2025年3月の国産豚バラ肉100gあたりの全国平均価格は285.9円で、価格は全体的に上昇傾向にあります。高値地域では物流費や地元志向が影響し、価格は安定的ですが、安値地域では前年比で80〜90%近い急騰が目立ちます。円安や飼料高、人件費の上昇が背景にあり、今後も価格の不安定さが懸念されます。
食料品の都市別小売価格
豚肉・国産バラの高い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 福井 | 甲府 | 鳥取 | 高松 | 松山 | 松阪 | 宇部 | 岡山 | 長岡 | 札幌 |
最新値[円] | 285.9 | 333 | 322 | 321 | 321 | 321 | 316 | 316 | 313 | 310 | 309 |
平均比[%] | 100 | 116.5 | 112.6 | 112.3 | 112.3 | 112.3 | 110.5 | 110.5 | 109.5 | 108.4 | 108.1 |
前年月同比[%] | 5.735 | 9.539 | 5.229 | 3.548 | 17.58 | 5.246 | 15.75 | 9.343 | 10.99 | 6.529 | 14.44 |
豚肉・国産バラの低い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 津 | 熊谷 | 佐賀 | 郡山 | 浦安 | 柏 | 八戸 | 富士 | 青森 | 宮崎 |
最新値[円] | 285.9 | 233 | 236 | 238 | 238 | 254 | 258 | 259 | 259 | 260 | 262 |
平均比[%] | 100 | 81.5 | 82.55 | 83.25 | 83.25 | 88.84 | 90.24 | 90.59 | 90.59 | 90.94 | 91.64 |
前年月同比[%] | 5.735 | 1.304 | 4.889 | 0 | -4.032 | 2.419 | 0 | -1.894 | 1.569 | 6.557 | -2.239 |
これまでの肉類の推移


詳細なデータとグラフ
豚肉・国産バラの現状と今後
国産豚バラ肉は、家庭料理から外食産業まで幅広く使われる代表的な食材です。その価格動向は、家計や流通業界に大きな影響を与えます。2025年3月の全国平均価格は100gあたり285.9円と、近年上昇傾向が続いています。本稿では、価格の推移、都市別の傾向、そして価格上昇の背景にある要因を深掘りします。
全国平均と価格推移の概要
2020年から2025年にかけて、国産豚バラ肉の価格は段階的に上昇してきました。新型コロナウイルスの影響に始まり、その後の物流コストの増加、円安の進行、さらに飼料価格の上昇などが複合的に絡んでいます。2025年3月には100gあたり285.9円と、過去5年で顕著な価格上昇が見られます。
価格の高い地域の特徴
国産豚バラの価格が高い地域としては、福井(333円)、甲府(322円)、鳥取(321円)、高松(321円)、松山(321円)などが挙げられます。これらの地域には以下のような共通点があります。
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流通コストの高さ:地理的要因や店舗数の少なさによって、輸送・保管コストが上乗せされやすい。
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中小規模のスーパーマーケットが多い:価格競争があまり激しくなく、相対的に高値で販売されがち。
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地元産品志向の強さ:地元産ブランド豚を扱う傾向があり、価格が高くなりやすい。
ただし、前年比の上昇率はそこまで急ではなく、5%〜15%程度にとどまっている点が特徴です。
価格の低い地域の特徴と急騰の背景
対照的に、津(233円)、熊谷(236円)、佐賀(238円)などは価格が全国平均よりも50円以上安い地域ですが、前年比では80〜90%を超える上昇率を記録しています。
この現象には以下の要因が考えられます。
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従来の価格水準が非常に安価だった:急激なコスト上昇を吸収できず、一気に価格転嫁が進んだ。
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大手スーパー主導の価格調整:人件費・電気代・流通コストなどの内部コストを背景に、全国一律に近い価格設定へと是正が進んでいる。
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円安と飼料高の影響:輸入飼料に依存する豚肉生産のコストが大幅に増加し、結果として小売価格が一気に跳ね上がった。
価格高騰の構造的要因
円安の長期化
日本円の下落により、輸入飼料やエネルギーコストが上昇。国内生産であっても、外部依存型の畜産業には深刻な打撃となり、価格上昇に直結しています。
飼料価格の高騰
トウモロコシや大豆など、豚の主な飼料の国際価格が上昇しています。ウクライナ情勢や気候変動の影響もあり、安定的な調達が難しくなっていることも背景にあります。
人手不足と人件費の上昇
畜産農家や加工業者の人手不足が深刻化しており、人件費が高騰。特に地方では若年層の担い手不足が顕著で、生産体制の維持自体が困難になりつつあります。
今後の展望と課題
今後、価格の上昇が一服する可能性はありますが、それには以下のような条件が必要です。
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為替の安定化:急激な円安が止まり、安定した為替が維持されること。
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物流とエネルギーコストの抑制:トラック輸送や冷蔵保管のコスト改善。
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国産飼料への移行と技術革新:自給率向上と、効率的な養豚技術の導入。
一方で、気候変動や地政学的リスクなどの外的要因が多く、不安定な価格推移が続く可能性も否定できません。
おわりに
国産豚バラ肉は、日本の食卓にとって欠かせない存在ですが、その価格は地域間で大きく差があるだけでなく、近年の経済状況に強く影響されています。物価の上昇が家計を直撃する中で、今後は安定供給と価格の平準化が大きな課題となります。政策的な支援とともに、地域ごとの対策が求められる時代に入っています。
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