豚カツ定食1人前の平均価格は2025年4月時点で1234円と上昇傾向にあり、地域ごとの差も大きい。物価上昇や人件費の高騰が背景にある一方、安さを維持する地域も存在する。「庶民の定食」が贅沢化する中で、今後は価格の二極化や中食への移行が進む可能性も。豚カツ定食は経済状況や政策の影響を如実に映す生活指標の一つとなっている。
小売物価統計
豚カツ定食小売りの高い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 熊本 | 新潟 | 長野 | 高松 | 松山 | 福島 | 東京都区部 | 金沢 | 京都 | 山口 |
最新値[円] | 1234 | 1646 | 1616 | 1577 | 1492 | 1489 | 1486 | 1461 | 1443 | 1382 | 1366 |
前年同月比[%] | +3.366 | -0.604 | +1.444 | +11.61 | +18.6 | -5.938 | +3.482 | +8.142 | +1.121 | +5.095 | +12.61 |
豚カツ定食小売りの安い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 鳥取 | 前橋 | 大津 | 松江 | 奈良 | 水戸 | 神戸 | 札幌 | さいたま | 鹿児島 |
最新値[円] | 1234 | 967 | 980 | 982 | 983 | 993 | 1027 | 1033 | 1035 | 1058 | 1059 |
前年同月比[%] | +3.366 | +9.513 | +2.505 | +3.474 | +6.774 | +0.983 | +7.829 | +6.591 | +6.332 | +4.335 |
豚カツ定食の推移


詳細なデータとグラフ
豚カツ定食の現状と今後
豚カツ定食は、日本の外食文化における中核的な定食メニューの1つであり、揚げ物・ご飯・味噌汁・漬物といったバランスの取れた構成で、庶民的ながら「贅沢感」も感じさせる定番食です。その価格の変動は、原材料価格、外食産業のコスト構造、地域経済、さらには消費者の購買力など、幅広い日本経済の要素を映す指標として機能しています。
2016年から2025年にかけての価格動向の概観
2016年から2025年4月までのデータによると、豚カツ定食1人前の全国平均価格は徐々に上昇し、直近では1234円となっています。物価上昇が叫ばれる中で、外食の象徴的存在である豚カツ定食も例外ではありません。年間で+3.366%の上昇は、全体的なインフレ圧力が続いていることを示しています。
価格の高い地域は熊本(1646円)、新潟(1616円)、長野(1577円)など、低い地域は鳥取(967円)、前橋(980円)、大津(982円)などです。この価格差は、地域の物価水準だけでなく、店舗形態(チェーン店か個人店か)や使用している豚肉の品質、観光需要などが反映された結果です。
上昇率に見る地域差と背景
価格の上昇率に目を向けると、高松(+18.6%)、山口(+12.61%)、長野(+11.61%)といった地域で顕著な上昇が確認できます。これらの地域では、原材料費や人件費の高騰が価格に転嫁された可能性が高く、また外食産業の縮小に伴い、単価を上げざるを得ない状況も背景にあると推察されます。
1方で、熊本(-0.604%)や松山(-5.938%)のように前年よりも価格が下がった地域も存在します。こうした値下がりは、競合の激化や地域限定キャンペーン、あるいは観光需要減退による価格調整といった戦略的な要因が考えられます。
問題点――庶民食の価格上昇と所得のギャップ
豚カツ定食の平均価格が1234円という水準まで達したことで、もはや「安くてボリュームある庶民のごちそう」という位置づけに陰りが見えています。特に非正規雇用者や低所得層にとっては、ランチで1000円以上を出すことが「贅沢」と捉えられることも少なくありません。
このような中で、「定食離れ」が進む可能性があり、消費者がより安価なコンビニ弁当や冷凍食品へとシフトする構図も見えてきます。また、飲食店側でも原材料費や電気代、最低賃金の上昇によって値上げを避けられず、経営体力のない店舗の閉店も増えつつあります。
今後の豚カツ定食価格の展望
今後の豚カツ定食の価格については、以下の3つのシナリオが想定されます:
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緩やかな上昇シナリオ 国内物価が年2〜3%ペースで上昇する中、豚カツ定食も今後数年で1300円台に達する可能性があります。
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2極化シナリオ 高級豚肉や地産地消を打ち出した店舗が高価格帯へ移行する1方、大手チェーンではコストダウン戦略を採用し、1000円以下を維持する動きも。
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中食・弁当への移行シナリオ 外食としての豚カツ定食が敬遠され、スーパーの惣菜コーナーや持ち帰り弁当が主流になる可能性も。
経済政策と国民生活の橋渡しとしての豚カツ定食
日本経済の中で、豚カツ定食の価格は単なる「食費」ではなく、消費者心理、地方経済、飲食業界の持続性、さらには政策的なインフレ対策の現実を映す指標でもあります。今後、生活支援策としての外食補助や食材高騰対策が導入される場合、豚カツ定食の価格はその恩恵を受ける象徴的存在になり得るでしょう。
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