家計調査に基づく勤労世帯の自動車等維持費は全国平均で月2.586万円だが、都市間で大きな差が見られる。富山市や北九州市などでは高額傾向にあり、奈良市や横浜市など大都市圏では比較的低い。維持費にはガソリン代、車検・保険・修理などが含まれ、地方では車依存の生活構造が影響している。今後は高齢化とEV化、都市構造の変化により維持費の支出構造にも変化が見込まれる。
自動車等維持の家計調査結果
自動車等維持の多い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 全国 | 富山市 | 北九州市 | 千葉市 | 名古屋市 | 松江市 | 福井市 | 鳥取市 | 岐阜市 | 堺市 | 甲府市 |
最新値[万円] | 2.586 | 5.011 | 4.482 | 4.435 | 4.34 | 4.098 | 3.913 | 3.876 | 3.552 | 3.535 | 3.342 |
前年月同比[%] | +12.59 | +70.39 | +222.4 | +141.2 | +60.04 | +102.1 | +66.31 | +34.84 | -13.26 | +90.13 | +25.34 |
自動車等維持の少ない都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 全国 | 奈良市 | 横浜市 | 大阪市 | 神戸市 | 札幌市 | さいたま市 | 那覇市 | 福岡市 | 京都市 | 宮崎市 |
最新値[万円] | 2.586 | 1.295 | 1.339 | 1.348 | 1.411 | 1.467 | 1.514 | 1.573 | 1.621 | 1.672 | 1.905 |
前年月同比[%] | +12.59 | -45.99 | -8.83 | -6.468 | +40.68 | -19.12 | +34.59 | -3.979 | +24.77 | +24.85 | -4.707 |
これまでの自動車等維持の推移


詳細なデータとグラフ
自動車等維持の現状と今後
自動車の「維持費」とは、購入後に継続して必要となる費用の総称であり、以下のような要素を含む。
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燃料費(主にガソリン、軽油)
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自動車保険(任意・強制)
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車検や法定点検
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修理・整備費
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駐車場代(特に都市部で顕著)
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税金(自動車税・重量税など)
勤労世帯においては、通勤や買い物、子育て等、生活の足としての車の役割が大きいため、その維持コストは家計にとって重要な支出項目である。
都市別傾向 ― 富山市と奈良市の対照構造
今回の家計調査では、最も維持費が高かった富山市(5.011万円)と、最も低かった奈良市(1.295万円)との間に約3.7倍の差があった。この差を生む要因としては以下が挙げられる。
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地方都市(富山・北九州・松江等)→ 公共交通の脆弱さゆえ、世帯あたりの車保有率が高い→ 高齢世帯も複数台保有する傾向がある→ 雪国ではスタッドレスタイヤや除雪対応整備も必要
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都市圏(奈良・横浜・大阪等)→ 鉄道網やバス網が充実しており、車に頼らない生活が可能→ 駐車場コストが高く、車を保有しない選択が増えている→ カーシェアやレンタカー利用の比重が増加中
前年同期比の動き ― 急増と急減の背景
維持費の前年比増加率が顕著だったのは、北九州市(+222.4%)、千葉市(+141.2%)、松江市(+102.1%)などである。これは以下のような背景が考えられる。
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コロナ禍明けで遠出や旅行が復活、走行距離が伸びた
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ガソリン価格の高止まり(2024年〜2025年にかけて)
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車両の高性能化・電子化に伴う整備費の増加
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高齢世帯の増加によるメンテナンス依存の増大
一方で、奈良市(-45.99%)、札幌市(-19.12%)など減少した都市もある。減少の要因としては以下が考えられる。
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若年層の車離れ・保有率低下
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中古車市場の活況で維持費が抑えられている
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ハイブリッド車・EVの導入による燃料費の減少
世代間の特徴と変化
維持費の構成とその負担感は世代によって異なる。
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若年層(20〜30代)→ 維持費を嫌って車を保有しない、もしくは軽自動車→ カーシェアや配車アプリに依存傾向
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中年層(40〜60代)→ 通勤・子育てで複数台所有、維持費は高め→ 車へのこだわりも強く、整備・保険に積極投資
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高齢層(70代〜)→ 車を手放す動きが増加中だが、地方では依然必要不可欠→ 走行距離は減るが整備依存度が高く、1台あたりの維持費が高めになる傾向
今後の予測と課題
今後、勤労世帯の自動車等維持費は以下のようなトレンドに影響を受けると考えられる。
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EV(電気自動車)の普及→ 燃料費は減少、だが充電設備・バッテリー交換費用など新たな維持費が発生→ 地方ではインフラ整備の遅れが負担増に直結する恐れ
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高齢化と免許返納の進行→ 高齢層の車利用縮小で、維持費総額はやや減少傾向に→ 一方で、カーシェア依存が新たな支出項目として台頭
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都市政策と移動手段の変革→ 鉄道・バス網の再整備、AI運転技術の導入が車依存を見直す契機に→ 環境規制強化による古い車の維持コスト増加も懸念される
まとめ:地域と世代に応じた維持費戦略の重要性
自動車の維持費は、都市の構造、交通インフラの充実度、世帯の年齢構成などに強く左右される。勤労世帯にとっては生活の利便性と家計の安定を天秤にかけた選択が求められ、自治体レベルでも持続可能な交通政策の策定が急務である。
維持費の増減は単なる家計の話にとどまらず、都市の形、暮らし方、そして今後の環境や産業にも直結する重大な課題である。
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