2025年4月の豚カツ100gの平均価格は242.1円で、秋田(321円)や長崎(316円)などで特に高値。人件費や輸入肉の高騰が価格上昇の背景にある。一方、宇都宮や鹿児島などでは価格が下落。今後も高品質化と節約志向の二極化により、地域差を伴う緩やかな上昇が予想される。
小売物価統計
豚カツ小売りの高い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 秋田 | 長崎 | 福島 | 山形 | 福岡 | 熊本 | 水戸 | 高松 | 佐賀 | 那覇 |
最新値[円] | 242.1 | 321 | 316 | 285 | 281 | 272 | 271 | 270 | 263 | 263 | 262 |
前年同月比[%] | +3.568 | +20.68 | +18.35 | +6.742 | +23.25 | +7.51 | +10.16 | -0.735 | -7.067 | +18.47 | +18.55 |
豚カツ小売りの安い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 大分 | 和歌山 | 山口 | 高知 | 宇都宮 | 前橋 | 大津 | 松山 | 名古屋 | 鹿児島 |
最新値[円] | 242.1 | 184 | 199 | 199 | 211 | 213 | 215 | 218 | 218 | 220 | 220 |
前年同月比[%] | +3.568 | +7.602 | +0.505 | +3.646 | -2.765 | -15.81 | +1.395 | -3.111 | -2.655 | -5.983 |
豚カツの推移


詳細なデータとグラフ
豚カツの現状と今後
豚カツは日本の家庭惣菜・外食メニューの中核を担う人気料理であり、100g単位で販売される中食用惣菜としての役割も大きい食品です。価格は、豚肉相場の影響を直接受けるほか、衣(パン粉)や油、加工賃、人件費など多くのコスト要素を含むため、食料品価格のバロメーターとも言えます。2025年4月時点で全国平均は242.1円となっています。
価格の地域差:高値圏と安値圏の分布
高値圏の代表は秋田(321円)、長崎(316円)、福島(285円)などで、全体として地方中核都市が目立ちます。秋田・山形など東北では、地場加工・人件費の上昇と中食依存の高さが影響していると考えられます。那覇(262円)や福岡(272円)など9州圏も相対的に高値です。
1方、低価格帯では大分(184円)、和歌山・山口(199円)、高知(211円)などが並びます。これらの地域では、豚カツを家庭で調理する比率が高く、惣菜化による価格上乗せが抑えられている傾向が見られます。
過去からの価格推移と要因
豚カツの価格は2010年以降、概ね緩やかな上昇基調をたどってきました。特に2021年以降、以下の要因によって価格上昇に拍車がかかっています:
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輸入豚肉の価格高騰:円安と世界的な畜産物価格の上昇
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国内豚肉の供給制限:飼料高と生産者減少に伴う供給不安
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加工・人件費の上昇:人手不足と最低賃金引き上げの影響
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原材料コストの上昇:パン粉、揚げ油の高騰が惣菜価格に転嫁
これらにより、ここ1年の平均価格の伸びは+3.568%であり、山形(+23.25%)や秋田(+20.68%)など急激な伸びを見せる地域もあります。
地域別の価格増減の要因
値上がりの大きい地域では、供給コストの上昇に加え、地域スーパーや総菜チェーンが高品質・厚切り路線に転じている傾向が見られます。秋田や長崎、佐賀などでの大幅上昇は、パックあたりの内容量増や店舗方針の影響も考えられます。
1方、名古屋(220円、前年比-2.655%)や宇都宮(213円、-15.81%)では、競争激化による価格引き下げや、業務効率の改善により価格維持または下落がみられます。松山や高知、鹿児島も同様に下落傾向です。
今後の価格推移予測と課題
今後も豚カツの価格は、以下のような要因を受けて緩やかに上昇する可能性があります:
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輸入豚肉の不安定さ:ASF(アフリカ豚熱)などによる国際需給の不確実性
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物流費・人件費の持続的上昇
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高品質志向の強まり:安全性・厚み・脂質管理などへの期待
ただし、節約志向や簡便志向の高まりから、「小さめ・安めの豚カツ」「冷凍食品への回帰」などの価格抑制策も強まり、価格は1律に上昇しないと考えられます。
おわりに:豚カツは家庭と惣菜の分水嶺
豚カツは「家庭で作るか、買って帰るか」の選択に直面する中食代表格です。その価格は原材料の国際相場だけでなく、地域の消費者感覚や販売戦略によっても大きく左右されます。今後は多様な価格帯の豚カツが併存し、消費者の選択肢の幅がより広がっていくでしょう。
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