地域別の背広服支出では、北陸や四国、東海など地方で高い傾向がありますが、都市部ではリモート化やカジュアル化により支出が減少しています。特に四国では前年比20%超の増加が見られた一方、多くの地域で減少が顕著。今後も都市と地方でスーツ需要の二極化が進む一方、全体としては縮小傾向が継続すると予測されます。
地域別の背広服
1世帯当りの月間使用料
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 北陸 | 四国 | 東海 | 小都市A | 中都市 | 大都市 | 関東 | 全国 | 近畿 | 中国 |
最新値[円] | 1009 | 1420 | 1255 | 1110 | 1089 | 1081 | 1065 | 1011 | 1011 | 998 | 940 |
前年月同比[%] | -15.37 | -16.47 | 20.44 | -30.19 | 3.027 | -16.53 | -25.63 | -17.47 | -16.31 | 0.91 | -28.52 |
これまでの地域別の推移


詳細なデータとグラフ
地域別の現状と今後
日本における背広服の需要は、都市部・地方部、そして各地域の経済構造や雇用形態の違いに大きく影響を受けています。リモートワークの普及、カジュアルな職場文化、地域ごとの慣習といった要素が交錯する中で、支出額の地域差が如実に表れています。本章では、2002年から2025年3月のデータを踏まえ、地域別に背広服支出の動向を考察します。
支出が高い地域 ― 北陸・四国・東海の特異性
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北陸(1,420円) 全国平均を大きく上回る支出で、長年にわたり堅実な生活文化を保つ地域です。冠婚葬祭を重視する土地柄から、背広の備えを大切にする傾向が見られます。また、製造業や金融関係でのスーツ着用が根強いことも一因です。ただし前年比では-16.47%と減少しており、変化の兆しも感じられます。
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四国(1,255円)・東海(1,110円) 四国は前年比+20.44%と全国で唯一大幅な増加を示しており、リクルート活動や冠婚葬祭需要の一時的高まりが影響している可能性があります。東海は自動車関連企業などが多く、制服やスーツ文化が根強い地域ですが、前年比では-30.19%と急落しており、服装慣習の変化や家計圧迫が進行していると考えられます。
都市規模別の支出傾向 ― 都市部の支出減少
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小都市A(1,089円)、中都市(1,081円)、大都市(1,065円) 都市規模が大きくなるにつれて支出額はやや減少。中都市・大都市ではリモートワークやカジュアル化の影響が強く出ていると考えられます。特に大都市では前年比-25.63%と大幅減。新規購入よりも「手持ちのもので済ます」「レンタル・中古を利用」といった傾向が強まっている模様です。
関東・近畿・中国地方の比較と課題
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関東(1,011円)・近畿(998円)・中国(940円) 三大都市圏の一角を占める関東と近畿はほぼ全国平均に近い水準ですが、関東の前年比-17.47%、近畿の+0.91%と、対照的な動きを見せています。関東はIT企業など私服勤務が浸透しており、需要減少が加速。近畿では伝統的な企業文化が比較的残っていることから、横ばいに近い状態です。 一方で、中国地方(940円)は前年比-28.52%と急減しており、経済的停滞や高齢化の影響が見えます。
今後の推移と政策的視点
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今後も都市部・地方の分化は進行 都市部ではスーツ離れが一層進むと予想され、地方では冠婚葬祭や保守的な職場文化の残る地域で一定の需要が維持される見込みです。ただし、いずれの地域も若年層を中心に「所有」から「必要時のみ対応」への価値観転換が進行中です。
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経済政策と消費の関係 政府の就職支援や地域振興策が一時的に背広需要を押し上げることはあり得ますが、構造的な支出の縮小トレンドは続くでしょう。今後は「どの地域で、どういった需要が残るのか」を見極めた業界対応が必要です。
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