、今後の期待される動向について解説します。


1. 労働者数の全体的な傾向

最新のデータでは、5人以上の事業所における労働者数の合計は 26.31万人 であり、過去最大だった 29.41万人(ピーク時)と比べて減少傾向にあります。この傾向は、業界における自動化・デジタル化の進展、人口減少に伴う人材確保の難しさ、エネルギー業界の再編といった要因が影響している可能性があります。


2. 男女別・雇用別の労働者数の特徴と課題

(1) 男女別の特徴

  • 男性労働者数: 22.4万人(85.13%)
  • 女性労働者数: 4.015万人(15.26%)

この業界では、男性の労働者数が圧倒的に多く、全体の 約85% を占めています。これは、電力・ガス・水道といった業務がかつて「力仕事」「現場作業中心」とされていたため、男性の就業比率が高くなった歴史的背景が影響していると考えられます。

しかし近年、リモート監視システムの導入やデジタル化の進展 により、女性の参入障壁が下がりつつあります。今後、女性の技術職・管理職の増加が期待される一方で、依然として現場作業の人材確保には課題が残ります。

(2) 雇用形態別の特徴

  • 一般労働者: 25.12万人(95.48%)
  • パートタイム労働者: 1.292万人(4.909%)

電気・ガス・水道等の業界は、他のサービス業と比べて パートタイム労働者の割合が極めて低い(4.909%)のが特徴です。これは、業務が専門性を要し、長期的な経験や資格が求められるため、正規雇用が中心となっているためと考えられます。

ただし、技術者の高齢化や人材不足により、契約社員・パートタイムの専門職雇用を拡充する動き も出てきており、今後の動向に注目が必要です。


3. 企業規模別の労働者数の分布と課題

(1) 企業規模別の労働者数(最新データ)

企業規模 労働者数 割合
100-499人 6.77万人 25.73%
30-99人 6.826万人 25.94%
5-29人 6.109万人 23.21%
1000人以上 4.713万人 17.91%
500-999人 1.912万人 7.268%

このデータからも分かるように、電気・ガス・水道業界は 中規模企業(30~499人規模)の比率が高く、業界全体の約50%を占めている ことが特徴的です。一方で、大企業(1000人以上)は 17.91% にとどまっており、大手電力・ガス会社が効率化を進めた結果、企業規模別の労働者構成が変化してきたことが読み取れます。

(2) 企業規模別の課題

  • 小規模事業者の課題: 人手不足が深刻化し、特に地方では事業継続が困難になっている。
  • 中規模企業の課題: 労働者の高齢化が進み、若手の育成が急務。
  • 大規模企業の課題: DX(デジタルトランスフォーメーション)による業務効率化で、雇用の縮小傾向が続く可能性がある。

4. 今後の労働者数の推移と期待

(1) 労働者数の減少傾向は続くのか?

電気・ガス・水道等の業界では、これまでのピーク(29.41万人)から減少傾向 にあることが確認されています。この主な要因として、

  • 省人化技術の導入(スマートメーター、AI監視システムの普及)
  • 再生可能エネルギーの普及に伴う業務形態の変化
  • 人材の高齢化と新規採用の難航

が挙げられます。特に、スマートメーター導入による検針業務の自動化 や、AIを活用した送電・配電の監視 などの技術革新が、現場作業員の需要を減少させています。

(2) 求められる対策と期待

  • 若手人材の確保: IT・AI技術を活用できる技術者の採用・育成が急務
  • 女性の活躍推進: 女性エンジニア・管理職の増加を促進する政策が必要
  • パート・契約社員の活用: 専門職の人材プールを広げ、業界の持続可能性を確保

また、政府のエネルギー政策の方向性によっては、新たな雇用機会が生まれる可能性もあります。再生可能エネルギーの導入が加速すれば、電力管理やエネルギー分配に関わる新しい職種が増えるかもしれません。


5. 結論

電気・ガス・水道等の業界は、日本のインフラを支える重要な分野でありながら、労働者数は減少傾向にあります。特に、技術革新による省人化、高齢化による労働力の縮小 などが主な課題です。今後は、若手技術者の確保、女性の活躍推進、パート・契約社員の活用 などを進めることで、持続可能な労働市場を形成していく必要があります。

今後の労働者数の推移を注視しながら、業界の変革に対応できる柔軟な労働政策が求められます。

労働者数の推移

男女別・雇用別労働者数
企業規模別労働者数

月間の労働者数の増減

月間の増加数
月間の減少数

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