2025年3月時点で近畿のバス運賃平均は303.6円。津や奈良など中小都市で高額傾向があり、大阪・京都・神戸では比較的低水準を維持。値上がりの要因には燃料費や人件費の上昇、運転士不足、地方路線の維持費が影響している。今後はMaaSやオンデマンド交通の導入が鍵となる。
自動車・交通の都市別小売価格
近畿価格の高い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 津 | 奈良 | 和歌山 | 松阪 | 堺 | 東大阪 | 姫路 | 枚方 | 大阪 | 大津 |
最新値[円] | 303.6 | 450 | 400 | 390 | 380 | 370 | 290 | 290 | 250 | 250 | 250 |
平均比[%] | 100 | 148.2 | 131.8 | 128.5 | 125.2 | 121.9 | 95.53 | 95.53 | 82.35 | 82.35 | 82.35 |
前年月同比[%] | 3.406 | 7.143 | 0 | 0 | 2.703 | 5.714 | 0 | 7.407 | 8.696 | 4.167 | 0 |
近畿価格の低い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 京都 | 伊丹 | 神戸 | 西宮 | 大津 | 大阪 | 枚方 | 姫路 | 東大阪 | 堺 |
最新値[円] | 303.6 | 230 | 230 | 230 | 240 | 250 | 250 | 250 | 290 | 290 | 370 |
平均比[%] | 100 | 75.76 | 75.76 | 75.76 | 79.06 | 82.35 | 82.35 | 82.35 | 95.53 | 95.53 | 121.9 |
前年月同比[%] | 3.406 | 0 | 0 | 9.524 | 4.348 | 0 | 4.167 | 8.696 | 7.407 | 0 | 5.714 |
これまでのバス代の推移


詳細なデータとグラフ
近畿の現状と今後
2025年3月時点での近畿地方の平均運賃は303.6円で、全国平均よりやや安い水準にあります。これは、都市部に交通インフラが集積しており、鉄道や地下鉄の普及によってバスの補完的役割が強く、競争原理が働きやすいためです。
過去10年間の推移を見ても、近畿では緩やかな上昇傾向を維持してきましたが、2024年以降の燃料費や人件費高騰を背景に、一部の都市では急激な値上げが観測されています。
高額地域の特徴と背景
近畿地方で運賃が高い都市には以下が挙げられます:
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津:450円(前年比+7.143%)
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奈良:400円
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和歌山:390円
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松阪:380円(+2.703%)
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堺:370円(+5.714%)
これらの都市は、都市規模が中規模ながらもバス依存度が高く、鉄道などの代替交通手段が限定されている点が共通しています。特に津・奈良・和歌山などは、人口に対しての路線網の維持が難しく、採算性確保のために単価が上昇する傾向にあります。
堺も大阪府内では高めで、急速な都市化と郊外開発に伴い、路線の維持費用が増していることが背景にあります。
低額地域とその理由
近畿で運賃が安い都市には次のような例があります:
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京都:230円
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伊丹:230円
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神戸:230円(+9.524%)
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西宮:240円(+4.348%)
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大津・大阪・枚方:各250円
これらの都市は、鉄道・地下鉄など多様な交通手段が整っており、公共交通機関の競争が激しいため、バス運賃も抑制されています。
また、大阪市・神戸市・京都市などでは、市や第三セクターが関与している路線も多く、補助金や利用者数の多さにより運賃の安定が図られています。
ただし、神戸では近年の値上げ(+9.524%)が目立ち、自治体による補助が減少しつつある兆候も見られます。
運賃上昇の背景と共通課題
近畿圏でも、運賃上昇の背景には全国共通の以下の課題が影響しています:
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燃料費の上昇(軽油価格の高騰)
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人件費増(運転士不足と待遇改善要求)
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地方部での利用者減と過疎化
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車両や施設の老朽化
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脱炭素化対応によるコスト増
加えて、都市によってはバス利用者の高齢化により、収益性の低い高齢者割引の増加が採算に影響しているケースもあります。
都市別の動向と今後の展望
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大阪・京都・神戸など大都市圏:地下鉄・私鉄との競争が激しく、値上げには慎重。低運賃を維持しやすい。
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奈良・和歌山・津など中小都市:バス依存度が高く、地方路線の維持が運賃上昇に直結。
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堺・姫路・枚方:人口増加や郊外開発が進む一方で、交通需要の多様化により運賃が上昇中。
今後、近畿圏のバス事業は「MaaSとの統合」「コミュニティバスへの移行」「オンデマンド型交通」といった柔軟な運行形態へのシフトが求められるでしょう。
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