関東のガソリン価格は2025年3月時点で平均182.3円。立川や前橋など都市部や中核都市で高く、八王子や水戸などでは比較的安価。前年から5〜8%の上昇が見られ、背景には原油高、円安、補助金縮小などがある。今後はEV化や価格格差是正が課題。
自動車・交通の都市別小売価格
関東価格の高い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 立川 | 前橋 | 川口 | 東京都区部 | 所沢 | 府中 | 宇都宮 | 横浜 | 日立 | 熊谷 |
最新値[円] | 182.3 | 191 | 189 | 185 | 184 | 184 | 184 | 184 | 183 | 183 | 182 |
平均比[%] | 100 | 104.8 | 103.7 | 101.5 | 100.9 | 100.9 | 100.9 | 100.9 | 100.4 | 100.4 | 99.82 |
前年月同比[%] | 5.915 | 7.91 | 8.621 | 6.322 | 5.747 | 5.143 | 6.358 | 6.358 | 7.647 | 5.172 | 5.202 |
関東価格の低い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 八王子 | 小山 | 水戸 | 浦安 | 相模原 | さいたま | 千葉 | 川崎 | 熊谷 | 日立 |
最新値[円] | 182.3 | 178 | 178 | 178 | 178 | 179 | 180 | 180 | 182 | 182 | 183 |
平均比[%] | 100 | 97.62 | 97.62 | 97.62 | 97.62 | 98.17 | 98.72 | 98.72 | 99.82 | 99.82 | 100.4 |
前年月同比[%] | 5.915 | 7.879 | 4.706 | 5.952 | 4.706 | 4.678 | 5.263 | 5.882 | 5.814 | 5.202 | 5.172 |
これまでのガソリンの推移


詳細なデータとグラフ
関東の現状と今後
関東地方のガソリン小売価格は、2010年以降、国際原油価格、為替の変動、国内政策、季節要因など複数の要素の影響を受けながら上下動してきました。2025年3月の最新の平均価格は182.3円で、全国平均(約185円)とほぼ同水準ですが、都市ごとの差が大きくなっています。特に都内とその周辺で高価格帯が目立ちます。
高価格地域の傾向と特徴
2025年3月時点でガソリン価格が高い関東の都市は以下の通りです:
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立川:191円(前年比+7.91%)
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前橋:189円(+8.621%)
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川口:185円(+6.322%)
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東京都区部・所沢・府中・宇都宮:各184円(+5〜6%台)
特徴と背景
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都市部特有の高コスト構造 土地代や人件費の高さ、スタンドの固定費などが価格に転嫁されやすい。
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交通量の多さによる需要集中 東京都区部や川口・所沢・立川などは車両の流入も多く、一定の価格でも需要が見込めるため価格が下がりにくい。
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スタンドの減少と価格硬直化 都市部ではガソリンスタンドの統廃合が進み、価格競争が起きにくい。
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前橋や宇都宮など地方中核都市でも高値 広域交通の要衝となっている地方都市では、高速道路周辺の価格が全体を押し上げる傾向にある。
低価格地域の傾向と特徴
同期間の安価な地域は以下の通りです:
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八王子・小山・水戸・浦安:178円(+4.7〜7.8%)
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相模原:179円(+4.678%)
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さいたま・千葉:180円(+5.2〜5.8%)
特徴と背景
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競争が比較的活発 郊外や地方中核都市では大型店やセルフスタンドが多く、価格競争が生じやすい。
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交通の便が良く物流コストが安定 高速道路や湾岸部に近い都市では、タンクローリーの運行効率が高く、供給コストが抑えられている。
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住宅地が中心で流入需要が少ない 観光地や大型商業施設の少ないエリアでは、ガソリン価格を上げづらい傾向がある。
最近の価格上昇の背景
関東圏の多くの都市で前年同期比5〜8%の価格上昇が確認されており、主な要因は次のとおりです:
(1)原油価格の国際的な上昇
OPECプラスによる減産継続、中東地域の地政学的リスクの高まり、ロシア・ウクライナ情勢の長期化などにより、原油価格が安定せず、上昇傾向が続いています。
(2)円安の進行
2024年後半から円安が進行し、1ドル=150円前後の水準が定着したことで、輸入原油価格が割高に。
(3)補助金の縮小と終了段階
政府が行っていたガソリン価格抑制策(補助金支給)が2024年末を目処に段階的に縮小・終了され、価格に実勢が反映されるように。
(4)季節的な要因
2025年3月は年度末や行楽シーズン前で給油需要が高まりやすく、物流・流通への圧力も高くなる。
都市別の価格動向から見える構造的問題
関東の都市では、以下のような問題点も浮き彫りになっています:
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中心部と周辺部の格差 都心に近づくほど価格が高くなる傾向があるが、所得や公共交通の発達度に見合っていない。
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地域によって異なる価格弾力性 郊外では価格に敏感な消費者が多い一方、都心部は利便性を重視する傾向があり、価格設定の自由度が大きい。
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スタンド過疎地問題の兆候 都心周辺部ではスタンド数の減少が続き、特に高齢者層や交通弱者にとって不便な状況が進行。
今後の課題と展望
再エネ車・EVへの移行
ガソリン価格の変動リスクからの回避策として、EV(電気自動車)の普及が求められるが、関東圏でも充電インフラの整備が自治体間で格差がある。
地方自治体による価格支援の可能性
都市間の価格格差や住民負担軽減のため、独自の価格支援策や燃料費補助が議論される可能性がある。
災害時の備蓄体制の整備
関東は地震や台風といった災害リスクが高く、流通網の寸断時に備えたガソリンの地域備蓄が重要となる。
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