家計調査によると、二人以上世帯における飲料支出は都市ごとに大きく異なり、川崎市や千葉市では高水準、和歌山市や大分市では減少傾向が見られます。都市部では外出やまとめ買いが影響し、若年世帯では清涼飲料やアルコール類の需要が高く、シニア層では健康志向飲料が伸びています。物価高騰やライフスタイルの変化を背景に、今後も地域差と世代差は拡大が予想されます。
飲料の家計調査結果
飲料の多い都市
飲料の少ない都市
これまでの飲料の推移


詳細なデータとグラフ
飲料の飲料・菓子現状と今後
飲料は日常生活における必需品であり、嗜好品としての側面も強いため、家計調査において世帯の消費動向を把握するうえで重要な指標です。特に2人以上世帯では、家族構成やライフスタイルの違いが支出額に如実に表れるため、都市別・世代別の分析が有効です。
全体的な飲料支出の動向
2008年から2025年3月までの期間において、飲料支出の全国平均は徐々に増加傾向を示しており、直近では5,353円に達しています。これは物価上昇や飲料の多様化、まとめ買い志向の強まり、外出時の持ち歩き需要などが背景にあります。また、夏季の猛暑化によって水分補給の重要性が増しており、飲料需要を押し上げる要因になっています。
都市間の顕著な違い
都市ごとの支出を見ると、川崎市(6,917円)、千葉市(6,579円)、富山市(6,489円)など都市部で支出が高い傾向があります。これらの地域では交通の利便性や外出機会の多さ、コンビニエンスストアや自販機の利用頻度が高いことが1因です。
1方で、大分市(3,915円)、北9州市(4,154円)、津市(4,219円)などは全国平均を大きく下回っています。これらの地域では地元スーパーの利用率が高く、価格重視の買い物傾向や、家庭内での麦茶やお茶の作り置き文化が根強いことが要因と考えられます。
世代間の特徴と飲料の種類
若年層が多い世帯では、炭酸飲料、エナジードリンク、アルコール類への支出が多い傾向があります。1方、高齢者世帯では健康志向の高まりから、ミネラルウォーターやノンカフェイン茶、機能性表示飲料などの購入が増加しています。
さらに、健康意識の向上により、糖質オフ飲料や無糖飲料のシェアも拡大中です。これらの選好は所得や情報感度とも関連しており、高学歴・高所得層が多い都市部ほど新商品に対する受容度が高く、支出額の増加に結びついています。
物価・物流・気候変動の影響
2020年代以降の物価上昇、特に物流費や原材料費の高騰が飲料価格に影響を及ぼしており、支出額の増加要因になっています。また、ペットボトル製品への依存度が高いため、リサイクル政策や容器価格の動向も無視できません。
加えて、近年の猛暑・熱中症対策としての飲料購入が支出を底上げしています。地域によっては、夏場の支出が突出する傾向も見られ、気候との関係性が顕著です。
今後の予測と課題
今後は以下のような展開が予測されます:
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都市間格差の拡大:物価上昇への耐性や購入習慣の違いが支出差を広げる。
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世代交代による変化:若年層の家庭化とともに健康志向飲料が主流化。
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脱ペットボトルの波:エコ志向が家庭用ドリンクメーカーや詰替え商品への関心を高める可能性。
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地域ブランド飲料の伸長:地元志向や観光資源の強化と連動した飲料の地産地消型商品が注目される。
特に高支出地域では、利便性と嗜好性を重視する1方、低支出地域では節約志向が根強く残ると考えられます。
まとめ:飲料支出は「生活の写し鏡」
飲料支出は、単なる消費行動ではなく、その地域の生活スタイルや価値観、健康観、経済的背景を反映する重要な指標です。都市ごとの支出差や世代間の選好の違いを踏まえることで、今後の飲料市場や政策対応の方向性を見通すヒントが得られます。飲料は日常の「小さな贅沢」としての役割も持ち合わせており、今後もその動向に注目が集まります。
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