2025年4月時点で調理ピザ1袋の全国平均価格は328.9円。前年同月比+4.836%と価格上昇が目立ち、福井や岐阜では400円前後の高価格となっている。原材料費や物流費の上昇、商品の高付加価値化が主な要因。都市部では競争による値下がりもあるが、今後は地域格差が拡大しつつ、じわじわとした価格上昇が続く可能性がある。
小売物価統計
調理ピザ小売りの高い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 福井 | 秋田 | 盛岡 | 岐阜 | 富山 | 広島 | 那覇 | 山形 | 鹿児島 | 宇都宮 |
最新値[円] | 328.9 | 403 | 376 | 375 | 375 | 371 | 370 | 365 | 365 | 355 | 355 |
前年同月比[%] | +4.836 | +11.94 | +5.915 | +5.932 | +48.81 | +21.24 | +4.52 | +3.107 | +7.988 | +17.94 | +6.607 |
調理ピザ小売りの安い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 名古屋 | 大津 | 鳥取 | 和歌山 | 横浜 | 長野 | 福島 | 神戸 | 高松 | さいたま |
最新値[円] | 328.9 | 258 | 258 | 260 | 274 | 274 | 275 | 284 | 300 | 301 | 306 |
前年同月比[%] | +4.836 | +4.453 | +8.73 | -6.803 | +7.985 | -20 | -6.422 |
調理ピザの推移


詳細なデータとグラフ
調理ピザの現状と今後
調理ピザ(冷蔵・冷凍のピザ)は、手軽さと洋風志向の高まりを背景に日本の家庭で定着している食品のひとつである。特に個包装の1袋タイプは、共働き世帯・単身世帯・子育て家庭など幅広い層に支持されており、冷凍食品売り場の定番商品とも言える。今回は2022年8月から2025年4月までの小売価格データをもとに、調理ピザの価格推移と地域差、今後の展望について検討する。
全国平均と価格分布の現状
2025年4月時点での全国平均価格は328.9円。前年同月比では+4.836%の上昇となっており、これは他の加工食品(例:調理カレー)と比較しても高めの上昇幅である。
高価格地域(上位10地域)
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福井(403円)、秋田(376円)、盛岡(375円)など、日本海側や内陸部に高価格が集中している。
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特に岐阜(375円)では+48.81%と異常値に近い上昇率が記録されており、これは1時的な品不足や高付加価値商品の販売比率増加が関与している可能性がある。
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富山(+21.24%)や鹿児島(+17.94%)など、地方都市でも2桁の価格上昇が複数観測されている。
低価格地域(下位10地域)
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名古屋・大津(258円)、鳥取(260円)、和歌山・横浜(274円)といった地域では価格が300円未満に抑えられている。
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特に横浜(-6.803%)、神戸(-20%)、さいたま(-6.422%)など都市部の1部では逆に価格が下落しており、競争激化やディスカウント販売の影響が考えられる。
価格変動の要因分析
調理ピザの価格変動は、以下の複合的な要因に左右されている:
① 原材料費の上昇
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小麦粉・チーズ・トマトソースなど、ピザに必要な主要原材料は2022年以降世界的に価格が高騰した。
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特にチーズは国内生産の割合が少なく、輸入価格の変動に直結している。
② 冷蔵・冷凍物流コストの増加
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調理ピザは低温物流が必要であるため、燃料費や電力費の上昇が製品価格に反映されやすい。
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地方部ほどこの影響が大きく、福井や富山などの高価格地域に物流費の高さが影を落としていると考えられる。
③ 商品構成の変化
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消費者の嗜好が「安価なプレーンピザ」から「具材豊富な高品質ピザ」へとシフト。
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このため、単価自体が底上げされる傾向にあり、全体の平均価格を押し上げている。
④ 地域競争の違い
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名古屋・横浜・さいたまなどの大都市では、大手スーパーやディスカウントストアの激戦区となっており、値下げ圧力が強い。
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1方、地方都市では選択肢が限られるため、競争が緩やかで価格維持または上昇傾向にある。
今後の価格の見通し
今後の調理ピザ価格は、下記のような推移が想定される:
短期的にはやや安定か
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原材料価格の高騰は2023年がピークであり、2024〜2025年にかけてはやや落ち着きを見せている。
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そのため、これ以上の急激な上昇は抑えられる可能性が高い。
中長期的にはじわじわ上昇
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労働力不足による製造・流通コストの上昇は続くと予想され、2026年以降に向けては再び緩やかな価格上昇が続く見通し。
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同時に、「小型化」「内容量減少(ステルス値上げ)」によって実質価格上昇が進行する可能性も。
高価格と低価格の地域格差は拡大傾向
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首都圏・中京圏では今後も価格競争が激しくなる1方で、地方では高付加価値化が進む。
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その結果、地域間で100円近い価格差が常態化する可能性も否定できない。
消費者への影響と対応策
調理ピザは家庭内の「ちょっとした贅沢」や「外食代替」として機能しており、価格に対する消費者の敏感度はそれほど高くない。1方で、ボリュームや具材の内容による満足感が購入の大きな判断材料になる。
消費者が取り得る対策:
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特売やセット販売を活用する。
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内容量やトッピングの充実度に注目し、「割安感」のある商品を選ぶ。
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セミ手作り(生地とトッピングの分割型)などへの切り替えによるコスト抑制。
まとめと政策的示唆
調理ピザの価格は、世界的なインフレと国内物流構造、商品戦略の変化が複雑に絡んでいる。今後も1部地域では高値が続く見通しであり、消費者や小売の知恵が求められる局面にある。政府や自治体も、地方物流の効率化や冷凍食品インフラへの支援など、中長期的な物価安定政策が重要となるだろう。
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