【2025年最新】近畿地方の家賃動向と地域格差・今後の展望を解説

家賃

2025年5月の近畿の家賃相場では、西宮が最も高額ながら前年比は-1.272%と減少。大阪は再開発を背景に堅調上昇、奈良や大津も成長を見せる一方、京都や神戸では横ばい傾向。成熟都市の停滞と周辺都市の再浮上が対照的に進んでいる。

1カ月1坪当り都市別の家賃相場

2025年5月
降順昇順
都市最新値[円]前年同月比[%]
平均4766+0.308
1西宮6518-1.272
2大阪6231+1.021
3京都5953-0.0504
4神戸5544-0.0541
5奈良5218+1.597
65202+0.463
7東大阪4469-0.112
84289-0.809
9大津4269+0.803
10伊丹4178+0.457
11枚方4155+1.095
12姫路3769+0.266
13和歌山3502+1.097
14松阪3432+0.586
1カ月1坪当りの家賃

詳細なデータとグラフ

近畿の家賃現状と今後

近畿地方は大阪・京都・神戸を中心に多様な都市が集まり、商業・観光・住宅地としての個性が交差しています。2025年5月時点での近畿の平均家賃は1坪あたり4,766円。これは全国平均よりやや低めであり、地域による家賃格差が大きいのが特徴です。本稿では、主要10都市の相場水準と、これまでの推移から見える地域性や傾向を丁寧に分析します。


西宮市 ― 高級住宅地の象徴から調整局面へ

西宮市(6,518円)は関西圏で最も高い家賃水準を維持してきた高級住宅地ですが、前年比-1.272%と明確な下落傾向にあります。阪神間の中でも住環境が良く、教育・文化施設も充実している1方、新築供給の鈍化や若年層の流出が影響していると考えられます。バブル期からの高水準が長く続いたため、今は「地価・家賃の調整局面」にあるといえるでしょう。


大阪市 ― 都市再開発に支えられた堅調な上昇

大阪市(6,231円)は近畿で第2位の家賃水準。前年比+1.021%と安定した成長を続けています。梅田・難波エリアの再開発、オフィス需要の回復、単身世帯の集中などが家賃を押し上げており、長期的に見ても底堅い推移が続いています。また、大阪万博やIR誘致など将来的な都市再開発が控えており、家賃の先高観も意識されています。


京都市 ― 歴史都市の観光偏重と賃貸需要の鈍化

京都市(5,953円)は大阪と並ぶ都市圏の中核でありながら、前年比-0.0504%とわずかに減少しています。観光客の回復は進んでいるものの、賃貸住宅市場は転入人口の鈍化や、観光施設優先の都市政策の影響を受け、定住型住宅の魅力が薄れつつあります。大学や文化施設が多いことから学生・単身者の需要は1定あるものの、家賃上昇の勢いは乏しくなっています。


神戸市 ― 成熟都市の横ばい傾向

神戸市(5,544円)は都市ブランドの高さを維持しつつも、前年比-0.0541%と微減。再開発が限定的で、新たな住宅需要の創出には至っていない状況が見受けられます。かつての高級住宅地としての地位は変わらないものの、ファミリー層の郊外流出や市街地の高齢化が影を落としています。既存住宅の供給バランスが崩れていないため、家賃は比較的安定しています。


奈良市 ― 隠れた堅調成長エリア

奈良市(5,218円)は近畿の中では知名度こそ大阪・京都に劣るものの、前年比+1.597%と上昇幅が大きい都市です。京阪奈エリアとしての交通整備の進展や、住宅価格・家賃の割安感が都市部からの転入需要を誘発しています。静かな居住環境を求めるファミリー層にとって、奈良は「隠れた選択肢」として再注目されています。


堺市・東大阪市 ― 大阪外縁部の分岐点

堺市(5,202円)は大阪市に隣接する都市として、+0.463%と堅調な推移。ベッドタウンとして安定した需要がありますが、爆発的な上昇は見られません。1方で東大阪市(4,469円)-0.112%とわずかに下落。高齢化・老朽住宅の多さ、住宅地の再開発の遅れなどが影響し、住宅地としての魅力が1部低下しているとみられます。


津市・大津市・伊丹市 ― 地方中核都市の家賃水準

津市(4,289円)大津市(4,269円)伊丹市(4,178円)は都市圏からやや距離がある地方中核都市です。津市は-0.809%と比較的大きな下落、大津市は+0.803%、伊丹市は+0.457%と上昇しており、地方都市間でも差が見られます。大津市の上昇は、京都からの通勤圏としての再評価が1因。伊丹は大阪空港の近さから1定の利便性を持ち、安定した賃貸需要が背景にあります。


まとめ ― 都市の成熟度と成長力の対比

2025年時点の近畿の家賃相場からは、「成熟都市の停滞」と「郊外・地方都市の再浮上」が明確に浮かび上がります。特に西宮や神戸、京都など伝統的な住宅地では家賃の頭打ち傾向が見られる1方、大阪や奈良、大津といった都市では回復・上昇が目立ちます。今後は人口移動の方向性、再開発の進捗、インフラ整備の有無が都市の家賃動向に大きな影響を及ぼすと考えられます。

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