近畿地方では、京都市のメロン価格が681.3円/kgと急騰し、高価格帯が際立つ。一方、大阪市は流通量が最多ながらも微増価格、神戸市はやや下落傾向にあります。供給制約と品質志向が価格高騰の要因で、今後は高付加価値市場と量販市場の二極化が進むと見られます。
メロンの市場価格
市場 | 卸売価格[円/kg] | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|
1 | 京都市 | 681.3 | +19.81 |
2 | 大阪市 | 555 | +2.905 |
3 | 神戸市 | 445 | -1.039 |
市場価格の推移

近畿の卸売数量
市場 | 卸売数量[kt] | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|
1 | 大阪市 | 0.918 | -6.517 |
2 | 神戸市 | 0.164 | -1.205 |
3 | 京都市 | 0.06 | -50 |
卸売数量の推移

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詳細なデータとグラフ
メロンの卸売り市場の現状と今後
近畿地方のメロン市場は、大阪市・神戸市・京都市を中心に構成されており、それぞれが異なる特徴を持っています。2025年6月時点で京都市の市場価格は681.3円/kgと地域内で最も高く、前年同月比+19.81%という顕著な上昇を記録しています。対照的に大阪市は555円/kg(+2.905%)、神戸市は445円/kg(-1.039%)となっており、価格の地域差が拡大傾向にあります。
都市別に見る価格と数量の特徴
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京都市(681.3円/kg、0.06kt)高価格帯ながら、卸売数量は0.06ktと少量にとどまっています。価格の急上昇は、地域特有の「質を重視する消費者傾向」や、高級メロン需要に対応した仕入れ構成に由来すると考えられます。卸売数量は前年比-50%と大幅に減少しており、需給バランスの変化や流通業者の仕入れ抑制が影響している可能性があります。
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大阪市(555円/kg、0.918kt)流通量では圧倒的に地域最大。庶民的な価格帯の商品が中心で、価格上昇は穏やか(+2.905%)ですが、数量は前年より-6.517%減少。これは供給側の制限や、コスト上昇による仕入れ調整といった市場側の対応が影響していると考えられます。
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神戸市(445円/kg、0.164kt)価格・数量ともに中庸な位置づけで、価格はやや下落(-1.039%)。安定的な取引が継続していると見られますが、数量も-1.205%減と微減しており、他都市と同様の縮小傾向がうかがえます。
価格と数量の長期的推移
2010年代から現在にかけて、近畿のメロン市場は季節性の影響を強く受けつつも、年間を通じた安定供給の体制が整ってきました。しかし2020年代以降、人件費・燃料費の高騰や気候不安定化が供給側を圧迫し、価格上昇が顕著に見られるようになっています。特に高品質品を扱う京都ではこの影響が色濃く反映されており、価格の上振れが著しくなっています。
価格高騰の要因
近畿地域では、主に以下の3点が価格高騰の要因として挙げられます:
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高級メロン需要の拡大:京都などでの贈答品需要が価格に反映。
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生産コストの上昇:燃料・肥料・資材の価格上昇が産地に波及。
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産地の縮小・高齢化:主産地での担い手不足が出荷量を制限。
近畿におけるメロン生産と流通の今後
近畿は大規模な生産地こそ少ないものの、静岡や熊本などの1大産地との連携で安定供給を維持しています。今後は品質重視の少量流通モデルが主流となり、大阪のような量販型市場と、京都のような高価格市場の2極化傾向が進行する見通しです。
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