2025年6月の近畿のイチゴ価格は大阪市が1,534円/kgと全国平均並みで数量も多く安定。京都市はやや安く、神戸市は価格・数量ともに低調。大阪は需要と供給がバランス良く成長しており、京都は高品質志向、神戸は構造的課題が浮き彫りになっている。
イチゴの市場価格
市場 | 卸売価格[円/kg] | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|
1 | 大阪市 | 1534 | +5.162 |
2 | 京都市 | 1353 | +3.093 |
3 | 神戸市 | 1019 | -12.08 |
市場価格の推移

近畿の卸売数量
市場 | 卸売数量[kt] | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|
1 | 大阪市 | 0.106 | +23.26 |
2 | 京都市 | 0.028 | -3.448 |
3 | 神戸市 | 0.015 |
卸売数量の推移

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詳細なデータとグラフ
イチゴの卸売り市場の現状と今後
2025年6月の近畿地方の主要市場におけるイチゴの価格は、大阪市が1,534円/kg、京都市が1,353円/kg、神戸市が1,019円/kgとなっています。全国平均(1,533円/kg)と比べると大阪市が同水準、京都市がやや安め、神戸市は大きく下回っています。
前年同月と比べた価格の変動を見ると、大阪市が+5.162%、京都市が+3.093%、神戸市が-12.08%と、大阪と京都では上昇傾向にある1方で、神戸は急落しています。
卸売数量では、大阪市が0.106ktと圧倒的に多く、京都市が0.028kt、神戸市が0.015ktと続いており、数量面でも大阪市場の規模の大きさが際立っています。
価格と数量の推移の特徴
2008年から2025年にかけて、近畿地方のイチゴ市場には以下のような傾向が見られます:
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大阪市では安定的な取扱数量と、緩やかな価格上昇が続いており、2025年には取扱数量が前年同月比+23.26%と大きく増加。需要の堅調さと供給の確保がうまくかみ合っています。
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京都市では市場規模が中程度で、数量はやや減少(-3.448%)しているものの、価格は前年比で上昇しており、高品質な品種へのシフトや消費地としての地位の反映が見られます。
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神戸市では価格が大幅に下落しており、消費の落ち込みや中等級以下のイチゴの流通量増加が要因と考えられます。
都市別の流通構造と市場の特性
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大阪市は近畿全体の青果物流通の中心地で、全国からのイチゴが集まる大規模市場。量が豊富であるため、需要増にも柔軟に対応でき、価格も安定的です。
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京都市は観光都市として高品質な農産物の需要が強く、価格帯はやや高め。ただし数量面では小規模で、季節や気候の影響を受けやすい傾向があります。
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神戸市は卸売市場の規模が比較的小さく、特に2025年は価格の下落とともに数量も横ばいで、構造的な流通力の弱さが表れています。
価格上昇・下落の背景要因
大阪市と京都市で価格が上昇した要因は以下の通り:
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気象条件の影響回避:施設栽培の増加により安定的な供給が可能となった。
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ブランド品種の導入:奈良の「あすかルビー」や和歌山の「まりひめ」など、高単価品種が都市部市場に多く流入。
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輸送インフラの整備:近隣府県からの短距離輸送がスムーズで、鮮度保持による高価格維持が可能。
1方、神戸市での価格下落は:
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中低グレード品の流通増や、消費者側の低価格志向の影響が背景にあると推察されます。
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卸売業者の再編や取扱量の減少による価格決定力の低下も見逃せません。
近畿地方のイチゴ生産動向と今後の展望
近畿地方では、奈良・和歌山・滋賀といった府県でイチゴの生産が盛んです。特に以下の特徴が見られます:
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高品質ブランドの定着:都市圏需要を意識した糖度の高い品種が育成・流通。
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観光農園の拡大:いちご狩り需要による観光農業との連携が進展。
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高齢化による生産規模縮小:1部地域では出荷量が減少傾向にあり、市場への影響も懸念されています。
今後の課題は、生産の維持と価格競争のバランスです。大阪市場のような広域供給先がある地域では効率的な販売が可能ですが、神戸のように流通網が限られる地域では構造的な見直しが必要とされます。
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