関東地方のイチゴ卸売価格動向と地域別特徴、今後の市場展望

イチゴ

2025年6月の関東のイチゴ市場では、横浜市・東京都ともに高価格帯を維持しつつ、前年同月比では価格が下落。東京都は流通量が多く安定的だが、横浜市は数量増にもかかわらず大幅下落。今後はスマート農業や直販の強化が価格と供給の鍵となる。

イチゴの市場価格

2025年6月
降順昇順
市場卸売価格[円/kg]前年同月比[%]
1横浜市1760-13.8
2東京都1665-1.339

市場価格の推移

イチゴの市場価格

関東の卸売数量

2025年6月
降順昇順
市場卸売数量[kt]前年同月比[%]
1東京都0.191-5.911
2横浜市0.012+33.33

卸売数量の推移

イチゴの卸売数量

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詳細なデータとグラフ

イチゴの卸売り市場の現状と今後

2025年6月の関東地方におけるイチゴの市場動向を見ると、横浜市では1,760円/kg、東京都では1,665円/kgと、いずれも全国平均(1,533円/kg)を大きく上回る価格水準にあります。しかし、前年同月比では横浜市で-13.8%、東京都で-1.339%と、価格はいずれの都市でも下落傾向を示しており、特に横浜市の下落幅が顕著です。

1方で卸売数量に注目すると、東京都が0.191ktと圧倒的な取扱量を誇る中、横浜市では0.012ktと小規模であるものの、前年同月比+33.33%という大幅増となっており、局所的な需要増がうかがえます。


価格と数量の中長期的推移

2008年から2025年にかけて、関東地域のイチゴ市場は高値安定傾向を続けてきました。特に東京都は全国流通の中心地として、品質・ブランド性の高いイチゴが集まる拠点市場として価格水準を押し上げてきた歴史があります。

数量面では、東京都は流通網の中心であり続けており、栃木・茨城・群馬などからの安定供給が下支えとなっています。1方、横浜市のように比較的市場規模が小さい地域では、価格変動が激しく、供給量の影響を受けやすいという特徴があります。


都市別の特徴と市場構造

  • 東京都:全国から高級品種(例:あまおう、スカイベリー、紅ほっぺなど)が集まる中心地。需要は百貨店・高級スーパー・外食産業に支えられており、価格が全国的に高水準。数量も安定して多く、1定の需給バランスが保たれている。

  • 横浜市:輸送の便が良く、川崎や湘南地域の流通圏と重なりつつ、生鮮品の即時消費型市場として機能している。2025年6月の卸売数量が急増した背景には、近隣都市からの仕入先変更や1時的な販促強化が考えられる。


価格変動の背景と要因分析

2025年6月時点での価格下落には以下の要因が想定されます:

  • 物流費の低下と供給量の安定化:東京都・横浜市の両市場において、春季から初夏にかけての物流体制が安定し、需給が緩和。

  • 輸入果実との競合:初夏以降、ベリー類や輸入果実との価格競争が発生し、イチゴの市場価値に影響。

  • 需要の伸び悩み:初夏に入るとイチゴの需要が減少傾向にあるため、価格調整が起きやすい時期である。

  • 高値警戒感による調整:特に横浜市で前年が高値だったことによる反動減も要因の1つ。


関東のイチゴ生産・流通動向と今後の展望

関東では栃木県の「とちおとめ」「スカイベリー」、茨城県の「いばらキッス」など、高品質なイチゴが首都圏市場に集中しています。これらの産地は施設園芸の高度化が進んでおり、年間を通じた安定供給体制が整っています。

また、今後の展望としては以下の動きが鍵を握ります:

  • スマート農業の普及によるコスト削減と収穫量の平準化。

  • 高級品と加工品の2極化戦略:贈答用とスイーツ原料などで市場を分けて対応。

  • 小売業との連携強化:EC市場や直販拡大による価格安定への寄与。

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