2025年6月、関東のピーマン市場では、横浜市が551.3円/kg、東京都が544.3円/kgと高値圏に位置している。東京都の卸売数量は1.941ktで全国最多だが、前年比では-23.01%と大幅減少し、価格上昇を招いた。横浜市も数量は微減ながら価格は11.16%上昇。需要の集中、生産地の供給減、物流コストの増大などが背景にある。関東市場では、安定供給の体制整備が今後の課題とされる。
ピーマンの市場価格
市場 | 卸売価格[円/kg] | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|
1 | 横浜市 | 551.3 | +11.16 |
2 | 東京都 | 544.3 | +16.89 |
市場価格の推移

関東の卸売数量
市場 | 卸売数量[kt] | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|
1 | 東京都 | 1.941 | -23.01 |
2 | 横浜市 | 0.352 | -1.124 |
卸売数量の推移

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詳細なデータとグラフ
ピーマンの卸売り市場の現状と今後
2025年6月現在、関東の主要市場である東京都のピーマン市場価格は544.3円/kg、横浜市では551.3円/kgと、いずれも全国平均(507.7円/kg)を大きく上回る水準にあります。東京都は前年同月比で+16.89%、横浜市は+11.16%と、いずれも2桁の価格上昇を記録しています。
1方、卸売数量では東京都が1.941ktで全国最多、横浜市が0.352ktで中規模ながらも堅調な供給を維持しています。東京都では前年比-23.01%と大幅な数量減、横浜市でも微減(-1.124%)が見られます。
東京都と横浜市の市場特徴
東京都の特徴
東京都は全国最大の消費地であり、ピーマンの集積・流通の中心地でもあります。全国の産地から商品が集まり、広域消費者に供給されるため、価格の変動は需給の微細な変化に敏感に反映されます。
2025年6月は卸売数量が前年比-23.01%と大幅に減少したことが、価格上昇の主要因と考えられます。これは天候不順や生産地の減産、あるいは輸送体制の制約が背景にあるとみられます。
横浜市の特徴
横浜市は、東京市場に次ぐ関東圏の大都市市場であり、神奈川県内産地(例:3浦、相模原など)との距離の近さから、比較的安定した供給網を持つ地域です。ただし、2025年6月は若干の数量減(-1.124%)にもかかわらず価格が上昇しており、需要の堅調さと供給の逼迫感が価格を押し上げたと見られます。
価格高騰の背景要因
関東市場でピーマン価格が高騰している背景には、以下の要因が複合的に作用しています。
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生産地の出荷減:関東圏に供給される主産地(茨城、栃木、宮崎など)での出荷減が影響。
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気象条件の不安定化:高温・日照不足など、気候変動により生育遅延や収穫量減が発生。
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物流コストの上昇:運送業の人手不足や燃料費高騰により、流通コストが価格に転嫁されている。
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都市圏特有の需要の強さ:大消費地である東京・横浜では価格弾力性が低く、供給減が価格高騰に直結。
関東におけるピーマン生産と供給構造
関東地域は、茨城県・栃木県などの近郊農業圏からのピーマン供給に依存しており、東京都・横浜市といった大都市への流通が非常に効率的に行われてきました。
しかしながら、近年は以下のような課題が顕在化しています:
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生産者の高齢化と減少
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露地栽培のリスク増加(天候依存)
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栽培コストの上昇と労働力不足
これにより、特に夏季前の端境期(5~6月)に供給が細りやすく、価格が不安定になる傾向が強まっています。
今後の展望と必要な対策
関東のピーマン市場において、今後の安定供給に向けては以下の取り組みが求められます:
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施設栽培(温室・ハウス)の拡大による出荷の安定化
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地産地消を促進する都市近郊農業の支援
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輸送の効率化と共同配送の推進による物流コスト抑制
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若手就農者への支援・育成とスマート農業の導入
また、大都市市場は需給の「波」が激しいため、価格安定のためには市場間(東京・横浜・千葉など)の連携強化も重要です。
まとめ
関東地域では、東京都と横浜市の両市場でピーマン価格が上昇傾向を示しており、特に東京都では数量減による供給不安が価格を押し上げています。1方、横浜市では数量が安定していたにもかかわらず価格が上昇しており、都市圏の強い需要が反映された形です。今後は、供給安定に向けた産地支援や物流効率化がカギとなります。
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