近畿地方のたまねぎ価格動向と都市別比較・今後の見通し

たまねぎ

2025年6月の近畿地方のたまねぎ価格は神戸市が142.3円/kgで最高、京都市・大阪市も全国平均と同水準。数量は大阪市が最多だが減少傾向。神戸市は唯一前年より増加。地域ごとの流通構造と生産地の違いが価格に影響している。

たまねぎの市場価格

2025年6月
降順昇順
市場卸売価格[円/kg]前年同月比[%]
1神戸市142.3-16.28
2京都市139.3-16.57
3大阪市137-16.8

市場価格の推移

たまねぎの市場価格

近畿の卸売数量

2025年6月
降順昇順
市場卸売数量[kt]前年同月比[%]
1大阪市3.515-15.48
2京都市1.309-6.165
3神戸市0.579+7.821

卸売数量の推移

たまねぎの卸売数量

カテゴリー

詳細なデータとグラフ

たまねぎの卸売り市場の現状と今後

近畿地方におけるたまねぎの市場価格は、2025年6月時点で神戸市が142.3円/kg、京都市が139.3円/kg、大阪市が137円/kgとなっており、いずれも全国平均(138円/kg)に近い水準ですが、神戸市がやや高めです。前年同月と比較すると、神戸市で-16.28%、京都市で-16.57%、大阪市で-16.8%と、ほぼ同程度の下落率を記録しており、近畿全体での価格調整傾向がみられます。

1方、卸売数量は大阪市が3.515ktで最も多く、京都市が1.309kt、神戸市が0.579ktと続きます。大阪市・京都市は前年同月比でそれぞれ-15.48%、-6.165%と減少しているのに対し、神戸市は+7.821%と増加しており、地域ごとに異なる動きがみられます。


都市別の市場特性と流通構造

大阪市の特徴:

大阪市は近畿圏最大の集配拠点であり、全国から多種多様な青果物が集まる大規模市場を有しています。3.5ktを超える卸売数量はその象徴であり、広域流通の要として機能しています。大量仕入れ・分散流通により価格は比較的安定しやすく、2025年6月も全国平均に近い137円/kgという水準に抑えられています。

京都市の特徴:

京都市は近畿の中では中規模市場に位置づけられますが、地場産農産物の比率が高く、また飲食業・観光業向けの高品質需要があるため、価格はやや高止まりする傾向にあります。2025年の価格は139.3円/kgで、全国平均を若干上回る水準を維持しています。

神戸市の特徴:

神戸市市場は港湾都市としての流通拠点の性格を持ち、輸入たまねぎや西日本産たまねぎの移入が比較的多い傾向にあります。卸売数量は小規模ですが、前年同月比で+7.821%の増加を示しており、供給が安定していたことがうかがえます。価格も142.3円/kgと比較的高値で推移しています。


価格変動の背景と高騰の要因

たまねぎの価格は2022~2023年にかけて全国的に高騰しました。近畿地方もその影響を大きく受け、特に西日本産地(兵庫、淡路島など)の不作や天候不順による出荷減により、流通量が制限され、価格が200円/kgを超えることもありました。

2024年以降は、北海道や佐賀などの主産地での生産回復、流通改善、輸入品の補完などにより供給が増え、2025年には前年同月比で15~17%の価格下落が実現しました。これは過去の高騰の反動でもあり、市場が調整局面に入ったことを示しています。


生産地との連携と流通の役割

近畿地方においては、地場産地として兵庫県(特に淡路島)が重要なたまねぎ供給元です。淡路島産のたまねぎは甘味が強く、高級品として扱われることも多く、地産地消と首都圏出荷の両方に対応しています。また、京都府南部や和歌山県の1部でも少量ながら生産されています。

しかし、供給量としては北海道や佐賀県などに比べて小規模なため、大阪・神戸市場ではこれらの外部産地からの移入が市場安定のカギとなっています。特に大阪市場は道内・9州・中国地方などからの流通が多く、供給網の多様性が価格安定に寄与しています。


今後の見通しと課題

今後の課題としては、以下の3点が重要です:

  1. 物流コストの抑制:燃料価格高騰や人手不足による運送費の増大は、価格に転嫁されやすく、消費地価格を不安定にする要因です。

  2. 天候リスクへの対応:淡路島や9州地方のようなたまねぎ産地が気候変動に弱いため、安定供給体制の確立が重要です。

  3. 市場間連携の強化:大阪・京都・神戸の市場が連携し、供給過不足の是正や物流の効率化を図ることで、地域全体の価格安定が期待されます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました