関東の野菜価格動向:都市別比較と2025年の価格変動要因分析

野菜価格(都市別)



関東の野菜価格は都市部と生産地で二極化し、東京都では高値(308.3円/kg)、水戸市では低値(195円/kg)を記録。2025年4月は都市部で価格が下落し、生産地で上昇。気象と物流が価格に影響を及ぼし、今後は二極化と価格の不安定化が進む可能性があります。

野菜全体の卸売り市場価格

野菜全体の高い順

東京都 横浜市 上尾市 宇都宮市 船橋市 さいたま市 川崎市 前橋市 水戸市 市川市
最新 2025年4月 2025年4月 2016年12月 2023年12月 2016年12月 2021年12月 2023年12月 2021年12月 2021年12月 2011年12月
最大期 2025年1月 2025年1月 2016年10月 2018年1月 2016年10月 2018年1月 2017年12月 2017年12月 2020年7月 2010年4月
最新値[円/kg] 308.3 289.3 256 248 220 208 206 200 195 180
最大値[円/kg] 359.7 342 303 314 269 291 293 257 273 250
前月比[%] -8.867 -9.207 -9.22 +5.532 -6.78 +9.474 +0.9804 +12.99 +10.8 +17.65
前年同月比[%] -4.147 -6.062 +28.64 +6.438 +27.17 +14.92 +6.186 +6.952 +12.72 +5.882

 

野菜全体の推移

野菜全体価格の推移

最新の価格データ

最近の野菜全体価格

 

その他のデータとグラフ

 

野菜全体の価格についての推移と展望

関東地方は、日本で最も人口密度が高く、消費地としての性格が極めて強い一方、千葉・茨城・群馬・栃木などには大規模な近郊農業地帯が広がる、生産と消費が共存する特異なエリアです。2008年以降、関東の野菜価格は全国平均に近い水準で推移しつつも、天候・流通障害・消費動向に敏感に反応しやすい傾向が見られます。

特に東京都や横浜市などの大都市圏では、価格が常に高めに出やすく、生産地近郊である前橋市や水戸市では価格が安定し、比較的低位で推移する傾向が定着しています。


2025年4月時点の都市別価格の特徴

2025年4月のデータでは、以下のような都市別の価格水準が明確に表れています:

  • 高価格帯(300円前後) - 東京都(308.3円/kg)、横浜市(289.3円/kg) →消費地としての強い需要と物流費の加算が影響。

  • 中価格帯(200円台後半〜中盤) - 上尾市(256円)、宇都宮市(248円) →都市圏に近く、物流効率が高いため安定供給が可能。

  • 低価格帯(200円以下) - 市川市(180円)、水戸市(195円)、前橋市(200円) →地場流通が中心で、生産地の価格水準が反映されやすい。

このように、関東内でも消費地と生産地の距離や性格によって価格が明確に階層化されている点が顕著です。


最近の価格動向と要因

2025年4月のデータでは、大都市圏の価格が軒並み下落している一方で、生産地寄りの都市では価格上昇が見られます。

  • 下落した都市:東京都(-8.867%)、横浜市(-9.207%)、上尾市(-9.22%) →3月に高騰していた反動、物流の正常化による調整が要因。

  • 上昇した都市:市川市(+17.65%)、前橋市(+12.99%)、水戸市(+10.8%) →春先の寒波や霜の影響で供給減となり、地場価格が上昇。

この動きは、春の端境期(収穫が切れる時期)における供給の一時的減少と、流通正常化による都市部価格の調整が重なった結果と見られます。


構造的課題と関東独自の事情

  1. 都市部価格の不透明性 - 市場の仲卸価格や取引先の需要によって価格が変動しやすく、消費者価格は生産地の実態と乖離する傾向があります。

  2. 近郊農業の衰退 - さいたま市や市川市など、かつて盛んだった農地が宅地化により縮小。自給供給力が落ち、物流依存が増加。

  3. 農業人材の高齢化と担い手不足 - 茨城や群馬などでは大規模経営体の支配力が強まる一方、小規模農家の離農が進んでいます。


今後の価格推移予想と展望

今後の価格推移は以下の要素に左右されると見られます:

  • 気温上昇による生育加速と価格安定化 →5月以降、気候が順調であれば豊作傾向に入り、価格は下がる見込み。

  • 夏場の台風・高温リスク →気象災害が発生すれば、都市部を中心に価格が再び急騰する恐れ。

  • 輸入野菜・加工品との競争 →価格が高止まりすれば、業務用を中心に冷凍・加工品への置き換えが進行。

中長期的には、関東の野菜価格は「消費地価格の上昇と、生産地価格の停滞」という二極化が進むと見られます。

 

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