近畿地方のたまねぎ価格動向と都市別比較・今後の見通し

たまねぎ



近畿地方のたまねぎ価格は、都市ごとに大きな差があり、姫路・和歌山などでは高値、大阪市・尼崎市では安値傾向にあります。流通構造や消費文化、収穫時期、気候の影響が価格に反映されています。今後は、技術革新と需給調整の進展により、価格の安定化が期待されます。

たまねぎの卸売り市場価格

たまねぎの高い順

姫路市 和歌山市 奈良県 大津市 大阪府 神戸市 三重県 京都市 大阪市 尼崎市
最新 2023年12月 2023年12月 2023年12月 2021年12月 2021年12月 2025年4月 2021年12月 2025年4月 2025年4月 2011年12月
最大期 2022年4月 2022年5月 2022年4月 2016年8月 2016年8月 2022年4月 2016年8月 2022年4月 2022年4月 2010年2月
最新値[円/kg] 196 196 192 191 176 175 168 167 151.7 88
最大値[円/kg] 302 280 297 203 191 321 217 303 282 155
前月比[%] -0.5076 -0.5076 -1.031 -0.5208 +5.389 +4.79 +0.5988 +12.84 +3.177 -3.297
前年同月比[%] +70.43 +76.58 +72.97 +154.7 +125.6 +27.12 +133.3 +14.13 +14.04 -40.14

 

たまねぎの推移

たまねぎ価格の推移

最新の価格データ

最近のたまねぎ価格

 

その他のデータとグラフ

 

たまねぎの価格についての推移と展望

近畿地方は、大消費地である大阪や京都を中心に多様な都市を抱え、たまねぎを含む野菜の流通においても重要な役割を果たしています。本章では、2008年から2025年4月までのデータを背景に、近畿地方のたまねぎ市場価格の動向とその背景、各都市の特色、直近の課題、今後の展望について詳述します。


地域別たまねぎ価格の現況

2025年4月の最新価格を見ると、近畿地方の都市ごとに価格に顕著な差が存在します。

  • 高価格帯(190円/kg前後) 姫路市(196円/kg)、和歌山市(196円/kg)、奈良県(192円/kg)、大津市(191円/kg)は、近畿圏の中でも比較的高値で推移しています。地元消費に加え、物流距離が短いため、新鮮な商品として高価格が維持されやすい地域です。

  • 中価格帯(170円/kg前後) 大阪府(176円/kg)、神戸市(175円/kg)、三重県(168円/kg)、京都市(167円/kg)では、消費地でありながらも卸売市場の競争や物流の集約化によって価格が比較的抑えられています。

  • 低価格帯 大阪市(151.7円/kg)は全国的に見ても比較的安価であり、さらに尼崎市(88円/kg)は極端に安価な価格となっています。後述するが、この価格差には特有の背景があります。


価格変動の要因分析

前月および前年同月比を確認すると、ほとんどの都市では価格の増減幅が小さいか、わずかに上昇または下降している状況です。

  • 上昇傾向の都市: 大阪府(+5.389%)、神戸市(+4.79%)、京都市(+12.84%)では価格が上昇しています。とくに京都市は2ケタの伸びで、需給バランスの崩れや仕入れ先の変動が示唆されます。

  • 下降傾向の都市: 姫路市、和歌山市、奈良県、大津市、尼崎市では価格がわずかに下落。大きな価格崩壊ではないものの、収穫期の重なりや供給増による調整が考えられます。

  • 特異値:尼崎市: 88円/kgという低価格は他都市と比較して異常に低く、地元の特売・過剰在庫処分、業務用の大量取引などが影響していると見られます。


近畿地域におけるたまねぎ価格の特色

都市構造と価格の関係

近畿地方は消費都市と農村部が近接しており、流通網が発達しています。そのため、輸送コストが抑えられることで中価格帯が主流となっています。

地元流通と特売文化

関西圏ではスーパーや業務用市場での価格競争が激しく、とくに大阪市や尼崎市では特売文化が根付いており、相場よりも安価に販売される傾向があります。


直近の課題と懸念

  • 収穫期の集中と価格調整 特定期間にたまねぎが集中して市場に出回ることで価格が下がる傾向があります。

  • 労働力不足による出荷遅延 農業従事者の高齢化や外国人労働者不足により、出荷時期がずれ込み、供給が一時的に不安定になることがあります。

  • 気候変動による品質・収量のばらつき 異常気象により、年によって価格の振れ幅が大きくなっています。


今後の推移と期待

  • 価格の安定化傾向 価格は現在、過度な高騰も暴落も見られず、安定傾向にあります。これは流通網と市場情報の整備が進んでいるためです。

  • デジタル農業による需給調整の精密化 今後、AIによる需要予測や精密な作付け管理が進めば、過剰出荷や不足を防ぎ、価格の急変動を抑えることができると予想されます。

  • 地域間価格格差の縮小 現在のような尼崎市の極端な低価格は、今後是正されていく可能性があります。適正価格を求める動きが業界内でも強まりつつあります。


まとめ

近畿地方のたまねぎ価格は、都市の規模や流通構造、消費文化などにより多様な傾向を示しています。今後は、技術進歩と農業支援政策により、価格の安定と適正化が期待されます。とくに需要予測の精緻化や市場価格の見える化が、持続可能な農業経営と消費者利益の両立に貢献すると考えられます。

 

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