全国都市別輸入果実卸売価格ランキングと今後の価格動向分析

果物価格(都市別)

2025年5月時点の日本の輸入果実の卸売価格は都市間で大きな差があり、神戸市が最も高く472円/kg、最安は市川市の132円/kgとなっている。近年の価格変動は都市ごとに異なり、需給の偏りや流通の違いが影響している。本稿では輸入果実価格の推移と問題点、都市別の特色、今後の展望を章立てで解説する。

輸入果実の卸売り市場価格

輸入果実の高い順

神戸市 仙台市 高松市 東京都 広島市 大阪市 宇部市 名古屋市 北九州市 横浜市
最新 2025年5月 2025年5月 2025年5月 2025年5月 2025年5月 2025年5月 2023年12月 2025年5月 2025年5月 2025年5月
最大期 2024年6月 2025年5月 2024年7月 2024年6月 2025年5月 2024年6月 2022年5月 2024年8月 2024年6月 2024年5月
最新値[円/kg] 472 428 402.3 401.7 400.3 400.3 372 367.7 360 355.7
最大値[円/kg] 487.7 428 404.7 422.7 400.3 428 492 408 367.3 391.3
前月比[%] +12.11 +8.906 +1.598 +4.241 +12.56 +8.588 -5.823 +5.35 +14.17 +8.215
前年同月比[%] -0.4912 +1.663 +3.427 -0.5767 +9.981 +0.3333 -6.533 -1.779 +1.6 -9.113

輸入果実の安い順

金沢市 山形市 上尾市 市川市 熊本市 いわき市 久留米市 さいたま市 和歌山市 宇都宮市
最新 2025年5月 2021年12月 2016年12月 2011年12月 2021年12月 2023年12月 2023年12月 2021年12月 2023年12月 2023年12月
最大期 2025年5月 2020年4月 2016年5月 2010年6月 2016年6月 2020年9月 2011年2月 2021年6月 2023年7月 2022年6月
最新値[円/kg] 341.7 174 183 132 158 271 285 188 304 304
最大値[円/kg] 341.7 272 286 148 269 365 681 290 341 388
前月比[%] +11.41 +12.27 +1.538 -5.952 +0.3704 -2.062 -4.569 -6.748 -5.882
前年同月比[%] +11.41 +45 -14.49 +15.79 +20.61 +16.31 +0.3521 +13.25 +13.01 -3.797

輸入果実の推移

輸入果実の市場価格
輸入果実の市場価格

その他のデータとグラフ

輸入果実の価格についての推移と展望

日本における輸入果実の価格は、為替相場、季節性、天候異常、輸送コストの変動などに大きく左右されてきた。特に円安局面では輸入コストが増し、果実価格の上昇が顕著となる。また、気候変動による産地の不作や物流網の混乱が長期的な価格上昇圧力を生んできた。

過去15年間(2010年~2025年)の傾向を見ると、安定していた価格帯がコロナ禍以降、上昇傾向に転じた。また、果実の種類や出荷先によって価格が都市別に分散する傾向も強まっている。


2025年5月の都市別価格ランキングとその特色

高価格都市の特色(上位)

都市 価格(円/kg) 前月比 前年同月比
神戸市 472 +12.11% -0.491%
仙台市 428 +8.906% +1.663%
高松市 402.3 +1.598% +3.427%
東京都 401.7 +4.241% -0.577%
広島市 400.3 +12.56% +9.981%

神戸市や広島市は港湾都市として物流・通関コストが抑制されるはずだが、それでも高価格なのは需要層の厚さと高級品志向が影響していると見られる。広島市の前年同月比+9.981%は特に顕著で、輸入品のシェア増や円安の影響が反映されている可能性が高い。


中価格帯都市の特色(中位)

都市 価格(円/kg)
宇部市 372
名古屋市 367.7
北9州市 360
横浜市 355.7

宇部市や北9州市など地方中核都市は、輸送網や集荷量の安定性により価格が中庸に保たれている。ただし宇部市は前月比-5.823%、前年比-6.533%と大きく下落しており、1時的な需要減や在庫処分の影響が疑われる。


低価格都市の特色(下位)

都市 価格(円/kg)
金沢市 341.7
和歌山市 304
宇都宮市 304
いわき市 271
久留米市 285
熊本市 158
上尾市 183
山形市 174
さいたま市 188
市川市 132

特に注目されるのが市川市(132円/kg)で、国内全体の中でも異常に低い。これは流通量の過剰、1部品目に偏ったデータ、あるいは在庫処分価格の可能性がある。上尾市や山形市も比較的安価で、地域特有の消費傾向や供給過多が価格を抑えていると考えられる。


最近の問題と動向

近年、以下のような構造的問題が価格に影響している:

  • 円安の進行:2022年以降の為替変動は輸入コストを圧迫。

  • 港湾混雑・物流コスト上昇:特に輸送効率の悪い内陸都市での影響が強い。

  • 需要の2極化:高級フルーツを求める層と、価格重視層の乖離が進む。

  • 地場野菜・果実との競合:価格調整要因となり、輸入果実の選択が減少傾向に。


今後の推移の予想と展望

短期的には、以下のような傾向が予想される:

  • 円安が続けば、価格はじりじりと上昇

  • 都市間価格差はさらに拡大。高価格帯都市と低価格帯都市の2極化進行。

  • 卸売市場のデジタル化により、1部地域では価格調整が円滑化する可能性。

中長期的には、国内需要の減少・人口減・脱炭素物流などの影響で、価格の変動がより不安定化するリスクもある。地域の集荷拠点や消費構造の変化が、市場価格に直結するフェーズへと突入していく。


まとめと提言

  • 神戸・仙台など大都市は高価格で安定する1方、地方中核都市や郊外では価格差が拡大。

  • 市場価格の地域差は、流通構造と地域消費者層の違いが大きな要因。

  • 今後は流通網の最適化や地域戦略の見直しが不可欠である。

今後も、輸入果実の動向を読み解く鍵は「地域性・為替・需要構造」の3要素にあり、価格の急変に対する柔軟な対応と需給管理が重要となるだろう。

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