近畿地方の輸入果実市場では、大阪市が最大規模を誇り価格・数量ともに安定。京都市は価格下落により数量が急増、神戸市は価格・数量ともに減少。為替や物流コスト、都市特性が価格に影響しており、今後は消費構造の変化や国際情勢がカギを握る。
輸入果実の市場価格
市場 | 卸売価格[円/kg] | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|
1 | 大阪市 | 394.3 | -7.867 |
2 | 神戸市 | 386 | -20.85 |
3 | 京都市 | 273 | -34.22 |
市場価格の推移

近畿の卸売数量
市場 | 卸売数量[kt] | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|
1 | 大阪市 | 5.55 | +3.835 |
2 | 京都市 | 1.91 | +84.54 |
3 | 神戸市 | 0.484 | -37.22 |
卸売数量の推移

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詳細なデータとグラフ
輸入果実の卸売り市場の現状と今後
近畿地方の輸入果実市場において、大阪市は394.3円/kg(5.55kt)と価格・数量ともに地域最大の規模を誇ります。これに続くのは、神戸市の386円/kg(0.484kt)、京都市の273円/kg(1.91kt)です。数量面で京都市が大きく伸びた1方、価格の急落も見られました。
前年同月比で見ると、大阪市は価格-7.867%、数量+3.835%、神戸市は価格-20.85%、数量-37.22%と厳しい落ち込みを示しました。1方で京都市は価格-34.22%ながら数量が+84.54%と、価格を下げて流通量を確保した構造が浮かび上がります。
価格と数量の推移
2010年以降、近畿の輸入果実は安定的な成長を維持していましたが、近年は価格のボラティリティが拡大しています。特に大阪市は、輸入果実の主力市場として供給量を維持しながらも、価格変動への耐性が強く、2023〜2025年にかけては円安や原産国の生産不安の影響を受けつつも比較的安定した水準を保っています。
京都市は、2025年に入り価格を大幅に引き下げて在庫を放出した可能性があり、取扱数量は急増。これは業者による在庫整理や、低価格品の増加が背景と考えられます。神戸市の急落は、需要減少または物流面の制約による取扱減が想定されます。
都市別の市場特性
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大阪市:近畿の中心市場で、バナナ・オレンジ・キウイなどの大量消費型輸入果実を安定供給。業務用需要が高く、飲食・加工業者向けの供給網が発達しており、規模が大きいぶん市場変動に対する緩衝力が強い。
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神戸市:神戸港を擁する貿易都市ながら、果実取扱量は減少傾向。輸入拠点としての優位性はあるが、卸市場の地位は縮小傾向にあり、2025年は価格・数量ともに大きく後退。
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京都市:観光都市であり、近年は高付加価値な果実よりも量販型へのシフトが進行。2025年は大きく価格を落とす1方で数量を急拡大しており、価格競争を通じた販売拡大策が顕著に現れた。
価格変動の要因と背景
近畿における輸入果実価格の変動には、以下の要素が影響しています:
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為替の円安傾向:仕入価格の上昇圧力が持続。
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供給国の気候不順:果実の収穫量や品質が不安定に。
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物流費の増加:港湾使用料、トラック運賃、人手不足などの影響。
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消費構造の変化:高級志向と節約志向の2極化。観光業回復で京都などは業務用需要が回復傾向。
今後の展望
今後の近畿地域では、大阪市を中心に供給の安定化が進むと見られる1方、京都市のように価格調整を通じて数量を伸ばす戦略が今後も続く可能性があります。神戸市に関しては、取扱数量の低下傾向が止まるかどうかがカギとなり、地元消費とのバランスが問われます。
国際物流の安定化や円高への転換があれば、2026年以降の価格回復が期待される1方で、業者による商品構成の見直し(高単価果実から量販型果実への移行)も進む可能性があります。
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