2025年4月時点の近畿地方のじゃがいも価格は、大阪市・京都市で300円台と高値を記録する一方、奈良県・尼崎市では90円未満にとどまるなど大きな地域差が見られます。大阪市と京都市では前月比30%以上の急騰が起きており、都市部の需要集中と供給不足が背景にあります。和歌山市や奈良県など一部地域では価格が下落し、需給の地域格差が浮き彫りになっています。今後も価格二極化が続く可能性が高く、流通の効率化や地場需要の再活性化が求められます。
じゃがいもの卸売り市場価格
じゃがいもの高い順
大阪市 | 京都市 | 神戸市 | 三重県 | 大津市 | 大阪府 | 北勢 | 和歌山市 | 尼崎市 | 奈良県 | |
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最新 | 2025年4月 | 2025年4月 | 2025年4月 | 2021年12月 | 2021年12月 | 2021年12月 | 2016年12月 | 2023年12月 | 2011年12月 | 2023年12月 |
最大期 | 2020年7月 | 2020年7月 | 2020年7月 | 2020年7月 | 2020年7月 | 2020年7月 | 2011年4月 | 2020年7月 | 2011年4月 | 2020年7月 |
最新値[円/kg] | 319.7 | 303 | 275.7 | 250 | 214 | 210 | 180 | 121 | 89 | 88 |
最大値[円/kg] | 360 | 348 | 381 | 495 | 433 | 370 | 316 | 430 | 251 | 371 |
前月比[%] | +27.53 | +34.27 | +18.48 | +6.383 | -3.167 | +3.96 | +16.88 | -7.634 | -4.301 | -10.2 |
前年同月比[%] | +76.29 | +70.22 | +60.9 | +49.7 | +42.67 | +48.94 | +85.57 | +0.8333 | -34.07 | -10.2 |

じゃがいもの推移

最新の価格データ

その他のデータとグラフ
じゃがいもの価格についての推移と展望
近畿地方は、大都市圏と農業地帯が混在する地域であり、じゃがいもの市場価格には供給体制や物流距離、消費規模が大きく影響します。2025年4月時点では、大阪市(319.7円/kg)、京都市(303円/kg)が最も高く、奈良県(88円/kg)、尼崎市(89円/kg)は最低水準にあります。この価格格差は、地域別の需給バランスと物流体制の違いを如実に反映しています。
都市別の価格帯と特徴
高価格帯(300円前後〜)
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大阪市・京都市都市部では飲食店や小売需要が集中しており、仕入れコストの上昇と合わせて価格も上昇傾向にあります。特に京都市の前月比+34.27%、大阪市の+27.53%という急騰は、春先の出荷不安や需要過多を示しています。
中価格帯(200〜280円)
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神戸市・三重県・大津市・大阪府・北勢供給地に比較的近いこれらの都市では、流通コストがある程度抑えられ、価格も安定気味です。三重県(+6.383%)、大阪府(+3.96%)など上昇は穏やかで、平常運転に近い動きといえます。
低価格帯(90円以下)
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和歌山市・尼崎市・奈良県このグループでは、奈良県(88円/kg)、尼崎市(89円/kg)と極めて安価な水準です。供給過多や地元需要の弱さ、もしくは安定した地元生産による価格抑制が要因と考えられます。
最近の価格変動とその背景
2025年4月の価格動向では、近畿地方において都市部と郊外で対照的な動きが見られます。
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都市部(大阪市・京都市)での急騰外食需要の回復、観光客の戻り、物流費の上昇が複合的に影響しており、価格上昇を引き起こしています。
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郊外や農村部(奈良・和歌山・尼崎など)では逆に下落供給に対して需要が弱く、余剰在庫の発生や価格調整の動きが背景にあります。奈良県の-10.2%は顕著な例です。
物流と需要構造の地域差
じゃがいも価格には、地理的要因と物流構造が強く影響します。
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大阪市・京都市:都市部での需要集中に対し、供給が間に合わず価格上昇。
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三重・北勢・大津など:都市圏に隣接しながら地元供給もあるため、中間価格を維持。
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奈良・和歌山・尼崎:自給的傾向が強く、需要過小または競合作物の影響で価格が抑制される。
今後の価格見通しと予測
近畿のじゃがいも価格は、今後以下のように推移すると見込まれます。
都市部では高値安定〜緩やかな調整
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大阪・京都などの大都市圏では、高価格が維持されつつも、今後の春夏の収穫によって若干の調整が見込まれます。
郊外地域は供給調整次第で反転も
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奈良・和歌山などは、価格下落による生産者離れが進めば、反動的に価格が上昇に転じる可能性もあります。
課題と地域農業への提言
近畿地方の価格二極化を緩和し、安定供給を図るためには以下の対策が求められます。
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都市部への安定供給体制の強化→契約栽培・直送モデルの拡充が鍵となる。
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郊外地域の地産地消促進とブランド化→価格競争に巻き込まれない、付加価値の創出が重要。
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物流の効率化と連携強化→広域での卸売連携や共同配送体制の導入により、価格の平準化が進む可能性。
じゃがいもという日常的な野菜においても、地域間の価格差や物流問題は深刻な影響を及ぼします。近畿地方においても、都市と郊外のバランスを取る政策対応が求められています。
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