近畿地方のさつまいも市場価格動向|都市別価格と今後の予測

さつまいも

2025年6月の近畿地方では、さつまいも価格が京都市399円/kgと高値を記録し、大阪市や神戸市でも上昇傾向。一方で卸売数量は全都市で前年より減少。供給減、ブランド芋の人気、流通コスト増が価格を押し上げ、地域産の価値向上が今後の鍵となる。

さつまいもの市場価格

2025年6月
降順昇順
市場卸売価格[円/kg]前年同月比[%]
1京都市399+18.05
2大阪市386.3+16.6
3神戸市292.3+12.43

市場価格の推移

さつまいもの市場価格

近畿の卸売数量

2025年6月
降順昇順
市場卸売数量[kt]前年同月比[%]
1大阪市0.495-14.66
2京都市0.247-10.18
3神戸市0.216-6.494

卸売数量の推移

さつまいもの卸売数量

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詳細なデータとグラフ

さつまいもの卸売り市場の現状と今後

2025年6月時点の近畿地方におけるさつまいもの市場価格は、京都市が399円/kg、大阪市が386.3円/kg、神戸市が292.3円/kgとなっており、いずれも全国平均(362.3円/kg)を上回る水準です。価格上昇率も京都市+18.05%、大阪市+16.6%、神戸市+12.43%と全体的に堅調に推移しています。

1方、卸売数量では大阪市が0.495ktと最も多く、京都市(0.247kt)、神戸市(0.216kt)と続きます。ただし、前年同月比では大阪市-14.66%、京都市-10.18%、神戸市-6.494%と軒並み減少しており、価格の上昇とは対照的な動きを見せています。


価格・数量の長期的推移と地域差

価格の推移

近畿におけるさつまいもの価格は、2010年代半ば以降、緩やかな上昇傾向を描いてきました。2020年以降は健康志向やスイーツ需要の高まりにより、特に「紅はるか」などの高糖度品種を中心に価格が急上昇しています。2025年もその傾向は続き、供給量の減少が価格を1層押し上げていると考えられます。

数量の推移

数量面では、近年まで安定した取扱量を保っていたものの、ここ1年で1転して減少傾向となりました。これは以下の要因が絡んでいると見られます。


都市別市場の特徴

  • 京都市:文化的背景や食へのこだわりから、品質の高い地場産やブランド芋の需要が強く、価格が最も高い市場。しかし供給はやや限定的で数量減少に直面。

  • 大阪市:近畿圏最大の消費市場として量販店・業務用の出荷が多く、数量面では地域最大。2025年は数量が大幅に減少しつつも価格は高止まり。

  • 神戸市:価格が近畿内では最も低いが、それでも全国平均は上回る。規模が比較的小さい1方で、1定の安定した取引を維持しています。


価格高騰の主な要因

  1. 天候不順による産地の収穫量減少 特に鹿児島県、茨城県などの主産地での台風・干ばつ等による減産が全国の供給量に影響。近畿も例外ではなく、仕入れ価格の上昇が市場価格に転嫁されています。

  2. 需要の変化(高付加価値志向) 「焼き芋ブーム」やスイーツ素材としての人気が続く中で、高糖度・熟成芋などのプレミアム商品への需要が集中。これが平均価格を押し上げる構図になっています。

  3. 流通コストの上昇 物流業界の2024年問題や燃料費高騰が、遠距離輸送に依存する地域市場に影響。特に近畿圏のように自給率が低いエリアではこの影響が強く出やすいです。


さつまいも生産の背景と今後の展望

近畿地方では、気候条件や土壌の関係から大規模なさつまいも生産地が少なく、供給は主に他地域(9州や関東)からの流通に依存しています。今後もこの構造は変わらない可能性が高く、価格は供給地の動向に大きく左右されます。

1方で、京都府や和歌山県などでは、地域ブランド作物の育成が進められており、少量高品質の流通を支える動きも見られます。神戸市でも地域流通の最適化によって安定供給を目指す取り組みが期待されます。


今後の価格と供給の展望

  • 価格は高止まりまたは更なる上昇の可能性 減産傾向と需要の強さが続く限り、価格は引き続き高値圏で推移する可能性が高いです。

  • 供給量の回復には時間がかかる 天候や物流問題の改善がない限り、短期的には数量回復は困難。中長期的には輸入や保存技術への期待もあるが即効性は低いです。

  • 地域産の価値創出に注目 価格高騰を逆手に取り、地場生産品のブランド化や直販流通を強化する動きが、特に京都や兵庫で注目されています。

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