2025年6月の関東におけるさつまいも価格は東京都で364.7円/kg、横浜市で322.3円/kgと高水準。価格は前年比で16%以上上昇する一方、東京都の数量は大幅減少、横浜市は微増。背景には産地減収、物流費上昇、消費構造の変化があり、今後は品質訴求・流通多様化への対応が求められる。
さつまいもの市場価格
市場 | 卸売価格[円/kg] | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|
1 | 東京都 | 364.7 | +16.76 |
2 | 横浜市 | 322.3 | +15.67 |
市場価格の推移

関東の卸売数量
市場 | 卸売数量[kt] | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|
1 | 東京都 | 1.183 | -17.27 |
2 | 横浜市 | 0.404 | +1.508 |
卸売数量の推移

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詳細なデータとグラフ
さつまいもの卸売り市場の現状と今後
2025年6月現在、関東地方におけるさつまいもの市場では、東京都の市場価格が364.7円/kg、横浜市が322.3円/kgと、全国平均の362.3円/kgと比較して高い水準にあります。前年同月比では東京都+16.76%、横浜市+15.67%と、両都市ともに大幅な価格上昇を記録しています。
1方、卸売数量に関しては東京都が1.183kt、横浜市が0.404kt。数量面では東京都が圧倒的に多いものの、前年比では東京都が-17.27%と減少、横浜市は+1.508%と微増となっており、出荷の地域偏在や流通の変化が示唆されます。
価格と数量の推移
価格の動向
関東圏では、2008年以降を通じてさつまいもの価格は緩やかに上昇してきました。とくに近年は、健康志向・自然食品ブーム、焼き芋人気の再燃といった消費者トレンドにより需要が増大。これが相場の押し上げ要因となっています。
数量の動向
東京都の卸売数量は、2025年6月時点で大きなボリュームを維持していますが、前年比で17%以上減少しており、市場流通経路の変化(産直販売や加工流通へのシフト)や、生産地の天候不順による出荷量の減少が影響していると考えられます。1方、横浜市は前年よりわずかに数量が増加しており、特定業者による継続的な仕入れなどが推測されます。
都市別の特徴とその背景
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東京都(価格:364.7円/kg、数量:1.183kt) 東京都は首都圏最大の青果市場を擁し、全国の流通拠点としての役割を担っています。そのため、価格も高く、数量も豊富である1方、量販店や宅配向けの流通が増えたことで市場流通量は減少傾向にあります。また、ブランドさつまいもの取り扱いも多く、価格の高止まりにもつながっています。
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横浜市(価格:322.3円/kg、数量:0.404kt) 横浜市は消費地としての規模は大きいものの、東京都に比べて価格水準はやや低め。地場スーパーや中小流通業者による調達が中心で、比較的安価な品目が多いと見られます。数量は安定的で、地域消費に応じた供給体制が機能している印象です。
価格高騰の主な要因
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気候影響による生産減少 近年の高温・干ばつ・長雨などの気象変動により、主産地である鹿児島県・茨城県・千葉県などの収量が減少。これにより、出荷単価が上昇しました。
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流通コストの上昇 燃料費・人件費など物流にかかるコストが上昇し、仕入価格にも影響。都市部の市場ほどコスト転嫁が顕著です。
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消費構造の変化 焼き芋やスイートポテト、干し芋などの加工需要が拡大。生食以外の用途が増えることで、品質志向の取引が価格を引き上げています。
さつまいも生産の動向と関東市場の関連性
日本のさつまいも生産は、鹿児島・茨城・千葉などが主要地域であり、関東市場への供給を支えています。しかし、農業従事者の高齢化・人手不足、生産コストの上昇などにより、安定供給に課題が生じつつあります。
関東の消費者は安全性や品質を重視する傾向が強いため、生産地では有機栽培やブランド化の動きも加速しています。今後、産地との直接連携(産地直送や契約栽培)を強める動きが1層進むと見られます。
今後の見通しと対策
価格高騰が続く中、消費地市場としての関東では、以下のような対策と展望が期待されます:
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物流効率化や冷蔵保存技術の普及により、安定した価格供給体制を確保
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市場外流通(EC、産直)の拡大による数量変動への適応
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高付加価値品の市場シェア拡大による価格維持と差別化
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地場品種の育成や関東圏内での試験栽培といった自給力の確保
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