近畿地方の下水道料金は平均2,417円で、姫路・和歌山・松阪が高価格。姫路は前年比+20.5%と急騰。一方で京都や東大阪は低水準で安定。都市ごとの地形、人口密度、施設更新時期の違いが料金差の要因。今後は設備老朽化と環境対策費の上昇が課題。
1か月20立法メートルの下水道料金相場
都市 | 最新値[円] | 前年同月比[%] | |
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平均 | 2417 | +1.618 | |
1 | 姫路 | 3168 | +20.5 |
2 | 和歌山 | 3139 | |
3 | 松阪 | 3113 | |
4 | 大津 | 2931 | |
5 | 奈良 | 2893 | |
6 | 堺 | 2821 | |
7 | 枚方 | 2618 | |
8 | 津 | 2519 | |
9 | 東大阪 | 2087 | |
10 | 京都 | 2013 | |
11 | 西宮 | 1777 | |
12 | 神戸 | 1760 | |
13 | 伊丹 | 1727 | |
14 | 大阪 | 1276 |

詳細なデータとグラフ
近畿の下水道料金現状と今後
2025年5月時点における近畿地方の下水道料金の平均は2,417円で、全国平均(2,572円)をやや下回る水準にあります。都市ごとに見ると、料金差は大きく、最も高い姫路市(3,168円)と最も低い京都市(2,013円)では1,100円以上の開きが見られます。これは、都市の規模、財政状況、設備更新のタイミング、地域特性などが料金に色濃く反映されていることを示しています。
高価格帯の都市 ― 姫路・和歌山・松阪
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姫路市(3,168円)は近畿で最も高く、前年同月比+20.5%と急騰しています。これは老朽化施設の更新やインフラ整備への投資が重なった結果と考えられ、近年の財政戦略の見直しが影響している可能性があります。
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和歌山市(3,139円)も高水準で、山間部から沿岸部への広がりを持つ市域構造から、効率的な下水処理が難しく、設備負担が高いと見られます。
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松阪市(3,113円)は人口規模に比して高い値。地域分散型の住宅開発とインフラ運営費の比率が高い点が影響していると推察されます。
中価格帯の都市 ― 大津・奈良・堺
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大津市(2,931円)は琵琶湖周辺に位置するため、水質保全と環境規制が厳しく、下水処理の高度化が求められる結果として料金に反映されていると考えられます。
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奈良市(2,893円)は観光都市としての景観や環境保全が重視されており、過去からの設備投資が高止まりしている印象です。
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堺市(2,821円)は大阪府内で比較的高めの水準。政令指定都市としての規模に見合ったインフラを維持しつつも、工業地域との併存による処理システムの複雑さがコスト要因になっています。
低価格帯の都市 ― 枚方・津・東大阪・京都
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枚方市(2,618円)と津市(2,519円)はほぼ平均的な水準。都市規模と整備済みのインフラのバランスがとれており、コストを抑える体制が確立されていると見られます。
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東大阪市(2,087円)は大都市圏でありながら比較的低価格。高度に整備された都市インフラと、人口密度による処理効率の高さが背景にあると考えられます。
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京都市(2,013円)は歴史的都市でありながら最安値圏。これは古くからの下水道インフラが整っており、大規模な追加投資を抑制している点が反映されていると思われます。
今後の展望と課題
近畿地方では、インフラの老朽化と再整備の必要性が高まっており、姫路のように料金が急騰する都市が今後も出てくる可能性があります。特に、政令市や観光都市は、施設の高機能化・脱炭素化への対応が求められており、環境対策コストの上昇も料金に転嫁される傾向が強まると見込まれます。
また、府県をまたいだ広域処理やAIによる運転管理の導入など、効率化による料金抑制の工夫が今後の政策課題とされるでしょう。
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