関東のたまねぎ市場価格動向と今後の予測

たまねぎ

2025年6月の関東におけるたまねぎ価格は横浜市150.3円/kg、東京都144円/kgと高水準。数量は東京都が最多だが減少し、横浜市は38%以上の増加を記録。生産地の回復と分散流通が影響しており、今後の課題は物流安定と価格維持である。

たまねぎの市場価格

2025年6月
降順昇順
市場卸売価格[円/kg]前年同月比[%]
1横浜市150.3-10.52
2東京都144-13.6

市場価格の推移

たまねぎの市場価格

関東の卸売数量

2025年6月
降順昇順
市場卸売数量[kt]前年同月比[%]
1東京都6.658-17.3
2横浜市1.741+38.28

卸売数量の推移

たまねぎの卸売数量

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詳細なデータとグラフ

たまねぎの卸売り市場の現状と今後

2025年6月における関東地方のたまねぎ市場価格は、横浜市が150.3円/kg、東京都が144円/kgと、いずれも全国平均(138円/kg)を上回っています。特に横浜市は全国的に見ても高価格帯に位置し、価格の高さが際立っています。

前年同月比では、横浜市が-10.52%、東京都が-13.6%と下落傾向にありますが、これは全国的な価格調整の1環であり、特段の需給異変ではありません。1方、卸売数量は東京都が6.658kt、横浜市が1.741ktで、首都圏の流通規模の大きさを示しています。


卸売数量の推移と都市別の市場特性

東京都の特徴:

東京都中央卸売市場は全国でも最大規模の流通拠点であり、全国からのたまねぎが集中します。6.658ktという卸売数量は圧倒的ですが、前年同月比では-17.3%と大きく減少しており、これは全国的な出荷調整や輸送コスト上昇、他市場への分散流通などの影響を受けていると考えられます。

横浜市の特徴:

横浜市のたまねぎ卸売数量は1.741ktと中規模ながら、前年同月比で+38.28%と著しく増加しています。これは、東京都市場での流通減少を補うかたちで、近隣流通が横浜へ移行したこと、あるいは関東内の分散流通戦略が功を奏した結果と推察されます。また、横浜港を介した輸入玉ねぎの扱いも1部影響している可能性があります。


価格高騰と下落の要因分析

2022~2023年のたまねぎ価格の高騰は、全国的な不作、台風などの異常気象、円安による輸入価格の上昇、輸送費高騰といった複合要因によって引き起こされました。関東市場も例外ではなく、物流依存が高い首都圏では価格上昇幅が特に顕著でした。

2025年にかけては、北海道を中心とした生産回復や輸入品の流通増により、価格はやや落ち着きを見せています。それでも首都圏の流通経費、消費地としての需要の強さが相まって、全国平均を上回る水準が続いています。


関東地方におけるたまねぎ生産と流通の構造

関東地方では、千葉県や茨城県がたまねぎの主な産地として機能していますが、北海道や佐賀県などの大規模産地に比べれば供給量は限定的です。そのため、関東市場は道内や9州からの仕入れを主体とした「移入依存型市場」であり、物流の安定性が価格・供給に大きく影響します。

また、輸入たまねぎ(特に中国、アメリカ、ニュージーランドなど)も消費地である関東では多く流通しており、港湾都市である横浜市の市場では価格や数量に影響を与える要素となっています。


今後の見通しと課題

今後、関東市場におけるたまねぎ価格は、物流コストの動向、輸入品との競合、生産地の天候などに左右されることが予想されます。2025年6月時点の数量推移からは、分散流通や複数市場活用が進んでいることがうかがえ、東京都市場への過度な集中から、横浜市をはじめとする周辺市場の役割が強まっている可能性があります。

また、関東内での地産地消の取り組みや、ICT農業による効率化によって、将来的には安定供給と価格安定が両立する流通体制の構築が期待されます。

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