近畿地方のぶどう市場は神戸市で大幅な価格上昇が見られ、大阪市と京都市も上昇傾向にある一方、卸売数量は減少している。品質向上や品種改良、天候不順が価格高騰の要因であり、生産者の高齢化や農地減少が課題。スマート農業導入やブランド強化で市場の持続的成長が期待される。
ぶどうの市場価格
市場 | 卸売価格[円/kg] | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|
1 | 神戸市 | 2737 | +24.15 |
2 | 大阪市 | 2734 | +7.035 |
3 | 京都市 | 2527 | +9.618 |
市場価格の推移

近畿の卸売数量
市場 | 卸売数量[kt] | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|
1 | 大阪市 | 0.198 | -18.85 |
2 | 京都市 | 0.059 | -16.9 |
3 | 神戸市 | 0.012 | -20 |
卸売数量の推移

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詳細なデータとグラフ
ぶどうの卸売り市場の現状と今後
近畿地方のぶどう市場は2010年以降、価格が全体的に上昇傾向にあります。最新のデータでは、神戸市の市場価格は2,737円/kgで前年同月比+24.15%と大幅に上昇しました。大阪市は2,734円/kg(+7.035%)、京都市は2,527円/kg(+9.618%)となっており、いずれも前年より価格が上昇しています。1方で、卸売数量は大阪市が最大の0.198ktを扱いますが、前年同月比で−18.85%と減少傾向です。京都市は0.059kt(−16.9%)、神戸市は0.012kt(−20%)といずれも数量は減少しています。
都市別の特徴
神戸市は高価格帯のぶどう市場として注目され、品質面での評価が高いことが価格上昇の1因と考えられます。取扱量は少ないもののプレミアムぶどうの流通が活発です。大阪市は地域の流通拠点としての役割が強く、数量規模が大きいのが特徴です。卸売数量の減少は市場構造の変化や消費者嗜好の多様化が影響しています。京都市は伝統的な果物消費地であり、価格は中程度ながら品質にこだわる消費者層が支えています。
価格高騰の要因
近畿地方でのぶどう価格上昇には以下の要因があります。
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品質向上と品種改良:糖度や見た目の良さを追求した高付加価値ぶどうの増加。
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天候不順の影響:異常気象や降雨の影響で収穫量が減少し、供給が逼迫。
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生産コスト上昇:肥料や農薬、労働力のコスト増加が価格に転嫁。
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消費者の高級志向:健康志向やギフト需要の高まりにより高価格帯商品が好調。
ぶどう生産の動向と課題
近畿地方は気候や土壌に恵まれ、ぶどう生産の伝統がありますが、生産者の高齢化や農地減少が進行中です。若手農業者の育成や新技術導入が急務です。また、収穫時期の管理や病害虫対策が品質維持の鍵となっています。さらに、流通経路の効率化やブランド力の強化を通じて、付加価値向上と市場拡大を目指す動きが活発化しています。
今後の展望
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スマート農業技術の活用による生産効率化
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地域ブランドの強化と販路拡大による価格安定化
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生産者間の連携強化で病害対策や品質管理の向上
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消費者ニーズに合わせた多様な商品展開
これらの取り組みが、近畿のぶどう市場の持続的な成長を支えると期待されます。
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