整備費の月間支出は2025年4月時点で全国平均6.029万円。北陸や大都市で支出が高く、EV普及や自然災害の影響、整備士不足などが支出動向に影響。今後は整備内容の変化やユーザー層の変化により、支出の高度化と地域差の拡大が予想される。
家計調査結果
整備費の相場
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 北陸 | 大都市 | 近畿 | 関東 | 全国 | 小都市A | 中都市 | 北海道 | 東海 | 中国 |
最新値[万円] | 5.899 | 6.886 | 6.877 | 6.834 | 6.359 | 6.029 | 6.004 | 5.959 | 5.608 | 5.491 | 5.445 |
前年同月比[%] | +4.921 | +54.27 | +15.52 | -8.456 | +17.29 | +6.893 | +9.506 | +4.995 | +6.345 | +3.641 | +11.83 |
整備費支出の世帯割合
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 東北 | 北陸 | 小都市A | 小都市B | 中都市 | 東海 | 北海道 | 九州・沖縄 | 全国 | 関東 |
最新値[%] | 6.494 | 8.99 | 8.87 | 7.12 | 7.06 | 6.89 | 6.59 | 6.58 | 6.47 | 6.14 | 5.64 |
前年同月比[%] | +1.304 | -0.222 | +9.506 | +8.702 | -10.18 | +19.62 | -3.372 | -9.116 | +19.81 | +6.597 | +14.17 |
整備費の推移


詳細なデータとグラフ
整備費の自動車関連現状と今後
整備費とは、家庭における自家用車やバイクの維持・管理にかかる費用のうち、主に点検整備、車検、修理、部品交換などの専門的なサービスに支払われる金額を指します。これは消耗品の購入(例えばエンジンオイルやワイパーのような車関係用品)とは異なり、整備士などの専門職による労働が介在する分、高額になりやすい特徴があります。
整備費支出の全国的な水準と地域差
2025年4月時点での全国平均整備費支出は6.029万円と、決して小さくない支出項目です。最も高い地域は北陸(6.886万円)、大都市(6.877万円)、近畿(6.834万円)であり、いずれも6万円後半を記録しています。これらの地域では車の保有率の高さに加えて、車検や定期整備の重要性が根付いていることが背景にあると考えられます。
対照的に、中国(5.445万円)や東海(5.491万円)といった地域では、支出額が全国平均を下回っており、価格競争の激しい整備市場や、セルフメンテナンス傾向が影響している可能性があります。
過去から現在までの推移と要因分析
整備費は2010年から2025年までの15年間にわたり安定した支出項目として位置づけられてきましたが、ここ1年の変化には地域差が見られます。2025年4月の前年同月比を見ると、
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全国平均は+6.893%の増加
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北陸は+54.27%という急増
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1方で近畿は-8.456%と大幅減少
このような変動の背景には以下のような要因が考えられます:
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燃費向上・EV車の普及による整備内容の変化→ 電動車はオイル交換やエンジン整備が不要で、支出額が下がる傾向がある。
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自然災害や積雪などの影響→ 北陸などでは悪天候による部品交換や下回り整備が増え、1時的に支出が急増した可能性。
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価格改定・人件費上昇の影響→ 整備工賃の値上がり、ディーラー整備費の高騰などが、都市部や先進地域で影響。
整備費を支出した世帯の割合と行動傾向
整備費を支出した世帯の割合(=整備実施世帯率)は全国で6.14%と、車関連支出の中では比較的高い水準です。
しかし、大都市(4.26%)や近畿(5.11%)では割合が低く、逆に中都市(6.89%)、東海(6.59%)、北海道(6.58%)などでは高くなっています。これは次のような傾向を示唆しています。
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都市部:車を持たない家庭が多く、整備費支出も抑えられがち
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地方:日常的に車を使うため、整備が「生活インフラ」として欠かせない
前年同月比では、近畿(+17.74%)、中都市(+19.62%)、9州・沖縄(+19.81%)などで急増しており、自家用車の安全維持への意識が高まっている兆しとも言えます。
整備費支出をめぐる課題とリスク
整備費支出の安定成長の裏には、いくつかの課題が潜んでいます:
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整備業界の人手不足→ 若年層の整備士離れが深刻化しており、将来的に整備費がさらに高騰する可能性があります。
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整備の質の格差→ ディーラー系と町工場系の価格や品質の差が大きく、消費者の判断が難しくなってきている。
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定期整備を怠る層の増加→ 高齢者世帯や低所得世帯では「最低限しか整備しない」傾向があり、安全性の懸念が残ります。
今後の整備費支出の展望
今後の整備費支出については、以下のようなシナリオが想定されます。
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EV・ハイブリッド車の普及により、部品点数の減少と定期整備の簡素化が進み、整備費総額はやや縮小する可能性がある。
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1方で電装系整備やソフトウェア更新など、新たな整備項目の登場によって、高度化・専門化により単価が上がる可能性もある。
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高齢者の免許返納が進むことで、整備需要が縮小する1方、残るユーザーは安全意識が高く、支出水準は1定の高止まりが続くと予想されます。
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