近畿地方では、大阪市が最も多くのバナナを扱い、価格も237円/kgと全国平均を上回る。一方、京都市では価格が大幅に下落し、卸売数量も減少。供給安定と為替の影響で全体として価格は横ばい傾向にあるが、地域ごとに消費構造の変化が表れている。
バナナの市場価格
市場 | 卸売価格[円/kg] | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|
1 | 大阪市 | 237 | -3.135 |
2 | 神戸市 | 211 | +0.476 |
3 | 京都市 | 169.3 | -26.59 |
市場価格の推移

近畿の卸売数量
市場 | 卸売数量[k円/kg] | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|
1 | 大阪市 | 0.237 | -3.135 |
2 | 神戸市 | 0.211 | +0.476 |
3 | 京都市 | 0.169 | -26.59 |
卸売数量の推移

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詳細なデータとグラフ
バナナの卸売り市場の現状と今後
バナナは日本の果物消費において、最も親しまれている輸入果実のひとつであり、近畿地方では大阪市・神戸市・京都市が主な卸売市場を担っています。2025年6月時点では、大阪市が市場価格237円/kgで最多の取扱量を誇っており、近畿における中核市場となっています。
都市別の価格と数量の比較
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大阪市:近畿最大の青果物流拠点として、0.237k円/kgの卸売数量を記録。市場価格は全国平均(224円/kg)を上回る237円/kgで、前年同月比では-3.135%の下落。これは競争環境や輸入量の安定、消費者需要の変動を反映しています。
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神戸市:港町として輸入果物の流通基盤を持つが、市場価格は211円/kgと比較的低め。ただし前年同月比は+0.476%の微増であり、堅調な価格推移がみられます。数量は0.211k円/kgで大阪に次ぎます。
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京都市:価格は169.3円/kgと大きく下落し、前年同月比で-26.59%の大幅下落。卸売数量も0.169k円/kgと減少傾向。需要減または仕入調整、流通構造の変化が背景と考えられます。
過去の価格・数量の推移
2008年以降、バナナ価格は近畿全体でおおむね200〜260円/kgの範囲で推移しており、為替や輸送費の影響を受けつつも比較的安定しています。数量面では、大阪市が常に他都市を大きく上回っており、神戸市・京都市はその補完的役割を果たしてきました。2020年代に入ってからは、物流の逼迫や輸送コストの上昇により価格の上昇傾向が見られましたが、2025年は逆に価格が下がる都市が目立ちます。
価格変動と数量変化の背景
近年の価格や数量の変動には以下の要因が複合的に影響しています:
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為替相場の円高傾向による輸入コストの減少
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東南アジア産バナナの供給安定化(特にフィリピンからの輸入量回復)
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消費者の健康志向や果物離れによる実需の減少
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地域ごとの物流網の見直しによる再配分(とくに京都)
特に京都市では、消費構造の変化に加え、量販店やスーパーにおける別ルートでの直接取引の増加が卸売市場での数量減少につながっている可能性もあります。
生産・供給の国際的な動向と今後の見通し
バナナは完全な輸入依存果物であり、フィリピン、エクアドル、メキシコなどからの供給に頼っています。最近では、天候の安定や農園の管理改善により、供給の乱れは抑えられていますが、輸送費の高止まりや気候変動リスクには依然として注意が必要です。
1方、国内では物流の効率化や港湾の再整備が進み、今後は神戸港を経由した物流再編により、神戸市の取扱量がさらに増える可能性もあります。
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