近畿地方のトマト価格動向|都市別の特徴と急落の背景分析

トマト



近畿地方のトマト価格は、三重県を除き大幅な下落傾向にあり、特に和歌山市・姫路市では-20%以上の急落が見られます。供給集中や需給バランスの崩れが原因で、生産者には厳しい環境です。今後は高付加価値化や収穫時期の分散などによる価格安定が求められます。

トマトの卸売り市場価格

トマトの高い順

三重県 北勢 和歌山市 大阪府 姫路市 大阪市 大津市 神戸市 京都市 奈良県
最新 2021年12月 2016年12月 2023年12月 2021年12月 2023年12月 2025年4月 2021年12月 2025年4月 2025年4月 2023年12月
最大期 2016年10月 2010年9月 2023年10月 2016年11月 2023年10月 2023年10月 2012年3月 2023年10月 2023年10月 2023年10月
最新値[円/kg] 460 451 426 423 390 384 383 371.7 368.7 345
最大値[円/kg] 715 568 1007 621 803 835 576 838 829 775
前月比[%] +10.31 -8.519 -22.26 -14.37 -24.71 -7.32 -12.16 -4.619 -9.491 -18.63
前年同月比[%] +144.7 +105 +21.37 +33.44 -1.266 -10.77 +32.99 -10.01 -8.291 +0.2907

 

トマトの推移

トマト価格の推移

最新の価格データ

最近のトマト価格

 

その他のデータとグラフ

 

トマトの価格についての推移と展望

近畿地方は温暖な気候と大都市圏を抱える消費地が共存する地域であり、地産地消の需要が根強いエリアです。大阪・京都・神戸といった大都市を中心に、安定した市場が形成されており、周辺の農業地域(奈良、三重、和歌山など)から新鮮なトマトが供給される構造になっています。


2025年4月時点の都市別トマト価格の動向

高価格帯(450円/kg以上)

  • 三重県:460円/kg(前月比 +10.31%)

  • 北勢:451円/kg(前月比 -8.52%)

三重県は今月唯一の上昇を記録しており、需要の安定に加えて品質の良さが反映された結果と見られます。北勢地域はその一部ながら反対に下落しており、出荷タイミングや市場供給量の差が出ています。

中価格帯(400〜450円/kg)

  • 和歌山市:426円/kg(前月比 -22.26%)

  • 大阪府:423円/kg(前月比 -14.37%)

この価格帯の地域は流通網が発達しており、家庭用・業務用ともに需要がある地域ですが、今月は供給過剰による調整局面となりました。和歌山市の大幅下落が特に目立ちます。

低価格帯(〜400円/kg)

  • 姫路市:390円/kg(前月比 -24.71%)

  • 大阪市:384円/kg(前月比 -7.32%)

  • 大津市:383円/kg(前月比 -12.16%)

  • 神戸市:371.7円/kg(前月比 -4.62%)

  • 京都市:368.7円/kg(前月比 -9.49%)

  • 奈良県:345円/kg(前月比 -18.63%)

この価格帯の地域では消費地であるにもかかわらず、トマト価格が低めに抑えられています。これは大規模な市場の競争によって価格が下落しやすくなっているためであり、特に姫路市や奈良県のような準都市圏では需要の変動に価格が敏感です。


価格変動の背景と地域別特色

  1. 消費地近接による供給過多近畿は人口が密集している反面、都市周辺に農地が広がっているため、地場野菜が流通しやすく、タイミング次第では供給過剰に陥り価格が急落する傾向があります。

  2. 天候不順と収穫タイミングの集中春は一気に気温が上昇することで露地栽培の出荷が重なりやすく、今回の4月価格下落もその影響を受けていると考えられます。特に和歌山市・姫路市では-20%以上の下落となっており、急激な価格調整が起こったと見られます。

  3. 大都市市場の価格抑制力大阪市や神戸市では、豊富な流通ルートと競合産地の多さから、価格が自然と安く抑えられる傾向があります。これは市場における買い手側の交渉力が強いことを示しており、安定価格ではあるものの、生産者側には厳しい環境です。


価格下落の課題と生産者の対応

多くの都市で二桁パーセントの下落が見られる今月の傾向は、以下のような構造的課題を映し出しています。

  • 採算性の悪化肥料・燃料価格の高騰が続く中での価格下落は、生産者の利益を圧迫し、今後の作付け意欲に影響を与える可能性があります。

  • 需給ミスマッチの顕在化特定の時期に生産が集中することで、消費が追いつかず、市場価格が急落しやすい構造です。

  • 高品質品との差別化の不十分さブランド化された高付加価値トマトの普及が近畿ではまだ十分ではなく、平均価格が押し下げられやすい状況があります。


今後の価格動向と改善の展望

今後の価格は、5月以降に夏場の需要期へと向かうことで一定の回復が期待されます。特に飲食業や観光地での消費が戻る見込みがある大阪・京都では、価格反発の可能性もあります。

一方で、長期的な安定には以下の取り組みが不可欠です。

  • 高付加価値化・ブランド化甘味や食感、減農薬などの価値訴求型トマトへの転換が求められます。

  • 収穫時期の分散・契約栽培の拡大需給バランスを平準化するための計画的な出荷体制が必要です。

  • 産地間連携とマーケティング強化奈良・三重などの生産地が関西全体の消費動向を見据えた調整に取り組むことが、安定供給と価格維持の鍵となります。

 

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