2025年3月時点の携帯通信料地域別平均は1.157万円で、東北・北陸・小都市Bが高水準にあります。地方部ほど料金が高くなりやすい背景には、通信インフラ整備コストや利用習慣の差が関係しています。大都市より地方の通信料が相対的に高止まりしている現状から、今後は格安プランや地域間格差是正策の効果が注目されます。
地域別の携帯通信料
1世帯当りの月間使用料
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 東北 | 小都市B | 北陸 | 中国 | 小都市A | 九州・沖縄 | 四国 | 全国 | 東海 | 中都市 |
最新値[万円] | 1.157 | 1.281 | 1.214 | 1.206 | 1.205 | 1.188 | 1.165 | 1.155 | 1.14 | 1.138 | 1.135 |
前年月同比[%] | -0.436 | 0.0469 | 0.596 | 2.298 | 0.871 | 2.954 | -1.497 | -0.294 | -1.111 | -1.052 | -0.613 |
これまでの地域別の推移


詳細なデータとグラフ
地域別の現状と今後
2025年3月時点での全国平均の携帯通信料は1.157万円。中でも最も高かったのは東北地方の1.281万円であり、次いで小都市B(1.214万円)、北陸(1.206万円)が続いています。逆に、全国平均(1.14万円)を下回る地域としては東海(1.138万円)、中都市(1.135万円)がありました。
また、前年同期比の増加率を見ても、小都市A(+2.954%)や北陸(+2.298%)などは増加している一方で、九州・沖縄(-1.497%)や全国(-1.111%)は減少しています。
このように、料金水準にも増減傾向にも地域差が存在しており、単純な全国的な物価動向とは異なる地域ごとの特性が見られます。
地域別に見る携帯通信料の特徴と要因
地方部(東北、北陸、中国など)の高水準
地方部で通信料が高くなる要因には、以下のような要素が考えられます:
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インフラ整備コスト:人口密度が低いため、基地局の整備や保守にかかるコストが世帯ごとに重くのしかかる。
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選択肢の少なさ:地方では格安SIM業者の実店舗が少なく、大手キャリアのまま契約を続ける傾向が強い。
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利用スタイルの保守性:高齢層を中心に、大容量プランや不要なオプションを付けたままの契約が多く、通信料が高止まりする傾向がある。
小都市の割高傾向
小都市Aや小都市Bでも1.2万円近い水準に達しており、これは「地方都市であるが都市圏ほどの競争はない」という中間的な特性が反映されている可能性があります。
都市部(中都市、東海)の安定・微減傾向
都市部では通信料の伸びが鈍化、または減少しています。これは以下のような事情が背景にあると考えられます:
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格安SIMの浸透:都市部では格安プランや格安スマホが普及し、情報感度も高いため見直しが進んでいる。
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キャリア間競争の激化:都市部は契約者数が多く、販売競争も激しいため、キャンペーンや割引が積極的に行われている。
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サブブランド(UQ mobileやY!mobileなど)の存在感:都市部ではサブブランドの店舗数が多く、低価格帯のプラン選択肢が豊富。
地域ごとの課題と今後の推移
地域間格差の是正は進むのか?
政府は「デジタル田園都市構想」などを掲げ、地方部でも高速通信インフラの整備を進めていますが、通信料金の格差是正には限界があります。なぜなら、料金そのものは民間キャリアの裁量に任されており、地方の購買力や情報リテラシー向上なしには、格差が縮まらないからです。
地方高齢層の契約見直し支援
地方においては、高齢者が「店舗で勧められたまま」大容量プランを契約してしまう事例が多いため、自治体や総務省が「契約見直しサポート窓口」などを設けており、今後はその普及が鍵となります。
料金水準の中期的な見通し
今後3〜5年の見通しとしては、次のような方向性が予測されます:
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都市部ではさらに料金低下:競争環境の深化により通信料は低下傾向を継続。
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地方部は緩やかな改善:行政支援や新興事業者の進出により、少しずつ料金が見直される。
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格安ブランドの普及が進む:全国的にUQ mobileや楽天モバイルの利用が拡大すれば、地域差は一定程度解消される見込み。
通信料金政策と地域活性の関係性
携帯通信料の地域差は、単なる家計の問題にとどまらず、地域の情報格差、ひいては経済活動の格差にもつながりかねません。リモートワークやオンライン医療の活用が進むなかで、「通信費の高さがボトルネックになる地方」も今後課題視されるでしょう。
特に、固定回線を持たず携帯のみでネット利用をしている世帯にとっては、携帯通信費が「ライフライン」に近い性格を持ちつつあります。このような状況では、行政による通信費補助や教育の充実がより強く求められることになります。
おわりに
携帯通信料の地域別動向は、物価の一側面として見過ごせない存在です。とくに地方部での高止まり傾向には、情報格差や競争の少なさが絡んでいます。今後は、都市部を先行事例とした普及モデルや支援制度を地方へと広げることで、通信費の地域格差を縮小していくことが期待されます。
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