近畿地方の柿価格は2025年1月時点で都市間に大きな差があり、神戸や京都では高値を記録する一方、奈良や大津では下落傾向が見られた。気候変動や需要減退による影響が顕著で、今後はブランド力や販路の多様化による価格安定が課題となる見込みだ。
柿の卸売り市場価格
柿の高い順
神戸市 | 京都市 | 大阪市 | 姫路市 | 大阪府 | 和歌山市 | 尼崎市 | 三重県 | 奈良県 | 大津市 | |
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最新 | 2025年1月 | 2025年1月 | 2025年1月 | 2023年12月 | 2021年12月 | 2023年12月 | 2011年12月 | 2021年12月 | 2023年12月 | 2021年12月 |
最大期 | 2016年8月 | 2016年6月 | 2011年7月 | 2016年6月 | 2011年6月 | 2012年7月 | 2011年7月 | 2014年7月 | 2011年7月 | 2015年7月 |
最新値[円/kg] | 613 | 586.7 | 574.7 | 375 | 338 | 298 | 270 | 264 | 229 | 205 |
最大値[円/kg] | 874 | 1743 | 1323 | 1229 | 1305 | 1470 | 553 | 1391 | 1411 | 1904 |
前月比[%] | +49.27 | +48.15 | +29.43 | +22.95 | +7.643 | -18.58 | +38.46 | +57.14 | -11.58 | -26.79 |
前年同月比[%] | +16.91 | +18.92 | +20.98 | +31.12 | +0.5952 | +61.96 | -18.43 | -3.65 | +47.74 | +20.59 |
柿の推移

最新の価格データ

その他のデータとグラフ
柿の価格についての推移と展望
近畿地方は柿の名産地を複数抱えるエリアで、特に奈良県(刀根早生など)や和歌山県(平核無柿など)が有名です。これらの県は全国でも有数の出荷量を誇ります。一方で、都市部では地場産に加え、他地域からの入荷品も含めて価格形成されるため、流通・販売コスト、需要の集中度などによって差が生じます。
2025年1月時点の価格と都市別の特色
最新のデータを見ると、神戸市(613円/kg)や京都市(586.7円/kg)、大阪市(574.7円/kg)が高価格帯に位置し、大津市(205円/kg)や奈良県(229円/kg)などが低価格帯にあります。
高価格帯(500円以上):
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神戸市・京都市・大阪市 → 都市部で需要が高く、贈答用や高品質果実の取り扱いが多い。百貨店や高級スーパーが主な販路。
中価格帯(300〜400円):
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姫路市・大阪府・和歌山市・尼崎市・三重県 → 郊外の中堅都市で、価格は抑えつつも地元消費が一定。加工用や家庭向け商品が多く出回る。
低価格帯(300円未満):
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奈良県・大津市 → 生産地である奈良では直売や家庭内消費が中心で市場価格が低く出やすい。大津は流通量が少なく変動が激しい傾向。
価格変動の背景と異常値の読み解き
ほとんどの都市で前年同月・前月比ともに急激な上昇が見られる中、奈良県・和歌山市・大津市はマイナス変動となっています。
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三重県(+57.14%)、神戸市(+49.27%)、京都市(+48.15%) → 一時的な品薄状態や高級需要の増加、販路拡大などが影響。特に三重は他県からの流入依存度が高く、需給バランスの乱れが直撃。
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和歌山県(-18.58%)、奈良県(-11.58%)、大津市(-26.79%) → 出荷量が安定、もしくは需要減退の影響を受けて価格が下落。過去に比べて消費者の買い控え傾向も見られる。
直近の課題とその影響
柿離れと需要の変化:
若年層を中心に、生柿よりも手軽なカットフルーツや洋菓子への嗜好が強まり、消費量が減少。柿の販売単価を上げるため、贈答品としてのブランディングが進んでいる。
気候変動と収穫量の不安定:
暖冬や異常気象により、結実率や糖度にばらつきが発生。品質に応じて価格が二極化しており、高品質品が一層高騰している。
高騰と販売鈍化のジレンマ:
高価格帯では購買意欲が下がるため、結果的に売れ残りが発生し、低価格品との価格差が拡大する傾向が見られる。
今後の見通しと価格推移の期待
短期的展望:
2025年秋の出荷期に向けて、供給量の見直しや販促活動の強化が図られる可能性がある。都市部では引き続き高値が維持されるが、地方では価格調整の動きが出てくると予想される。
中長期的展望:
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ブランド化や輸出対応がカギ:奈良や和歌山などの主産地では、高品質化や海外販路開拓が進めば安定価格が期待できる。
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販売チャネルの多様化:直売所やネット通販の活用により、中間コストを省いた価格安定策が注目されている。
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